ユタカ交通は、2025年大阪・関西万博で和歌山県を訪れる観光客が約189万人に達すると予測されるなか、観光地間の移動利便性向上を図るため、AIオンデマンド交通を活用したMaaS実証実験を2025年1月6日から2月15日まで実施します。和歌山市内の主要観光スポットを効率よく周遊できる「和歌山城下町まるごとパス」や、関西国際空港と和歌山市を結ぶ送迎タクシー、地元の観光タクシープランなどを組み合わせて提供し、二次交通が未整備で移動手段が限られていたエリアの課題を解消するのが狙いです。
現状、和歌山市には和歌山城や紀三井寺などの魅力的な観光資源がある一方、バスの本数の少なさや最寄りバス停との距離、目的地付近に停留所がないなどの理由で観光客の移動が不便だと指摘されていました。万博期間中に大幅な来訪が見込まれる中、このままでは対応が難しく、地域経済にとっても大きな機会損失が懸念されていたため、より柔軟で効率的な移動手段としてAIオンデマンド交通を導入することになりました。
「和歌山城下町まるごとパス」は、スマートフォンからタクシーを呼び出すとAIがルートを自動で最適化し、乗合型タクシーとして効率よく観光スポットを巡回できるのが特徴です。南海和歌山市駅やJR和歌山駅と和歌浦・紀三井寺エリアの宿泊施設を結ぶ送迎プラン付きも用意されており、通常のタクシー利用より移動コストを抑えつつ、観光地を身軽に周遊できます。観光産業活性化を目指す和歌山市にとっては、公共交通不足という課題を解消する手段になると期待されています。また、タクシー事業者側にも、AIによる効率的な配車で稼働率の向上や空車時間の削減といったメリットが見込めます。
このほか、関西国際空港との送迎タクシーサービスや、和歌山市を拠点に高野山や白浜など周辺観光地を巡る観光タクシー、地元の食材を活かしたクエ鍋・イタリアンなどのグルメコース、対象店舗での特典が受けられるなど、利用者の滞在中の快適さや満足度を高める仕組みが複数用意されています。先着80名に1,000円割引クーポンが配布されるサービスもあり、より多くの方に利用してもらうことで、大阪・関西万博の来訪者に限らず、国内外からの観光客を呼び込みたい考えです。
ユタカ交通社は、AIオンデマンド交通による周遊パスを中心とした今回の取り組みを通して、和歌山市の観光価値を高め、地域経済の活性化と持続可能な交通モデルの実現を目指します。今後、万博に向けた二次交通整備と観光資源の連携を強化することで、全国や海外の旅行者からの注目度をさらに高める見込みです。
レポート/DXマガジン編集部折川