• TOP
  • インタビュー
  • 人材育成の決め手となる会社間留学「Vターンシップ」、社外での経験が成長を後押し - DXマガジン

インタビュー

2022.10.11

人材育成の決め手となる会社間留学「Vターンシップ」、社外での経験が成長を後押し

デジタルシフトウェーブとボルテックスは2022年9月20日、共催セミナーを開催しました。テーマは「現代版の武者修行『会社間留学』により社員の飛躍的な成長を促す~Vターンシップとは~」。デジタルシフトウェーブの代表取締役社長 鈴木康弘氏とボルテックスの代表取締役社長 兼 CEOの宮沢文彦氏が、人材育成の必要性や解決策を議論しました。

当日のセミナーの様子を動画で公開しています。ぜひご覧ください。

他人任せではなく自分事としてDX推進を

 デジタルを駆使して自社の変革を促すDX(デジタル・トランスフォーメーション)。多くの企業がその重要性を把握しつつも、「DXを推進する人材がいない」といった課題に直面し、DXを推進できずにいます。では、自社のDXを主導する人材をどう育成すべきか、社員の成長をどう促すべきか。共催セミナーでは、こうした課題の具体的な解決策を提示しました。

 セミナーではまず、デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長の鈴木康弘氏が登壇。日本企業のDXが進まない理由や、DXを加速させるのに必要なポイントを紹介しました。

 鈴木氏はDXについて、「企業は社会の目まぐるしい変化に追随しなければ生き残れない。生き抜くには、ITでありデジタルを活用することが必要だ。これまでの業務やビジネスをデジタルでどう変えるのかを考え、社会や消費者のニーズに沿った新たなビジネスモデルを創出すべきだ。こうした変革こそDXの本質である」と説明します。
写真:デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長 鈴木康弘氏

写真:デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長 鈴木康弘氏

 もっとも、日本企業のDXの取り組みは不十分だと鈴木氏は続けます。新型コロナウイルス感染症のまん延を機にDXが一気に加速したものの、足元を見ると「DX」という言葉だけが先行する状況だと指摘します。「ある調査によると、DXに取り組み中、もしくは取り組みを検討する大企業は7割を占める。しかし、DXとデジタル化の違いを説明できるかを聞くと、説明できるか分からないと答えた大企業も7割を占めた。つまり、デジタル化かDXかを分からないままDXに取り組んでいるのが実情だ。DXをきちんと理解せずに取り組んでもDXは成功しない」と警鐘を鳴らします。DXという言葉が広まり、「とりあえずやってみよう」とDXに取り組みだした結果、DX推進プロジェクトが暗礁に乗り上げるケースは少なくないといいます。

 具体的にどんな取り組みだと暗礁に乗り上げてしまうのか。鈴木氏は次の5つを主なケースとして提示します。
図1:DXが暗礁に乗り上げる5つの失敗ケース

図1:DXが暗礁に乗り上げる5つの失敗ケース

1.経営者が声をあげても、戦略も体制もなくまったく進まない
2.専任部門を設置しても、ノウハウ不足で停滞
3.マーケ部門が盛り上がるが、販促ばかりで何も変わらない
4.システム部門に任せても、システムツール導入が増えるばかり
5.外部委託で変革を目指すが、社内の定着に至らず自然消滅


 例えば「1」の場合、経営者が「DXに取り組みます」と宣言しても、経営者一人ではDXを進められないといいます。さらに、「DXは自社を変革する手段に過ぎない。大事なのはDXに取り組んだその後をきちんと描くことだ。取り組んだ後が不明確なままではDXを正しく進められない」(鈴木氏)と指摘します。

 鈴木氏はこれら5つの共通点として「他人任せ」であるのが問題だと強調します。「自分でやらずに他人、他社に任せようとする意識にこそ問題がある。さらに根本の課題は『人』であり『組織』にある。自社の社員や部署が変わろうとする意識を持たずしてDXは成し得ない。人の意識改革こそDXには不可欠だ」(鈴木氏)と訴えます。なお、ITのスキルや経験豊富な人材を外部から登用しても、変革の経験がなければDX推進プロジェクトはやはり暗礁に乗り上げるといいます。

 ではDXを主導する人材をどう育成すべきか。鈴木氏は具体的な方策として、「DX推進プロジェクトに参加させ、支援会社と協働することで育成できる。このとき、支援会社選びが重要で、DXの実践経験やメソッドを持っているか、デジタル化ではなく変革を支援できるか、最終的に自走できるよう支援するかなどを基準で選ぶのが望ましい」(鈴木氏)と指摘します。一方、「外部の勉強会や各種協会活動に参加し、幅広い人材交流によって育成するのも手だ。主体的でモチベーションの高い人材を選任するのがポイントとなる」(鈴木氏)と続けます。

 さらに鈴木氏は、他社への武者修行で育成するのが一案だと強調します。「他社に一定期間籍を置いて働き、新たな観点の仕事を通じて育成する方法も有効だ。ただしそのためには、どんな企業に籍を置くのかといった企業選定や、社員をフォローする体制づくりを考えることが企業には求められる」(鈴木氏)と指摘します。「社員の武者修行を支援するサービスの1つが、今回のセミナーに登壇するボルテックスの『Vターンシップ』である。人材育成に行き詰まったり、社員の成長を促したいと考えたりする経営者はぜひ、Vターンシップの特徴を理解して活用してほしい」(鈴木氏)とまとめました。

社外での経験が社員の成長を促す

 他社への武者修行を支援するボルテックスの「Vターンシップ」とはどんなサービスなのか。セミナーでは鈴木氏に続き、ボルテックス 代表取締役社長 兼 CEOの宮沢文彦氏が登壇。Vターンシップの仕組みや特徴を紹介しました。

 Vターンシップは、社員の育成や成長を望む企業(送り出し企業)と、その社員を受け入れて自社の業務に携わってもらう企業(受け入れ企業)をマッチングするサービス。送り出し企業の社員は出向という形で、受け入れ企業の業務に従事します。出向社員は一定期間、受け入れ企業でノウハウやスキルを習得。その後、自社に復帰して学んだノウハウなどを自社の業務にフィードバックします。社員の出向期間は両社で取り決めるものの、一般的には数カ月といった単位で実施するケースが多いといいます。
図2:Vターンシップのイメージ

図2:Vターンシップのイメージ

 Vターンシップのメリットを宮沢氏は、「人を成長させるには、いろいろな経験や体験を積ますことが大切だ。自社のみで新たな経験を積ませようとしても限界がある。自社とはまったく異なる環境や企業風土のもと、自社では味わえない経験を積めるのがVターンシップの何よりの強みだ」と指摘します。さらに雇用維持の面でも効果を見込めると宮沢氏は続けます。「今よりもっと成長したいと考える社員は少なくない。しかし、閉鎖的な環境だと、成長意欲の高い社員は離職しかねない。Vターンシップを使えば、成長したいと考える社員に相応しい環境を、受け入れ企業を通じて提供できる。人材の育成や成長を支援する環境を整えられない企業は、Vターンシップを活用することで社員の離職防止、雇用維持といった効果を期待できる」(宮沢氏)と言います。
写真:ボルテックス 代表取締役社長 兼 CEO 宮沢文彦氏

写真:ボルテックス 代表取締役社長 兼 CEO 宮沢文彦氏

 受け入れ企業にもメリットがあります。「自社にはないノウハウを持つ社員を受け入れれば、自社の弱い事業、業務を補強できる。例えば大企業ならではのビジネスの考え方をベンチャー企業が吸収する、もしくはベンチャー企業のビジネス視点やフットワークを大企業が学ぶなどのときにもVターンシップは有効だ」(宮沢氏)と指摘します。

 宮沢氏はVターンシップを提供する狙いについて、「業種や規模を問わず、多くの企業が人材の育成や成長に課題を抱える。Vターンシップは、こうした企業の人材戦略の一助を担える。育成や成長を目的に人材を社外に送り出し、別の企業が受け入れ、そして社員が戻ってくる…。こうした施策が定着すれば、日本全体も活性化するに違いない。そんな思いでVターンシップを提供する」(宮沢氏)と、その思いを述べます。さらに、「財務面を強化するだけでは企業の成長は見込めない。これからは財務面の課題と向き合うと同時に人材の課題解決にも向き合うべきだ。財務と人材を両輪で進めなければ、本質的な企業の成長は見込めないだろう」(宮沢氏)と人材育成の必要性を強調します。

 セミナーではVターンシップを使った事例も紹介しました。サービスを提供開始して間もないことから、ボルテックスが自社で利用した事例を取り上げました。

 1つは、法人営業職の40代男性を大手コンサルティング会社に送り出した事例です。ボルテックスの営業担当として思うように売上を作れずにいた中、コンサルティング会社の提案型営業の経験を積めるようにしました。約3カ月の出向期間に、チームコンサルティングのノウハウやスキル、顧客との合意形成の取り方、アイデアの出し方、自身の営業スタイルの強み/弱みの気づきなどを得られたと言います。その後ボルテックスの営業職として復帰し、4カ月後には2億円のディールを1人でまとめて結果を出しました。出向した社員は復帰後、「出向させてくれてありがとう。もし経験していなかったと思うとゾッとする」と喜びを伝えたと言います。

 もう1つは、事務職の20代女性を大手総合人材会社に送り出した事例です。女性は当初、退職しそうだったと言います。そこでどんな経験を積みたいのかを聞いたところ、営業に携わりたいことが分かり、大手総合人材会社で営業の経験を積めるようにしました。求職者や求人企業向けの営業ノウハウ、営業活動の管理方法、リモートワーク下での営業ノウハウなどを一通り習得したと言います。復帰後はこれら営業ノウハウをボルテックスの人材ビジネスに還元したほか、当人は自社のキャリアコンサルタントとして、活躍の場を広げることができたと言います。

可能性やチャレンジを後押しする人材戦略を

 セミナー後半は、鈴木氏と宮沢氏が対談。「これからの人材育成に必要なこと」をテーマに、3つの切り口で人材育成の課題やポイントを提起しました。

 1つ目の切り口は「これからの企業に必要な人材とは?」。宮沢氏は「日本に今足りないのはリーダーシップを持った人材だ。当社では、社員に向けてどんな人材であるべきかを行動規範として示しているが、その中でも次世代のリーダーシップを目指すことに主眼を置いている。自分の慣れ親しんだ考え方を飛び越えられるかどうか。そんな考えを持つ人材こそ企業には必要ではないか」と提案します。

 鈴木氏も同意します。「DXでは領域を踏み越えることが重要。踏み越えられるリーダーシップを備えた人材こそが企業のDXを大きく前進させる」と訴えます。さらに日本ならではの課題にも言及。「日本では、決まったことを確実にこなすマネジメントに優れた人材が目立つ。リーダーシップは育ちにくいように感じる。例えば、1990年代後半にリスクマネジメントという言葉が注目され出した。挑戦して起きてしまったリスクをどうコントロールするかが正しい解釈だが、実際はリスクを冒さないこと、すなわち挑戦しないことと置き換えられ定着してしまった。こんな背景も日本でリーダーシップが育たない要因の1つではないか」と分析しました。

 2つ目の切り口は「人材育成において大切なことは?」。宮沢氏は転職が育成や成長を阻害する要因の1つだと指摘します。「社員は一般的に、プレイヤー、マネジメント、経営といった段階を踏むことになる。しかし条件や環境が少しでも変わると転職してしまいかねない。プレイヤーからマネジメントへとステップアップせず、プレイヤーからプレイヤーへ転職することになり、その領域にとどまってしまう。これでは成長を見込めない。こうした人材の“横滑り現象”を食い止めるには、自社でチャレンジできる環境、経験を積ませる環境を提供できるようにすることだ。これにより、不満なら転職といった機会が減り、プレイヤーからマネジメント、マネジメントから経営といったブレイクスルーが起こりやすくなる。チャレンジや経験を積む環境づくりが社員の成長を後押しする」(宮沢氏)と述べます。

 この意見に鈴木氏も、「今の人材の傾向を見ると、ITやデジタルマーケティングなどの専門性を突き詰めるスペシャリストが増えていると感じる。スキルやノウハウに磨きをかけられるが、ブレイクスルーしない」と同意します。その上で、「人材育成で大切なのは『場』を用意することだ。企業には社員が成長する『場』を自社で提供することが求められる。提供しなければ社員は転職しかねない。専門性を突き詰めるのが悪いことではないが、今後はいろいろな経験を積める『場』の重要性が増す」(鈴木氏)と分析します。

 3つ目の切り口は「Vターンシップで何を目指すのか?」。宮沢氏はVターンシップを立ち上げた経緯について、「不動産業界を俯瞰すると、人の成長に力点を置いてないと感じた。売れさえすればいいという考え方が根付いている。例えば、トップセールスとして実績を積み上げる経験は貴重だが、それだけでは社会的にはキャリアは積み上げられない。社員の能力やキャリアを積み上げられるようにしなければ…。不動産業に参入した当初、抱いていたそんな危機感がVターンシップには込められている」と説明します。

 Vターンシップで、企業の可能性やチャレンジを支援することを目指すと宮沢氏は続けます。「企業は人材の育成や成長機会を創出できないと諦めず、成長するための可能性をわずかでも模索してほしい。全社員、全部署がチャレンジする企業風土も醸成してほしい。こうした思いを抱く企業の経営者はぜひ、Vターンシップのような新たな取り組みにトライし、人起点で自社を変革してほしい」と訴えました。

 ボルテックスでは、Vターンシップの効果を最大化する支援体制も整備します。キャリアコンサルタントの資格を持つスタッフが、Vターンシップの運用方法や効果、さらには出向社員に目的意識などを説明します。さらに送り出し企業、受け入れ企業も含めて、納得感を持って利用できるようサポートします。「経営者の理解はもちろん、現場が腹落ちすることがVターンシップを活用するには重要だと考える。そのためには時間をかけて丁寧に説明し、納得してもらった上できちんと成果を出せるようにする。それが当社の役割だ。送り出し企業だけではなく受け入れ企業もメリットを享受できるよう、双方がウィンウィンで効果を出せるような関係構築を支援する」(宮沢氏)と、ボルテックスが果たす役割も説明しました。

ボルテックスが10月18日、組織づくりをテーマにしたセミナーを開催

 ボルテックスは2022年10月18日、識学と共催セミナーを開催します。テーマは「激動の時代に勝つ“強い組織”の作り方~企業存続の鍵は「人」と「仕組み」~」。経営者や人事・人材部門の責任者を対象に、強い組織や正しい仕組みの作り方などを紹介します。識学 マーケティング部の田所剛季氏とボルテックス 人材ビジネスPJ責任者の浅井航氏が、今を生き残るのに必要な企業の在り方を議論します。
セミナー概要
テーマ 激動の時代に勝つ“強い組織”の作り方
~企業存続の鍵は「人」と「仕組み」~
開催日時 2022年10月18日(火)15:00~16:00
開催形式 オンライン開催
参加費用 無料
登壇者 株式会社識学 マーケティング部 田所剛季氏
株式会社ボルテックス 人材ビジネスPJ責任者 浅井航氏
登壇スケジュール 第一部(15:00~15:30):田所剛季氏
第二部(15:30~16:00)浅井航氏
共催 株式会社識学
株式会社ボルテックス


Ⅴターンシップサービスサイト
https://www.vortex-net.com/service/vturnship/


10/18開催 人材ビジネスセミナー
識学 × ボルテックス 共催
激動の時代に勝つ“強い組織”の作り方 ~企業存続の鍵は「人」と「仕組み」~
https://www.vortex-net.com/seminar/form/1461
21 件

人気記事

ピックアップ

用語集

全用語もしくはお調べになりたい用語の「頭文字」からお探しください。


ニュースレターはコチラ

最新のDX情報を定期的にお届けいたします。ご希望の方は下記フォームより必要事項をご記入ください。
メールアドレス  *
*必須事項

お問い合わせ

取材のご依頼やサイトに関するお問い合わせはこちらから

トップへ戻る