三井住友フィナンシャルグループ、三井住友海上火災保険、サイリーグホールディングスの3社は2024年11月12日、日本国内のサイバーセキュリティ対策を強化するため、新たにサイバーセキュリティ事業を担う合弁会社の設立を目指し、基本合意書を締結しました。この取り組みは、近年増加傾向にあるサイバー攻撃の被害に対応するため、企業規模を問わず必要とされる高度なセキュリティ対策を効率的かつ効果的に提供することを目的としています。
サイバー攻撃のリスクは、被害を受けた企業に直接的な業務停止や取引先への波及といった影響を及ぼすだけでなく、信用やブランド価値の損失にもつながる重大な経営課題です。一方で、こうしたリスクへの対応には高度な専門知識が必要であるため、経営層と専門部署の間で認識のズレが生じることも多く、適切な対策が実行されにくい現状があります。この課題を解決するため、特に中堅・中小企業を中心に、経営層と専門部署の間を繋ぎ、必要な対策を迅速かつ的確に提供する支援が求められています。今回の合意においては、SMBCグループが持つ顧客とのリレーション、三井住友海上のリスク診断や補償サービスの提供ノウハウ、そしてサイリーグHDが有するサイバーセキュリティ分野の技術力を統合することで、日本企業全体のセキュリティ対策を包括的に強化することを目指します。具体的には、顧客へのセキュリティアセスメントやコンサルティングを行い、その結果に基づいて関連ソリューションを提案・提供するほか、提携企業との連携を通じて幅広いセキュリティサービスを展開する予定です。SMBCグループはこれまでも非金融領域で多様なサービスを展開しており、サイバーセキュリティの分野においても社会課題の解決に向けた取り組みを拡大していく方針です。
三井住友海上は、中堅・中小企業向けのサイバーリスク診断サービス「MS&ADサイバーリスクファインダー」を提供しており、保険事業を通じた価値創出に注力しています。一方、サイリーグHDは、高度な技術と迅速な意思決定を強みとし、親会社であるチェンジホールディングスの支援のもとでサイバーセキュリティ事業の推進を進めています。合弁会社の具体的な事業内容や運営体制については、今後3社で協議を進める予定です。今回の取り組みは、企業や組織が安心してデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むための基盤を整え、サイバーセキュリティ分野における新たなソリューションの提供を通じて、日本全体の経済活動の安全性向上に貢献するものと期待されています。
レポート/DXマガジン編集部折川