これからの企業に求められる「リーダー像」には何が必要か。答えの1つとなるのが「周囲の幸せ」です。チームのメンバーや取引先、顧客など、自分に関わるすべての人の幸せを願うことがリーダーには必要です。なぜ、自分ではなく周囲の幸せを願わなければならないのか。リーダーが周囲の幸せに思いを寄せる必要性について考えます。【週刊SUZUKI #93】
仕事は、周囲の同僚や上司、部下、取引先、顧客などのさまざまな人との関係で成り立っています。仕事と向き合うには、関わる一人ひとりを思いやり、大切にする姿勢が何より求められます。
特に求められるのが、相手の「幸せ」です。「顧客はどんな幸せを望んでいるのか」「周囲の仲間が何を幸せと感じるのか」など、常に相手に寄り添い、その人の「幸せ」を模索するようにします。対話を重ね、相手が望むことを聞いてしまうのも手です。深い関係を築き、その人が求める幸せの形を具現化できるようにするのが仕事の本質です。
さらに、相手が望む幸せを手に入れられるよう、親身になって協力する姿勢も欠かせません。自分にできることや手伝えることを考え、些細なことでも手を差し伸べるようにします。相手の幸せをただ待つのではなく、行動という具体的なアクションを起こし、自ら率先して幸せを手に入れられるようにすることが大切です。
最近の働き方は社内の仲間とだけではなく、社外の専門家と一緒に仕事を進めることが珍しくなくなりました。そこには初対面の人やあいさつ程度しか会話を交わしたことのない人など、さまざまな関係の人が集まります。こうした状況でも、第一に考えるのがチーム全員の幸せです。さらに、幸せを手に入れるためのアクションこそが必要です。この思いやりがチームの結束力を高めます。初対面同士のメンバーであっても短期間で打ち解け、お互いにフォローする関係を築けるようになります。
リーダーたる者は、相手を幸せにすることが「使命」だと自覚すべきです。自覚しない限り、チームは機能しません。リーダーとしてチームをゴールに向かわせることもできません。使命を果たそうと考え、行動することがリーダーの最低条件です。
周囲のメンバーから不満が漏れていませんか。取引先との関係が悪化していませんか。顧客から頻繁にクレームが届いていませんか。これらは、あなたが相手と良好な関係を築こうとしていないからかもしれません。相手の幸せを模索していないからかもしれません。立場や関係を超え、一緒に幸せを描ける人がリーダーになれるのです。
筆者プロフィール
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。