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コラム

DXの根底はDよりも先にXあり!デジタルを学ぶ前に、まずは「仕事の心得」を修めよ!

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DXを成功させるなら、D(デジタル)よりもX(変革)に目を向けることが大切です。従業員の意欲を育み、全社一丸でDXに取り組む体制こそが変革をもたらします。このとき必要なのが、共通の考え方を育むルール、つまり「心得」です。コミュニケーションが希薄になりがちな今だからこそ、心得を明文化し、上司から部下、先輩から若手へきちんと継承できるようにすべきです。心得が求められる背景、心得がもたらす効果について考えます。【週刊SUZUKI #29】

「心得」とは、常に心掛けなければならないことを意味します。自身の判断や意思を司る根底にあり、どんな局面でも自分を正しい道へと誘います。自分を支える礎となるのが心得です。

しかし今、心得を持ち合わす人が減っています。何が正しいのか間違いなのかを判断できず、仕事でミスを繰り返す人が増えています。その結果、仕事に対するモチベーションをなくし、業務に支障さえきたすようになっています。

社員のやる気を育み、自社を成長させるためにも、社員一人ひとりの支えとなる心得が必要です。社会や経済が複雑化し、何が正しいのかの判断が不明瞭になりつつある今こそ、判断を左右する心得を自身の拠り所にしなければなりません。

実際に多くの経営者が心得を求めています。私は企業のDXを支援するコンサルティングに従事する仕事柄、多くの経営者から相談を受けます。相談で特に多いのが、社員の“保守化”です。つまり、社員が挑戦する意欲を持たないというのです。経営者は自社を変えたいが、社員が着いてこないのではと不安を抱えています。DXによる変革を間違った道と恐れ、現状維持を良しとする風土も醸成されているといいます。自社が成長曲線を描くためにも、全社員共通のルールを作るべき。そう考える経営者は少なくありません。

そもそも、社員はなぜ保守化してしまったのでしょうか。経済が停滞し、複雑化する日本社会では、「こうすれば間違いない」というルールがより重んじられるようになっています。若手社員が指示なしには動かないのも、ルールに従いさえすればミスをしないと考えているからです。しかし、そのルールが全社員で共有されなくなっています。上司から部下へ、先輩から若手へといったルールの継承が成し遂げられなくなっているのが、保守化をこれまで以上に促進させているのです。

背景にあるのが、深刻なコミュニケーション不足です。新型コロナウイルス感染症のまん延を機に、多くの企業がリモートワークに舵を切りました。オンラインでコミュニケーションを図るものの、特定の人としか会話を交わさない状況が続いたのです。上司と部下の会話といえば、業務の進捗を確認する程度。仕事にどう向き合うか、どう判断するかといったルールを継承する機会もなくなったのです。

就業後に飲みに行く機会が減ったのも要因の1つです。いわゆる「飲みニケーション」がなくなり、上司や先輩から若手社員に仕事の心得を伝える機会がなくなりました。無理矢理誘うとハラスメントになるのでは、と上司が若手社員を飲みに連れて行かなくなったことも背景にあります。

社会や経済、コミュニケーションの取り方が変わったとしても、人として大切なこと、仕事を進める上で覚えることはきちんと伝えなければなりません。コミュニケーションが希薄な今だからこそ、仕事のやり方を「心得」として定義し、継承できるようにしなければなりません。ルールを求めがちな若手社員も、「心得」をきちんと示すことで何が正しいのかを判断できるようになります。ひいては自社の未来を支える土台を築けるようになるのです。

仕事に限らず、どんな世界でもルールは存在します。基本となる考え方や方法、つまり「型」です。型がないのは基本を習得していないのと同義で、いわゆる「型なし」です。仕事においては何の結果も残せないでしょう。逆に、型を身に付けさえすれば応用を利かせられるようになります。いわゆる「型破り」です。仕事も例外なく「型」の習得が不可欠です。基本となる考え方や方法を最優先で身に付けなければならないのです。

実際に私が代表を務める会社でも心得を用意し、社員で共有しています。社員が心得を意識するようになると、社員一人ひとりの動きが目に見えて変わり始めたのです。コミュニケーションも円滑になり、多くの意見がぶつかり合う環境が生まれました。新しいアイデアや発想を、心得に照らして判断する風土も生まれつつあります。DXの推進を支援するクライアントにも、社員の保守化を打開する手段として心得の作成を提案するようにしています。その結果、心得をもとに目覚ましい効果を出し始めた企業が現れています。

そこで今回、企業独自の心得づくりの参考として「仕事の心得」をまとめました。仕事に対する姿勢や、働くときに考えるべきことなどを30個にまとめました。この「仕事の心得」をヒントに、自社ならではの心得を生み出してください。その心得を社員に共有し、根付いたときには会社は必ず変わります。社員の皆さんは、仕事が必ず楽しくなります。

具体的に「仕事の心得」はどんな内容なのか。本連載では次回以降、1つずつ紹介していきます。

筆者プロフィール

鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。 デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会 会長、学校法人電子学園 情報経営イノベーション専門職大学 客員教授を兼任

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