日本取引所グループ(JPX)が、社内の共通基盤「J-WS」をAmazon Web Services(AWS)上に整備し、適時開示情報伝達システム「TDnet」のフルクラウド化に踏み切りました。AWSとのパートナーシップを通じてレジリエンスや説明責任の確保を図り、2027年度の本稼働を目指しています。
JPXのクラウド化推進とその背景
JPXは2030年までにグローバルな総合金融・情報プラットフォームを構築することを目指しており、その一環としてデータの利活用を最重視しています。田倉聡史氏(JPXの常務執行役CIO)によれば、クラウドとAIがそのキーファクターで、大量のデータをより広い顧客にリーチできる環境を整備するために、AWS上に「J-WS」を構築し、その上にデータサービス基盤「J-LAKE」を設けているとのことです。
AWSとのパートナーシップ
JPXはAWSと共同でタスクフォースを設置し、説明責任の確保について議論を重ねました。特に、インシデントの発生時に詳細な報告が必要となる金融機関の課題を解消するため、JPXとAWSは過去のインシデントと同レベルでの説明責任が果たせるように要件を定義しました。
TDnetのフルクラウド化
このようなAWSとの連携を経て、TDnetをAWS上のJ-WSに移行することが決断されました。TDnetは、上場会社の適時開示におけるプロセスを電子化するシステムであり、秘匿性の高い情報を扱うため、堅牢性が求められるシステムです。また、24時間365日稼働し、開示の集中にも耐えうるシステムの可用性とパフォーマンスの確保も必要です。
データ活用とAIの導入
JPXは、データサービス基盤J-LAKEにより広範囲なデータを集約し、社内外での利活用のハブとしていく方針です。証券会社のバックオフィス業務向けのデータ配信や、開示資料の作成を支援する対話型AIの実装、適時開示資料の検索サービスの構築など、AIの活用推進も進められています。
グローバルな事例との関連性
グローバルにおける金融商品市場を中心としたミッションクリティカルな領域でのAWS事例は増えており、その中でもナスダックは4つのマーケットをAWSのクラウドで稼働しています。また、クラウド利用が始まってから10年も経たずにミッションクリティカルなシステムのクラウド化が当たり前になってきたという事実は、JPXのクラウド化推進においても大きな意義を持つと考えられます。






















