デジタル庁は、ガバメントAIで試用する国内大規模言語モデルの公募を開始しました。行政現場での生成AI実装を加速する取り組みの一環で、共通利用基盤「源内」を通じて各府省庁の業務に活用することを想定しています。少子高齢化に伴う担い手不足が深刻化する中、公共サービスの維持と強化に向けて、生成AIの安全かつ実務的な利活用を進める狙いがあります。デジタル庁は2025年5月以降、庁内向けに源内を構築して運用を開始しており、政府職員が早期にAIに触れ業務適用できる環境整備を段階的に進めています。今回の公募は、行政文書に特有の日本語表現や様式に適合する国内開発LLMの採択と検証を通じ、具体的なユースケース創出と精度向上サイクルの確立を目指すものです。
公募の目的と対象モデル
目的は、行政実務の質向上と省力化に資する国内開発LLMの実用性や課題を評価し、将来の本格提供につなげることです。対象は国内で開発されたLLMに加え、SLMや公共・行政など特定ドメイン特化モデルも含まれます。自然言語を取り扱うモデルのみが対象で、画像や音声、動画、コードなど単一モダリティ専用モデルは対象外です。活用想定は、対話型AIサービス、行政実務特化アプリへの組み込み、その他と示されています。源内上での試験導入と評価検証を通じ、選定モデルを一部のAIアプリで活用し、検証結果の一部は開発元へフィードバックする枠組みの検討が明記されています。
参加条件とスケジュール
参加条件には、ガバメントクラウド上の推論環境で動作し、政府職員が機密性2情報を扱える十分なセキュリティの確保が含まれます。海外主要LLMとの比較ベンチマークの提供と、ハルシネーションやバイアス、有害コンテンツ生成に関する安全性の取り組みの説明が求められます。2026年度は無償提供が条件で、関係府省庁職員への推論提供、性能最大化に向けた情報提供やカスタマイズなど技術支援、評価結果の一部公表への同意も必要です。公募期間は2025年12月2日から2026年1月30日で、2026年1月から一部省庁で源内の試験利用、2月から3月頃に選定、5月頃に他府省庁展開、夏頃に国内開発LLMの試験導入開始が示されています。
実務に向けた提言
応募を検討する国内企業や研究機関は、ガバメントクラウド対応の推論環境整備と、比較可能なベンチマーク指標の設計を早期に進めるとよいでしょう。安全性に関するポリシーと検知抑制手法、監査ログや運用体制の説明資料を準備し、想定ユースケースに即したデモと技術支援計画を用意すると評価に資します。行政機関側は、源内での試験適用業務を絞り込み、評価観点とKPI、レビュー体制を事前に定義することで、検証フェーズを短期間で回せます。これにより、2027年度以降の本格提供に向けた要件定義と導入計画を具体化できます。
詳しくは「デジタル庁」の公式ページまで。






















