MENU

コラム

AI時代、“世界レベル”のセキュリティ攻撃が日本企業を襲う あなたの会社はどう守る?

  • URLをコピーしました!

近ごろサイバー攻撃が急増しています。その背後には、AIが日本語を高度に理解し、“日本語の壁”が完全に崩れたという決定的な変化があります。不自然な日本語で見抜けた時代は終わり、日本企業はグローバル級の攻撃を正面から受ける環境に入りました。いま問われているのは、AI時代の脅威を“技術”ではなく“経営リスク”として扱えるかどうかです。今回は、日本語の防波堤が消えた今、企業が見直すべきセキュリティの本質について解説します。【連載第15回:ECの進化とシステムの変遷】 

AIの進化で“日本語の壁”が崩れた 

AIが日本語の防波堤を突破し、日本企業に“グローバル級のセキュリティ攻撃”がそのまま到達する時代が始まりました。“日本語の壁”が崩れたことで、パンドラの箱が開いたかのように日本のサイバー環境に構造的な脆弱性が露呈しています。 ランサムウェア攻撃は止まる気配がありません。大手メーカーやEC企業が相次ぎ被害を受け、経済活動にも影響が波及しています。その背景にあるのが、AIによって日本のサイバー領域に突きつけられた“新しい現実”です。 

かつて日本を守っていた「日本語の壁」は、AIで完全に崩壊した 

長らく日本企業は、ある種の“偶然の防波堤”によって守られてきました。それが日本語の複雑さです。海外の攻撃者にとって自然な日本語を理解し生成することは難しく、不自然な表現が“怪しさ”として最後の防御線になっていました。しかし現在、AIは自然な日本語はもちろん日本固有の文脈やビジネス表現まで理解し、攻撃シナリオを組み立てられるようになりました。巧妙なフィッシングメールは日本人の文章と見分けがつかず、日本語のドキュメントを解析して攻撃に利用されるケースも増えています。 結果、日本企業は“グローバル水準の攻撃”をそのまま受ける環境へと一変しました。準備が遅れている企業ほど、狙われやすさは高まります。 

AIは攻撃者だけの武器ではない

同時に、防御側もAIによって「人間では不可能な速度と精度」の恩恵を受けています。膨大なログの解析、異常検知、脅威情報の自動分析など、AIは防御力を押し上げています。しかし、ここに大きな誤解があります。AIツールを導入しただけで“安全になる”わけではありません。AIがもたらすのはあくまで部分最適に過ぎず、企業全体を守るには「経営としてどうリスクを扱うのか」という視点が不可欠です。 

CISOが確立されていない日本の現実 

欧米では、経営リスクとしてセキュリティを統括するCISOが経営陣と並び立ち、意思決定に関わっています。しかし日本では依然として“導入・運用・技術の話”が中心で、経営レベルでの防御設計が弱い企業が少なくありません。 
技術者が多く在籍していても、自社のビジネスモデル、顧客情報の価値、サービス停止時の損害、法的責任などを理解し、経営判断として対策を講じられなければ、本質的な防御にはなりません。求められるのは“ハッカー型の専門家”ではなく、ビジネスと情報資産の価値を同時に理解できる人材です。 

守りの第一歩は「自社の情報資産を正しく把握すること」

守るべき資産が把握できていない企業は驚くほど多いのが実情です。どんな情報資産があり、どこに保管され、誰がアクセスでき、失われた場合の影響は何か。外部委託先に渡っている情報は何か。これらを棚卸しなければ、適切なリスク判断はできません。 

資産を把握したうえで、「回避」「低減」「移転」「受容」のいずれの方法で対処するのかを決めます。特に、バックアップや業務コピーによるデータ散在は“攻撃される面積”の増大につながります。サプライチェーン上の情報漏えいが増えている背景にも、「委託しているから自分の責任ではない」という思い込みが影響しています。 

家の防犯から学べるセキュリティの本質 

家庭の防犯に例えると、セキュリティの考え方はより明確になります。 

・玄関の鍵を複数にして侵入の難易度を上げる 
・マンションのオートロックで関係者以外を排除する 
・警備員や監視カメラで“抑止”と“証拠”を確保する 
・侵入された場合はアラートで早期に気付く 
・重要物は金庫で保護し、時間稼ぎを可能にする 

企業のセキュリティも同じ構造です。 

・最重要データはネットワークから容易に触れないよう“隔離” 
・アクセス権限は最小化 
・操作記録(ログ)を残す 
・パスワードだけに依存しない多要素認証 
・異常操作の検知で侵入後の早期発見 

こうした「多層防御」と「検知の仕組み」が組み合わされて初めて、“侵入されても致命傷にならない企業”をつくることができます。自宅の資産管理に置き換えて考えてみると、その重要性が理解しやすくなります。 

AI時代のセキュリティは「技術」ではなく「経営課題」 

AIの進化で、攻撃者・防御者の双方が一気にレベルアップしました。日本語の壁が崩れた今、対策の遅れはそのまま“狙われやすさ”に直結します。 問われているのは、技術の巧拙ではなく、「企業として事業と信頼を守り抜く覚悟があるか」です。AI時代のセキュリティは、経営と現場が一体となった戦略なしには成立しません。 

林雅也

株式会社ecbeing 代表取締役社長
日本オムニチャネル協会 専務理事

1997年、学生時代に株式会社ソフトクリエイトのパソコンショップで販売を行うとともに、インターネット通販の立ち上げに携わる。1999年にはECサイト構築パッケージ「ecbeing」の前身である「ec-shop」を開発し、事業を推進。2005年に大証ヘラクレス上場、2011年に東証一部上場へ寄与。2012年には株式会社ecbeingの代表取締役社長に就任。2018年、全農ECソリューションズ(株)取締役 JAタウンの運営およびふるさと納税支援事業を行う。2020年からは日本オムニチャネル協会の専務理事を務め、ECサイト構築パッケージecbeingの導入サイトは1600サイトを超える。

日本オムニチャネル協会
https://omniassociation.com/

シェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • 週刊SUZUKI
  • 日本オムニチャネル協会
  • 公式LINEメンバー

お問い合わせ

取材のご依頼やサイトに関するお問い合わせはこちらから。

問い合わせる