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イオンモールを訪れる顧客の行動を徹底分析、適切なタイミングの広告配信やキャンペーン開催でファンづくりを強化

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日本オムニチャネル協会は2024年10月22日、定例のセミナーを開催しました。今回のテーマは「ショッピングモールにおける顧客起点のデータドリブンマーケティング」 ファンづくりのデータに基づいた科学的マネジメントのあり方について考えました。

どの企業もファンづくりや顧客起点の取組みが重要だということが分かっていますが、日々のマネジメントにおいては購買者づくりや販売促進のマネジメントに終始し、ファンづくりは精神論になりがちです。今回のセミナーでは、ゲストとしてイオンモール デジタル推進統括部 デジタルマーケティング部長の佐久間達也氏を迎え、データドリブンなファンづくりのマネジメントへの取組みを紹介いただき、実施するに至った背景や取組みの意義・目的、活動が形骸化しないための工夫について議論をしました。

また全ての情報がデジタル情報として把握できるEC事業とは違い、リアル主体かつ購買接点が出店者であるテナントであり、一方でデジタルシフトへの取組み度が高いモール事業における事例として、イオンモール様のDXに対する取組みをご紹介いただき、DXの考え方や方針、進め方に対する勘所を議論しました。

議論に際しては、ファンづくりの科学的マネジメントを本年度のテーマとして活動しているオムニチャネル協会ロイヤルティマーケ分科会のリーダー、渡部弘毅氏を交えて実施しました。

顧客起点のデータドリブンなモール運営の取り組み

イオンモールは国内外に約204店舗を展開。ショッピングモールという施設の運営を通して、エンドユーザーの生活体験の提供、地域発展の推進、そしてテナントへの支援という3つの役割を担っています。佐久間氏は、この役割を果たすために顧客データの活用が不可欠だと語りました。

写真:イオンモール デジタル推進統括部 デジタルマーケティング部長 佐久間達也氏

データドリブンの課題と意義
多くの企業がデジタル情報をもとにファンづくりを目指す一方で、日常的なマネジメントにおいては、売上や顧客数に終始し、長期的な視点での顧客との信頼関係を築く取り組みが難しいという課題があります。イオンモールも例外ではなく、購買履歴や売上データを元にした短期的な施策が中心になりがちでした。そこで渡部氏の提唱する「心理ロイヤリティ」を基に、顧客の行動や感情に着目し、モールに対する愛着や信頼を向上させる取り組みを強化していく方針を立てました。

写真:日本オムニチャネル協会 ロイヤルマーケ分科会リーダー 渡部弘毅氏

ファンづくりのための科学的マネジメントの実践
イオンモールでは、顧客視点のデータドリブンなマーケティングを徹底するために、「知る」「学ぶ」「共有する」という3段階のステップを導入し、定量データに加え、現場の声やノウハウを積極的に取り入れることに取り組んでいます。

1.「知る」段階:顧客理解のためのデータ収集
まず、顧客理解を深めるために、顧客の行動や心理データを収集する仕組みを導入。来館者の年齢層や性別の違い、来店頻度、競合利用状況などを把握し、行動データとして蓄積しています。さらに、顧客の満足度や、購入したテナントへの満足度をアプリを通じて集計し、テナント側にフィードバックする仕組みも構築しました。これにより、顧客満足度が可視化され、サービスの改善に役立てています。

2.「学ぶ」段階:分析をもとに施策を展開
収集されたデータを分析し、科学的な裏付けのある改善策を検討。例えば、ゴールデンウィークの時期には、ウェブサイトや広告での事前告知が来館者数の増加にどのように影響を与えるかを可視化し、効果的な告知タイミングを明確にしました。また、ウェブ広告に関しても、顧客が広告を見てから来館するまでの傾向を分析し、効果的な広告の出稿タイミングを検証しました。

3.「共有する」段階:知見の共有と定着
現場での施策や分析結果を共有するため、社内SNSやダッシュボードの活用を進め、各モールやエリアでの成功事例や知見を共有し、ナレッジの定着を図っています。エリアごとに異なる顧客属性に合わせた施策の実行が求められるため、現場でのデータ活用スキル向上を目的とした教育も実施しています。

科学的ファンづくりに向けた中長期的なビジョン
イオンモールは、顧客満足度を向上させるために、行動データと心理データを掛け合わせた顧客の解像度をさらに高め、各モールでの顧客体験を改善することで、継続的な来店につなげることを目指しています。モールの来館者データは購入データに留まらず、滞在時間や来館動機などの行動データの活用が視野に入っており、今後は購買データと統合することでより立体的な顧客像を把握し、顧客一人ひとりに合ったサービスや情報提供を実現する予定です。

また、モールの環境改善を図るために、リニューアル時には周辺地域との比較をもとにした分析を実施し、例えば子ども用施設やプレイルームの充実度が競合に比べて劣っている場合には、投資を行って施設の強化を図るといった、データに基づいた運営が可能になります。

写真:セミナーのモデレーターを務めた日本オムニチャネル協会 理事 逸見光次郎氏

顧客視点でのモール運営の意義と今後の展望
イオンモールの取り組みは、従来の物販のみならず「顧客との関係性」に重点を置くことで、顧客にとって魅力的な体験を提供し、モール自体を生活の一部として受け入れられることを目指しています。今後も顧客データの蓄積と活用を推進し、「顧客起点での科学的ファンづくり」をさらに進化させることで、持続可能なモールビジネスの展開を目指しているのです。


関連リンク
日本オムニチャネル協会
https://omniassociation.com/

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