日本ロジテムの取り組みであるアシストスーツの導入は、物流業界に革命をもたらす可能性を秘めています。現代の物流業界では、EC需要の増加に伴い荷役作業の量が増大し、作業者にかかる身体的な負担も相応に増加しています。重い荷物の荷下ろしや仕分けが日常的に行われる中で、腰痛や労災のリスクが高まっており、少子高齢化による労働力の不足が影響を及ぼしています。このような社会課題に対処するために、アシストスーツの導入は労働環境を改善する重要な手段とされています。
日本ロジテム株式会社は、東京理科大学発のスタートアップである株式会社イノフィスが製造・販売する「マッスルスーツSoft-Power®」を計80台導入しました。このアシストスーツは、特に腰にかかる負担を35%軽減することが実証されており、作業者の日常的な負担軽減を目指しています。導入先は綾瀬、海老名、船橋、横浜、吉見の5拠点にわたり、これにより各拠点での作業効率の向上が期待されています。パレットや台車からの荷物の積み替え作業は、従来から身体的な負担があります。
日本ロジテムでは、外骨格型のアシストスーツの試験導入を行ってきましたが、動きにくさや装着時の煩わしさが課題でした。しかし、「マッスルスーツSoft-Power」が軽量でソフトなデザインを持っているため、高い評価を得ており、作業者の負担軽減が実現しています。今回のアシストスーツ導入にあたって、日本ロジテムは使用者への教育も重要視しています。作業に合わせた装着方法の指導を行い、職場における定着化を図ることで、より多くの作業者にこの技術を活用してもらう取り組みを進めています。アシストスーツの導入により、作業効率が向上するだけでなく、作業者の健康も確保され、長期的な職場環境の向上へとつながるでしょう。
今後、日本ロジテムはアシストスーツの使用者拡大を進め、より多くの作業者にこの革新的な技術を提供していく計画です。この取り組みは、物流業界における人材確保や職場環境の改善に向けた新たな解決策となる可能性があり、他の企業でも同様の導入が進むことで業界全体の生産性向上に寄与することが期待されています。
レポート/DXマガジン編集部香田