リーダーは自らが模範となり、どう行動すべきかのやり方を見せることが大切です。身をもって示すことで、メンバーは「自分もやらなければ」と納得して行動できるようになるのです。リーダーが手本を示すことでチームにどんな効果をもたらすのか。手本となるためにはどんな行動が求められるのか。リーダーの役割について考えます。【週刊SUZUKI #109】
チームを束ねて前進させるリーダーは、メンバーの手本とならなければなりません。メンバーが「こんなときはどのような答えを導き出すべきか」「このケースではどちらの選択肢が正しいか」などに問題に直面したとき、リーダーは模範解答を提示できるようになるべきです。こうした手本を示し続けることで、メンバーは問題に直面したときの解を自ら導き出せるようになるのです。
では手本となるためには、リーダーにどんな姿勢が求められるのか。大切なのは、自分はもとよりチーム全員の行動に責任を負うことです。チームをけん引するリーダーの役割は、あくまでチームの成功です。チームをゴールに導くことです。そのためにはメンバーが正しい判断に基づいて行動できるよう、模範となることがリーダーには求められます。このとき、メンバーが模範に沿って行動してミスを起こせば、その責任は模範を示したリーダーも負うことになります。メンバーの手本となるリーダーの言動は、チーム全体に責任が波及することを忘れてはなりません。
チーム全員が同じ方向を向ってゴールに突き進むには、リーダーが率先垂範することが不可欠です。結果を予想しづらくても前進しなければならないとき、リスクが潜んでいる中でも決断しなければならないとき、こんな中でも第一歩を踏み出すのはリーダーの役目です。その一歩がメンバーからの信頼を集める契機となり、さらに、その後のメンバーの行動を裏付ける手本となるのです。
率先垂範の行動は、チームのメンバーに目標を与えるきっかけにもなります。チームをけん引するリーダーの姿勢は、周囲のメンバーにとっては自身が歩むべき道そのものです。「リーダーはチームをどのようにゴールへ導くのか」「ゴールを目指すためにどんな意思決定を下すのか」の答えは、リーダーの行動であるといっても過言ではありません。メンバーが道に迷わず前進し続けるためにも、リーダーはどの道を歩むべきか、どの目標に突き進むべきかのヒントを、率先垂範で示し続けなければならないのです。
手本を十分示せずにいるなら、まずはチームの規律を重んじるようにします。正しい規律に沿った行動は、必ず手本となり得ます。その繰り返しが率先垂範の姿勢を育みます。
【リーダーの心得 その17】

筆者プロフィール
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。