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インタビュー

変革の舞台裏~勘と根性からデジタル化へ~

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国内に約1000店舗の靴専門店を展開するチヨダ。物販というリアル店舗中心のビジネスモデルから80年走り続けてきた同社は今、大きな転換点を迎えている。実店舗中心のビジネスモデルからの脱却と、そこに至るまでの数々の苦悩をどう乗り越えてきたのか。また、将来をどう見据えているのか…。デジタル化に向けて走り出して以来、失敗と改善を繰り返しながら全体最適化を全力で追及してきたマーケティング統括本部長 安立 邦広氏 EC事業部室 マネージャー 佐藤 武氏に話を聞きました。(聞き手:デジタルシフトウェーブ 熊谷仁樹 海道理彩)

地域密着型の店舗運営と幅広い顧客層へのアプローチ

ーー2022年4月にECサイトをリニューアルされましたが、その背景を教えてください。

安立: 当社はこれまで、リアル店舗中心の考え方で事業を行ってきました。2010年からECサイトも運営していましたが、「靴は実際に履いてみないと買い上げに繋がらない。ECではなかなか売りづらいのでは?」という考え方が根強く、EC事業への取り組みがなかなか進みませんでした。しかし、新型コロナウイルス感染症前からアパレル業界ではEC化率が上昇しており、GUやしまむらなど、アパレル企業が靴の販売に進出するケースも増えていました。また、当社のお客様の年齢層が上がっているという課題もあり、将来を見据えてEC事業の強化が急務だと感じ、2022年4月にECサイトをリニューアルしました。

ーーECサイトリニューアルで、特に意識した点は何ですか?

佐藤: 当社の強みは、何と言っても日本全国にあるリアル店舗網です。この強みを生かすため、オンラインとオフラインの融合(OMO:Online Merges with Offline)を意識したサイトリニューアルに取り組みました。具体的には、ネットで注文した商品を店舗で受け取ったり、試着したり、返品したりできるサービスを拡充しました。また、ECサイトとリアル店舗の在庫を連携させ、お客様が欲しい商品をいつでもどこでも購入できるようにしました。

ーーリニューアル後の成果はいかがですか?

安立: リニューアル後は、なんと36か月連続で売上が伸び続けています。まだまだ道半ばですが、リアル店舗とECの連携が強化されたことで、お客様の購買体験を向上させることができていると感じています。5年後にはもっとシェアが広がっていくと予測しています。

写真:チヨダ マーケティング統括本部長 安立 邦広氏

チャレンジと奮闘の日々~失敗から学ぶ成功への道のり~

安立: これまで80年間、店舗に直接足を運んで、靴に書かれた製造年月日を見ては、商品の在庫を管理してきました。そんなデジタル化に積極的ではなかった社内を改革していくのは、想像以上に大変でした。新しいシステムを導入しても、現場の理解度が非常に低く、なかなか浸透せず、戸惑うことも非常に多かったです。また、ECサイトと店舗の在庫連携など、システム開発も一筋縄ではいきませんでした。一つ一つ着実にいい方向に向かっているものの、想定外のトラブルも頻発し、その度に解決策を模索する日々でした。

ーー困難を乗り越えるにあたって意識されていることはありますか。

安立: どんなことにも言えることですが、失敗から学ぶことが重要だと考えています。ですから、私はチームメンバーには常々、「失敗の上に成功がある」「失敗からの経験が無いと成功にたどり着かない」と伝えています。もちろん、失敗を責めるようなことは一切ありません。例えば、メディア向け宣伝方法も顧客の行動パターンが変化しているのにあわせ、マス媒体にEC広告を出したり、SNSのライブ配信を積極的に進め、特にSNS関連は、若手の社員達に、撮影から投稿まで全て任せています。

ーーそういった背中を押してくれる方針があるからこそ、任される現場もうれしいですね。

安立: そうですね。チームメンバーは皆、前向きで、新しいことにチャレンジするのが大好きです。保守的でなかなかチャレンジできない人が多い中、うちの部署は失敗しても戦っていく人が多いです。社内は、新しく変わる事を慎重に考える方々が多く、新規事業や新しいサービスの導入などは、お客様の利便性を最優先する考え方で、社内の説得を行っています。それは私の役目として努めています。部署のメンバーには、早く育っていってほしいと思っています。そのためには、積極的に新しいことに取り組む事が出来る社風へ変えていかないといけない、OMOとECとデジタルを起爆剤に5年後10年後を見据えて事業の拡大を図ってまいります。

写真:チヨダ EC事業部室 マネージャー 佐藤 武氏

日本オムニチャネル協会と共に挑戦し続ける未来のビジョン

ーー最後に、今後の展望についてお聞かせください。

安立: 弊社の靴は、消費者の生活を支援する機能を搭載したPBを開発しており、生活が便利になる事をコンセプトとしているため、合わせて買い物の便利性を上げられるように、EC事業、OMOの推進を行ってまいります。
また、デジタル技術を活用し、よりお客様の利便性を追求した新しいサービスの開発にも積極的に取り組んでいきたいです。それらを起点に、現場を巻き込みながら社内の変革を進めていきたいと考えています。

ーー日本オムニチャネル協会にはどのようなことを期待されていますか?

安立: これまで様々なことに挑戦できたのは、日本オムニチャネル協会のおかげだと思っています。物流、小売、システムに精通された方と様々な出会いを通して、どうデジタルの部分を広げていくか、進めていくか、を勉強させていただいています。後発な弊社でも、社内でチャレンジして、失敗して、を繰り返しているので、日本オムニチャネル協会の皆様はもっと先を進み、その過程で私たち以上にたくさんの経験から成功されていると思います。そんな皆様から解決法やノウハウをお聞きして取り組んできましたが、それがなかったら私たちの成長はなかったと思います。

ーー改革の中で、日本オムニチャネル協会が御社にとって大きな役割を果たしているんですね。

安立:今後も、他の業界の企業との交流を通して、デジタル化に関するノウハウなど様々勉強させていただきたいと思っています。

ーー本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。

安立・佐藤:こちらこそありがとうございました。

株式会社チヨダ
https://www.chiyodagrp.co.jp/

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