TOPPANホールディングス株式会社のグループ会社であるTOPPAN社が、2024年11月5日から「メタパ® for 自治体」と呼ばれる新しいメタバースサービスの提供を開始することが発表されました。このサービスは、自治体向けに特化した機能を持ち、住民へのより良いサービス提供をサポートします。特に注目したいのは、AIを活用した窓口機能や、簡便なコンテンツ更新機能です。この新しい試みは、今後の自治体業務において、大きな変革をもたらすことが期待されています。
近年、少子高齢化や地方自治体の業務効率化が求められる中、先進的な技術を取り入れることが急務となっています。TOPPANの「メタパ®」は、2021年12月より多様なバーチャル店舗を展開し、仮想空間での新たな体験を提供してきましたが、このたび導入される「メタパ® for 自治体」では、自治体の特性に応じた機能が統合されています。これにより、住民と行政の新しいコミュニケーション手段が創出され、業務の効率化が期待されます。
現在、自治体が直面する課題は多岐にわたります。少子高齢化による人手不足、地域活性化のための施策、そしてデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進です。これらの課題に直面する自治体において、メタバースが果たす役割が注目されています。「メタパ® for 自治体」は、住民のニーズを的確に捉え、効果的な情報発信とインタラクションを実現するために設計されています。
このサービスの特長には、管理画面から簡単にコンテンツを更新できる機能や、AIによる24時間体制の窓口機能があります。自動生成されたアバターを用いることで、住民にとって親しみやすい体験を提供。また、メタバース内での交流が促進されるため、特にひきこもり支援に関するイベントなど、地域の要望に応じた柔軟な施策が可能となります。
従来、多くのメタバースサービスでは、コンテンツの更新が煩雑で時間を要するものでした。しかし、「メタパ® for 自治体」では、自主管理が可能な管理画面を通じ、自治体が迅速に情報を発信できます。これにより、災害時の速報やイベント情報の提供がスムーズになり、住民の安心感向上に寄与します。
住民からの問い合わせには、AIを活用した窓口機能が対応します。生成AIを活用した人工キャラクターは、24時間いつでも住民の質問に応答可能で、情報処理の迅速さが期待されています。この技術により、住民サービスの向上とともに、職員の負担軽減にもつながります。
「メタパ® for 自治体」のもう一つの重要な機能は、地域におけるイベントの開催です。TOPPANはリアルやデジタルでのイベント運営に関するノウハウを生かし、地域外への魅力発信を図ります。これにより、地理的制約を超えた住民参加が実現し、活性化が期待されます。
TOPPANは、「メタパ® for 自治体」を全国の自治体に拡販していく予定です。今後は、さらにセキュリティの強化や新しい機能の追加を進め、2027年には関連受注を含め約10億円の売上を目指すとしています。これは、自治体のDX推進における重要なステップとなり、新たな住民サービスの形を作り上げていくでしょう。
TOPPANが展開する「メタパ® for 自治体」は、自治体と住民の新しい関係を築くための重要なツールです。行政効率化に貢献しつつ、地域の活性化を意図したこのメタバースサービスは、今後の自治体業務に革命をもたらすことが期待されています。私たちの生活の中でメタバースが果たす役割は、ますます重要性を増すことでしょう。
執筆:糸井貴行