MENU

インタビュー

【特別対談:高瀬大輔×鈴木康弘】広告費分割・後払い(BNPL)サービス「AD YELL(アドエール)」

  • URLをコピーしました!

広告費を捻出できない企業向けに、費用の分割・後払いを可能にするサービスを提供するバンカブル。具体的にどんな仕組みで、「分割・後払い」を可能にしているのか。広告展開、投資強化できずにいる企業の課題と、サービス開発の経緯と機能について、バンカブル 代表取締役の高瀬大輔氏に聞きました。(聞き手:DXマガジン総編集長 鈴木康弘)

金銭的な理由などで広告展開できない企業向けの分割・後払いサービス

鈴木:デジタルホールディングスグループであるバンカブル。まずは御社の事業内容をご紹介いただけますか。

高瀬:当社は、広告費の分割・後払いサービス「AD YELL」を開発・提供する会社です。広告予算を投じ、自社の製品・サービスを訴求したいと考える企業は少なくありません。しかし、先行投資を掛けたくとも「キャッシュフローに余裕がない」などの理由で、十分な広告予算をかけられない企業は多くあります。こうした企業の課題を解決できないか。そんな思いで生まれたのが当社のサービスです。

 インターネット広告市場は2兆円を超えるとも言われ、拡大しています。その一方で、資金が潤沢ではない中小企業や創業間もないスタートアップ企業の中には、インターネット広告市場に打って出ることができない企業も多い。金融機関を通じて資金を準備しようにも、手間がかかったり即時性に欠けたりするといった問題もある。こんなギャップを埋められるようにするのがサービス提供の狙いです。

写真:バンカブル 代表取締役 高瀬大輔氏

写真:バンカブル 代表取締役 高瀬大輔氏

鈴木:キャッシュフローに余裕のない企業ほど、広告費を後回しにするイメージがありますね。やはり、金銭的な理由で広告展開を諦める企業は多いのでしょうか。

高瀬:多いと感じます。十分な広告を展開できなかったため、自社の優れた技術や製品・サービスを最適なタイミングで訴求できなかったというケースは多いのではないでしょうか。中には限られた少額の予算を使ってアフィリエイトなどを実施するケースも散見されます。しかし、それでは効果は不十分です。こうした企業に当社のサービスを案内すると、「こんなサービスを利用したかった」「ちょうど待っていた」なんて声をいただきますね。

写真:DXマガジン総編集長 鈴木康弘

写真:DXマガジン総編集長 鈴木康弘

next〈 2 / 3 〉:簡易な審査で広告費を迅速に調達できる仕組みとは?

簡易な審査で広告費を迅速に調達可能

鈴木:​「AD YELL」の「分割・後払い」の意味をもう少し詳しく教えていただけますか。

高瀬:広告を出す企業は一般的に、広告を出した翌月末(場合によっては事前にデポジットする)などに広告費を広告媒体先(もしくは広告代理店)に支払いますよね。「AD YELL」では、この翌月末の支払いを当社が立て替えます。広告を出した企業は、翌月末に広告費を支払わずに済み、後で当社に分割して返済していただくことになります。

 より集客投資を行うために、今以上の広告費をすぐに捻出できないという企業でも、最適なタイミングで広告展開できるようになります。分割払いのため、大規模な広告を展開しやすくなるといったメリットも見込めます。

鈴木:非常にユニークなサービスですね。分割回数や手数料は決まっているのでしょうか。

高瀬:分割回数は4回、手数料は100に対して3(税込み)です。例えば当社が広告費を翌月末に立て替えて支払った場合、その次の月から最大4回に分けて返済していただきます。広告費として100万円使った場合、手数料は3万円。4回に分割するので毎月の返済額は25万7500円となります。

鈴木:手数料が3%ってリーズナブルですね。広告を出したいという企業に対し、いくらまでなら立て替えますといった上限をどう決めているのでしょうか。

高瀬:当社では、企業を調査するのに財務諸表や決算書を参考にしません。原則として、顧客の商取引や売買などの履歴となるトランザクションデータをもとに適切なサポート額を算出します。過去の広告実績や業績の推移なども参考にします。こうした仕組みを用意することで、顧客は最短3営業日でサービスを利用開始できます。なお、サポート額の上限は年商の30%で、ここからトランザクションデータなどを参考にして額を算出するようにしています。

鈴木:算出したサポート額を3営業日までに顧客の指定口座に振り込むといった流れになるのでしょうか。

高瀬:いいえ。「AD YELL」では、顧客に即日利用可能な法人クレジットカード(VCN)を発行します。この法人クレジットカードの利用上限額が、当社が算出したサポート額となります。顧客は法人クレジットカードを使って広告費を支払い、その代金を当社が一括で立て替える、さらにその後、顧客が当社に代金を分割で返済するといった流れになりますね。

 なお、広告を出す企業と広告媒体先を広告代理店が仲介するケースでも利用できます。広告を出す企業が広告代理店に支払う代金を当社が一括で立て替えます。つまり、クレジットカード決済ではなく、請求書によるやり取りにも対応します。

図1:法人クレジットカードを活用した利用イメージ

図1:法人クレジットカードを活用した利用イメージ

図2:請求書ベースの取引時の利用イメージ

図2:請求書ベースの取引時の利用イメージ

鈴木:しかし、法人クレジットカードを広告費以外の用途に使われてしまうこともあるのではないでしょうか。

高瀬:確かに、経営者がクレジットカードを使って飲み代などを支払いかねませんよね。そこで当社では、発行する法人クレジットカードの利用を制限し、広告費以外(例え飲食代など)の用途で使えないよう設定しています。

鈴木:「AD YELL」は、主にどんな企業が利用しているのでしょうか。

高瀬:年商2000万円から3000万円の企業を下限に、上限は特に際限なく利用してもらうことを想定します。実際には、月の広告費が数百万円、多くても数億円といった企業のニーズが高いですね。そもそも大企業なら、広告費を分割・後払いする必要はありませんから。業種で言うと、顧客単価を想定しやすいD2CのビジネスモデルやEC事業を展開する企業が多いですね。SaaSやサブスクリプション型のサービスを提供する企業、コスメや美容、健康、ファッションなどを扱うEC事業者が多いです。

 なお、当社はShopifyを開発、提供するハックルベリーと業務提携を締結しています。Shopifyを使ってEC事業を展開する企業であれば、Shopify経由でECのトランザクションデータを容易に取得できます。当社サービスを申し込んだEC事業者は、トランザクションデータを準備する手間なく審査を受けられるようになります。

 当社では「AD YELL」のほかに、広告媒体の仕入れサイクルを延長するサービス「AD YELL PRO」も提供します。これは、中小規模の広告代理店の利用を想定したものです。広告媒体を買掛で仕入れる機会が増えたとき、大型の受注に耐えられなくなるといった状況を解決する用途に向きます。当社が広告媒体の買い付け代を一括で立て替え、広告代理店は当社に後で返済する流れとなります。

鈴木:御社が立て替えた広告費を、後で回収できるかできないかといった「信用」を見抜くのって難しいですよね。ただ、広告運用に課題を抱える企業に限ると、成長中の企業が多いように思います。であるなら、未回収になるケースは限りなく少ないかもしれませんね。

 企業をどう信用するか。お金を貸し出す金融機関に限ると、原則として「性悪説」に基づいて評価していますよね。御社はその点、「性善説」に基づいて企業に与信を与えている感じがします。こうした考え方のサービスって、利用する企業はもとより、社会にとっても意味のあるものだと思います。何より、広告にチャレンジしたい企業を応援するのが御社のサービス。御社の事業は非常に有意義ですよね。

高瀬:ありがとうございます。当社は、広告費を捻出したくても準備できない課題を抱える企業を信じたい。「AD YELL」はそんな思いの上に成り立っているのかもしれませんね。

next〈 3 / 3 〉:デジタル化を武器に「新たな金融のカタチを創る」

デジタル化を武器に「新たな金融のカタチを創る」

鈴木:御社の分割・後払いサービスがあれば、広告を積極的に展開したいと考える企業は増えてくるでしょうね。しかし、そんな企業の中には、そもそもインターネット広告について十分理解していない、広告のノウハウを持ち合わせないといった企業もいるはず。御社はこうした企業を支援する体制も整えているのでしょうか。

高瀬:当社は広告の具体的な施策や運用管理方法などをアドバイスすることはしていません。アドバイスを必要とする顧客がいれば、当社とアライアンスを締結する外部パートナーを紹介します。例えば当社は2021年9月、広告運用の自動化ツールを提供するShirofuneと戦略的業務提携を締結しています。広告媒体の配信設定や複数媒体の一括管理など、広告の運用管理業務の作業工数削減をサポートします。

鈴木:今後の事業展開や目標があれば教えてください。

高瀬:「AD YELL」は2021年9月にプレローンチしたばかりで、まさにこれからという段階です。まずは広告費の後払い・分割サービスを多くの企業に知ってもらうことに注力しなければなりません。営業やマーケティング活動を強化し、認知向上に努めていく予定です。もちろん、顧客が利用できるサポート額を増やせるよう、当社が保有する資金も増やしていかなければなりませんね。

鈴木:会社として将来のビジョンがあれば、ぜひ教えてください。

高瀬:当社は「新たな金融のカタチを創り出す」というミッション、紐付いて「誰もがチャレンジできる世界を。」を掲げています。この思いはこの先も絶対ブレることはありません。「AD YELL」では、顧客からの申し込みや審査に必要な情報収集など、フローのデジタル化を進めています。財務諸表を見たり面談したりといった従来の与信審査にとらわれない、新たな金融のカタチを描こうとしています。この仕組みこそ当社の強みであり、顧客の課題解決に役立つものであると考えます。ミッション、ビジョンをどう体現するかを見失わずに模索し続けることが、当社の将来を切り拓いてくれると信じます。

鈴木:3年後、5年後がとても楽しみですね。今後のご活躍を期待しております。本日はありがとうございました。

高瀬:こちらこそありがとうございました。

◆AD YELLについて
・サービス手数料 広告費100に対し3.0(税込)
・クレカ:
月末締め、翌月より各27日口座振替(金融機関休業日は翌営業日)
分割回数:4回(ショッピング分割手数料:なし)または一括
支払期間:4回払いの場合4か月、一括の場合1か月
利用可能先媒体は、 Google(Youtube含)・Yahoo!・LINE ・Facebook(Instagram含)・Twitter・Tiktok・LinkedIn・CRITEO・INDEED・Apple Search Ads・Pinterestとなりますが、 いずれにおいても決済可能であることを保証するものではありません。
・立替払(標準的な条件例):
広告月の月末締め翌月末に立替払、その翌月より各27日口座振替(金融機関休業日は翌営業日)
分割回数:4回(ショッピング分割手数料:なし)または一括
支払期間:4回払いの場合4か月、一括の場合1か月(立替払日から起算)
本立替払いの対象となる広告代理等契約がなくなった場合は、立替払の申込撤回されたものとみなします
・主な分割返済の例 100万円を4回分割でご利用の場合は以下の通りです ※分割払手数料:0円 ※支払総額:1,000,000円(1,000,000円+0円) ※分割支払金:1,000,000円÷4=250,000円 (なお、分割支払金とあわせ、サポート手数料30,000円(税込)について、7,500円(税込)ずつ4回に分けてお支払い頂きます)

◆AD YELL PROについて
・サービス手数料 クレジットカードによる媒体費100に対し2.2(税込)
・月末締め、翌々月27日口座振替(金融機関休業日は翌営業日)
・分割回数:一括のみ
・支払期間:2か月
・利用可能先媒体は、 Google(Youtube含)・Yahoo!・LINE ・Facebook(Instagram含)・Twitter・Tiktok・Apple Search Adsとなりますが、いずれにおいても決済可能であることを保証するものではありません

◆共通
・担保:なし
・遅延損害金(ご契約続行の場合・期限の利益喪失時ともに)
振替予定日または期限の利益喪失の翌日から完済の日まで弁済金(当該分割支払金または残金全額)に対し2.97%を乗じた額
・使途はご契約法人の事業用広告関連決済に限定させて頂きます。バンカブルの提供する広告関連サービスをご契約中のみご利用可能です。原則として本クレジットの途中解約はできません。
・その他詳細は弊社ドメイン(https://vankable.co.jp/)配下の規約およびサービスサイトをご参照ください

※上記全て、2022年8月時点の情報となります

株式会社バンカブル
https://vankable.co.jp/

シェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • 週刊SUZUKI
  • SUZUKI TV
  • DXセミナー

メルマガ登録

DXマガジンでは、DX成功のヒントを毎月約100本以上発信中!!
ご登録はこちらから!

メールアドレス (必須)

お問い合わせ

取材のご依頼やサイトに関するお問い合わせはこちらから。

問い合わせる