社会医療法人柏葉会が新たに開院した札幌柏葉会病院において、ブレインラボが提供する次世代型マルチデジタル情報システム「Buzz O.R. Suite」が導入されました。このシステムは、医療現場における情報統合と効率的な手術支援を目的とし、世界標準の医療を目指す同病院の「smart OR」構築において中心的な役割を果たしています。
札幌柏葉会病院は、これまでの柏葉脳神経外科病院を移転し、2024年12月に新病院として開院しました。この病院では、脳血管内治療や高度な脳血管外科手術を支える「シームレス」な手術室および救急救命室である「smart OR・smart ER」が設けられました。その中核となる「Lumina Bridge」は、ハイブリッド手術室をさらに発展させた情報統合型の次世代手術環境です。
導入されたBuzz O.R. Suiteは、手術室内の情報を統合し、リアルタイムでの制御と管理を可能にするネットワークベースのプラットフォームです。このシステムは、4K画質をサポートする映像配信技術(VoIP)を活用し、医療用DICOM画像や映像インターフェースを一元化することで、手術室内の多様なデジタル情報を効率的に扱います。また、同システムはブレインラボ製Curve2ナビゲーションシステムと連携し、術中CTやアンギオ画像などの情報をデジタル統合します。これにより、拡張現実(AR)を活用した画像表示や自動レジストレーションが可能となり、正確性と効率性を兼ね備えた手術支援を実現します。
さらに、Buzz O.R. Suiteは、手術室外とのシームレスな双方向ライブ映像通信を可能にし、医局や外来での術中映像共有やカンファレンスでの教育的活用にも対応しています。「NEXAVISION」と名付けられたカンファレンス室では、55インチの9面LCDビデオウォールを通じて、手術室の状況をリアルタイムで共有し、高度な議論や学習を行うことができます。
札幌柏葉会病院の寺坂院長は、地域医療に高度で専門的な医療を提供し、日本を代表する神経科学拠点病院を目指すことを強調しています。また、ブレインラボの惠藤信一郎部長は、設計段階からの協議により期待されたソリューションの導入が実現したと述べています。
札幌柏葉会病院は「信頼と尊敬の医療」を理念に掲げ、脳疾患の救急治療や高度医療の提供に取り組んでいます。年間2,000台以上の救急車を受け入れ、450件を超える手術を行うほか、人工知能を用いた臨床研究や先端医療研究にも注力しています。新たに導入されたBuzz O.R. Suiteは、病院の先進的な取り組みを支える重要な技術基盤として、医療の質向上と効率化に貢献しています。
レポート/DXマガジン編集部折川