年間1,000万円以上の採用費をかけている中小企業は、賃上げの必要性を感じながらも、さまざまな理由から実行をためらっています。この実態は、株式会社給与アップ研究所が実施した実態調査でも明らかになっています。68.1%の企業が「大幅な賃上げにためらいを感じている」とし、特に「業績が安定せず、固定費の増加に踏み切れない」とする声が多く、企業総体の安定や生産性の不安が影響していることがわかります。
この中で、優秀な人材の離職も深刻な問題です。調査によると53.2%の企業が過去2年間に2名以上の優秀な人材が離職しており、その理由のトップには「給与水準への不満」が挙げられています。この状況は、特に人材確保が厳しい時期において、経営者にとって大きな悩みの種であると言えるでしょう。
さらに、23.0%の企業が業務改善に「取り組めていない」と回答しています。主な理由は「業務多忙で着手できない」や「改善のための時間が確保できない」などで、現場の忙しさが改善の足かせとなっていることが表れています。その一方で、日常的にたった15分の時間を確保できれば、業務の棚卸しから始めたいと考えている企業も31.9%に達しています。これは、業務を可視化することで改善点を見つけようとする意欲の表れです。
業務の棚卸しとは、自社の業務プロセスを整理し、どの業務が必要で、どの業務が無駄であるかを明らかにする作業です。この過程を通じて、業務の効率化や無駄の削減が図られるため、結果的には生産性の向上にもつながります。特に中小企業にとってこうした業務改善は、限られた資源を有効に活用し、賃上げに必要な余裕を生み出すために不可欠な戦略となるでしょう。
この調査結果は、中小企業が直面する賃上げの必要性、優秀な人材の流出、業務改善の取り組みに対する現実を浮き彫りにしました。経営者は業務の棚卸しを通じて日々の業務を見直し、持続可能な賃上げの実現と人材の確保に結びつけていく必要があります。最終的には、社員が満足し、一緒に成長できる環境を整えることが企業全体のパフォーマンスを向上させ、安定した経営を実現する鍵となるでしょう。
この記事を通じて、多くの企業が業務の棚卸しに取り組むことで、賃上げと人材確保の両方に側近していくことを期待します。賃金引き上げや優秀な人材確保は、企業の成長にとって欠かせない要素であり、業務改善の第一歩を踏み出すことが重要です。詳しくは「株式会社給与アップ研究所」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部海道