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2021.12.06

5Gが救命医療センターの課題解決に貢献、聖マリアンナ医大病院で実証実験

トランスコスモス、聖マリアンナ医科大学、NTTドコモ、川崎市の4者コンソーシアムは2021年12月2日、5G(第5世代移動通信システム)を活用した救急医療の実証実験について発表しました。同実証実験は、川崎市の聖マリアンナ医科大学病院の救命救急センターにおいて2021年12月6日から開始します。ドコモの5Gサービスを活用した遠隔映像の共有や、AIでの器具の位置判定などができるようにします。この実証は、総務省が公募した「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に採択され、実施するものです。

 人口高齢化の進展や、集団災害、新興感染症の拡大など、救急医療に求められる役割はますます大きくなっています。救急医療体制のさらなる強化は、持続可能な地域医療構築を進める上で喫緊の課題です。また聖マリアンナ医大病院のように、多数の救急搬送を受け入れている医療機関があります。そこでは、医師の労働時間が長時間となる傾向が指摘されており、適切な医療資源の配分も必要となっています。

 今回の5Gを活用した救急医療の実証実験(以下、同実証)では、これら地域・救急医療の抱える課題解決に向け、救急医療の業務効率化や長時間労働の改善を目指すものです。ドコモの5Gサービスを活用して、以下のような業務ができるようにします。

・多数対多数の高精細映像伝送による医師・病院間のリアルタイムコミュニケーション
・医療機器からの大容量動画データの転送
・AIを活用した処置状況の判定

 それらを目的として、以下のシステムの構築と実証を行います。

(1)360度カメラなどによる俯瞰(ふかん)的な映像共有と、スマートグラスを利用した医師の手元映像共有
(2)院内をストレッチャーで移動する患者の映像共有
(3)遠隔CT画像の共有
(4)大容量X線動画データの転送
(5)気管内チューブなど位置のAI判定

 今後、4者コンソーシアムでは同実証の結果を踏まえ、システム運用上のさらなる課題や解決方法を検討します。その上で、聖マリアンナ医大病院へのシステム本格導入を行います。そして、スムーズかつ効率的に多数の患者を受け入れられる体制の維持や、医療従事者の業務効率化と長時間労働の改善を目指します。さらに、これらの取り組みにより確認された成果などについて、国にも報告を行い、地域医療への反映・普及に努めていきます。

 同実証の概要は、以下の通りです。

1. 実証実験概要
(1)実証場所:聖マリアンナ医科大学病院(神奈川県川崎市宮前区菅生)
(2)実証開始日:2021年12月6日(月曜)

2. 実証実験内容
実証テーマ 実証項目 主な使用機材・技術
(1) 360度カメラなどによる俯瞰的な映像共有と、スマートグラスを利用した医師の手元映像共有 救急外来での処置の状況を遠隔から把握し、的確な情報共有が可能かを確認 ・5Gネットワーク
・360度カメラ
・スマートグラス
(2) 院内をストレッチャーで移動する患者の映像共有 患者搬送時の状況をリアルタイムで把握することが可能かを確認 ・5Gネットワーク
・Webカメラ
(3) 遠隔CT画像の共有 CT画面を4Kで撮影し、医師のタブレットへ送信することで、診断を行うことが可能かを確認 ・5Gネットワーク
・4Kリアルタイム
・映像伝送システム
(4) 大容量X線動画データの転送 高精細なX線動画データをリアルタイムに専用PCへ送信することで、診断を行うことが可能かを確認 ・5Gネットワーク
(5) 気管内チューブなど位置のAI判定 4Kカメラで撮影したX線画面をクラウド上にアップロードし、タブレットでAIによる解析結果を閲覧することが可能かを確認 ・5Gネットワーク
・クラウド
・AI
3. 各者の主な役割
トランスコスモス
 ・実証に関する全体運営統括
 ・実証報告書作成
聖マリアンナ医大
 ・実証フィールド(大学内)の提供
ドコモ
 ・課題解決システムの構築
 ・ドコモ5Gサービス(基地局)の提供
 ・技術実証の対応
川崎市
 ・実証結果の市内病院への共有支援
 ・救急搬送を行う立場での実証立ち合いと意見交換

 それぞれの実証実験の詳細について、以下に紹介します。

(1)360度カメラなどによる俯瞰的な映像共有と、スマートグラスを利用した医師の手元映像共有
現状 重症外傷患者の受け入れ時や多数の傷病者発生時には、多くの医師やスタッフが招集されるため、すぐには患者を診ることができない医師が多く、運用には改善の余地があります。
実証詳細 「重症外傷患者の救急外来処置の遠隔観察・把握」と、「多数の傷病者発生時における複数患者の診察状況の遠隔観察・把握」の2場面を想定して実験を行います。以下の情報について映像を通して共有します。
・スマートグラスによる治療医師の手技や患部の様子
・360度カメラなどによるバイタルモニター
・患者からの申し立て・これまでの経過などを記載したホワイトボード
・対応しているスタッフ など
期待される効果 ・遠隔にいる医師は、現場にいなくても患者の様子が分かるため、必要なタイミングで現場へ出向けるようになります。それにより、現場滞在時間の減少、現場に集まる医師数の削減が見込めます。
・より多くの医師、医療スタッフが現場の情報を共有できるようになります。現場と指令室と搬送先(手術室、検査室)とのリアルタイムな情報共有が可能となります。そのことで、患者ごとの重症度や、必要とされる処置に合わせた治療法、治療優先順位、治療・検査に向かうタイミングなどの最適化・効率化が図れます。
図1:5Gを活用した救急医療の実証実験(1)

図1:5Gを活用した救急医療の実証実験(1)

(2)院内をストレッチャーで移動する患者の映像共有
現状 救急患者のストレッチャーでの移動時に、容体の急変に備えて医師や看護師が複数名付き添うため、多くの人的稼働がかかっています。
実証詳細 院内をストレッチャーで移動する救急患者の映像を撮影します。それを、遠隔にいる医師のタブレットへ5Gを介してリアルタイムに映像を送ります。重症患者に多くある、ICUから血管撮影室への移動中など、医師が少ないエリアに移動しているときを想定し、移動中の患者の状況を遠隔からでも把握できるようにします。
期待される効果 ・遠隔から医師がリアルタイムに状況を把握することで、医療行為を行えないスタッフを移動担当者に選定しても、緊急時にはすぐに医師が対応できるため、移動担当者の人数削減・精神的負担の軽減が可能になります。
図2:5Gを活用した救急医療の実証実験(2)

図2:5Gを活用した救急医療の実証実験(2)

(3)遠隔CT画像の共有
現状 新型コロナウイルス肺炎などの罹患(りかん)の有無や、外傷性変化はすぐに判定しなければなりません。それにもかかわらず、画像の生成と、専用の画像配信システムへの転送には時間が長くかかることから、迅速な診断が行えません。また、専用の画像配信システムで診断する必要があるため、医師の診断室への移動時間や、診断室での待ち時間が発生しています。
実証詳細 CT撮影後にモニターに表示されるCT画像を4Kカメラで撮影共有します。そして画像診断医がタブレットを介して、リアルタイムにその画像を確認します。5Gでの高精細なリアルタイム映像共有により、画像閲覧システムへの配信を待たずに画像をもとに診断を行えるようにします。
期待される効果 ・CT画像のリアルタイムな映像共有によって、医師の移動時間および待ち時間の軽減、画像診断の迅速化による業務効率化が見込めます。
・複数医師の同時関与による診断の質の向上を実現します。
図3:5Gを活用した救急医療の実証実験(3)

図3:5Gを活用した救急医療の実証実験(3)

(4)大容量X線動画データの転送
現状 X線動画データの転送には、ICUなどの患者の元でX線動画を撮影し、そこから離れた場所にある画像生成を専用に行うサーバー端末まで赴きデータ転送作業を実施する必要があります。そのため、撮影から画像診断までに1時間以上を要しています。
実証詳細 5Gの特性を生かし、これまで困難であった大容量動画データの無線伝送ができるかを検証します。
期待される効果 ・将来、医療機器のモビリティ化が進んだ際に、大容量動画データの無線伝送ができることで場所を問わずリアルタイムな画像情報(X線動態画像)の解析が可能になります。
・それにより患者の移動が不要となり、患者の院内移動による負担、医療スタッフの患者移動にかかる稼働の削減が見込めます。
図4:5Gを活用した救急医療の実証実験(4)

図4:5Gを活用した救急医療の実証実験(4)

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