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コラム

今、企業成長のカギは、DX人材の育成。最もシンプルで確実な人材育成法とは⁉

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多くの企業が力を入れる人材育成。近年はDXを任せられる人材を育成しようと、ITリテラシー向上に取り組む企業が目立ちます。しかし、その育成方法でDXを推進できるようになるのかは疑問です。好ましくない育成方法と、自社のDXを加速させられる人材の育て方について考えます。【週刊SUZUKI #26】

デジタルに精通する人材育成に乗り出す企業が増えています。AIやアプリ、プログラミング言語などを学び、自社のDXを担える人材を養成するケースが目立ちます。座学やワークショップなどで構成する社員向け講座を開設し、数カ月かけて社員のスキルを徹底的に磨き上げるケースも少なくありません。

もっとも、こうして育てた人材が自社のDX推進を担えるのかは疑問です。講座を通じ、AIやアプリの知識を習得することは可能でしょう。しかし、受講すれば自社の変革を主導できるようになるのか。おそらく無理でしょう。人材育成に取り組む多くの企業が、DXの「D(デジタル)」に精通する人材を育てているに過ぎません。DXで何より大切なのは、「D(デジタル)」ではなく「X(変革)」です。自社の変革を成功させられる人材を育成することこそ、企業は取り組まなければならないのです。

もちろん「X(変革)」人材を育成する企業もあります。イノベーション創出を前提に、戦略の策定や事業計画立案などを模索するケースが散見されます。しかし、こうした企業の多くが社員同士を集めた講座を実施しています。社員同士が意見を出し合い、事業化に向けてどう進めるべきかなどを議論しています。これでも不十分です。

イノベーションを起こしたり未知の事業を描いたりするなら、社外での活動に目を向けるべきです。社内の風土に馴染み、同じように育ってきた社員をいくら集めても、同じような答えしか得られません。自分とまったく異なるキャリアを積んだ人や、自社と異なる業界の知見を持ち合わせる人などと積極的に交流、議論すべきです。社内を見渡してもいない人との交流が、イノベーション創出、引いてはDXには不可欠です。

中には中途採用に注力し、社外での経験や知見を社内に持ち込もうとする企業も見られます。しかし、社外から人材を獲得するだけでも不十分です。日本の場合、多くの転職者が同じ業界内で転職を繰り返しがちです。例えばIT業界から小売業界といった具合に、別の業界に転職するケースは稀です。これでは新たな風が社内に吹き込むことはありません。発想はマンネリ化し、アイデアを育むことさえできません。

「社内」といった枠に留まるべきではありません。業界の枠を越えるべきです。この一歩がこれからの人材育成には欠かせません。

そこで私は現在、社外との人材交流を促進する「場」つくりに取り組んでいます。それが、2020年3月に設立した日本オムニチャネル協会です。「業界の壁を越えた共創の場」というコンセプトを掲げ、さまざまな業界の人同士による議論を促進できるようにしています。設立から3年で会員数は300人を超え、小売や飲食、ITなどのさまざまな業界にいる人が集まります。他社や他の業界の人はDXをどう進めているのか、課題をデジタルでどう解決しようとしているのかなど議論は、自社のDX推進を大きく後押しするはずです。こうした「場」に社員を参加させれば、社員向けの講座では学べない知識や経験を得られるようになるのです。

自社開催の講座や勉強会にいくら参加しても、社内の発想からは抜け出せません。新たな発想を生み、イノベーションを起こすには、組織や企業、地域、年代、業界などといったあらゆる「壁」を越えることが不可欠です。デジタル人材の育成=ITリテラシー向上といった考えから脱却し、外に目を向けることが人材育成の要諦となるのです。

筆者プロフィール

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。 デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会 会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任
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