NTT株式会社は2025年10月20日、日本語処理性能とセキュリティを大幅に強化した国産大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi 2」の提供を開始しました。生成AIの導入が企業に広がるなか、同社は「日本語に強く、安全で、コストを抑えたAI基盤」を掲げ、国内のDX推進を後押ししていく考えです。
「tsuzumi 2」は、NTT独自のAIアーキテクチャと光ネットワーク技術を組み合わせ、日本語の理解・生成能力を従来比で約1.8倍に向上させたモデルです。特に、企業内の閉域ネットワークやオンプレミス環境でも安全に利用できる点が特徴で、情報漏えいリスクを抑えながら生成AIを活用できる仕組みを整えています。また、クラウド版では海外モデルに比べて約30%のコスト削減を実現し、中堅・中小企業にも導入しやすい価格帯を提示しています。
近年、ChatGPTなど海外製LLMの利用が急速に広がっていますが、企業からは「社内データを外部に出したくない」「日本語の精度が十分でない」といった懸念も多く聞かれます。NTTはこうした課題に応える形で、国産LLMの実用化を本格的に推進します。とくに、法務・会計・製造など日本語特有の専門用語を含む文書生成に強みを持ち、企業の業務プロセス全体で活用できるモデルとして注目されています。
発表資料の中でNTTは、「日本語に最適化されたLLMを国内企業や自治体に提供し、安全で持続的な生成AIエコシステムを構築していく」とコメントしています。同社では、すでに複数の自治体や大手企業との実証実験を進めており、2026年度中に1,000社以上の導入を目指すとしています。
生成AIの導入は多くの企業で実験段階を超え、「どのモデルを使い、どのように安全に運用するか」が問われるフェーズに入っています。NTTの「tsuzumi 2」は、国内法規やガイドラインへの対応、既存システムとの連携のしやすさといった実務的な要件を満たし、現場で“使えるAI”としてのポジションを確立しようとしています。
海外勢が先行する生成AI市場において、NTTの取り組みは「国産AIの逆襲」とも言える動きです。日本語処理に強みを持つ国産モデルの登場は、外資モデルに依存してきた企業にとって新たな選択肢となり、AI活用の主導権を取り戻すきっかけとなりそうです。2025年は、国産AIが本格的に社会実装へ踏み出す節目の年になるかもしれません。






















