高市首相と国民民主党の玉木代表は、所得税の課税が始まる「年収の壁」を現行の160万円から178万円へ引き上げる合意書に署名しました。合意内容は、与党が19日にとりまとめる2026年度税制改正大綱に盛り込まれる予定で、首相は「所得を増やして消費マインドを改善し、事業収益が上がる好循環を実現するための最終判断」と述べました。昨年12月に自民、公明、国民民主の3党で掲げた「178万円」方針は、25年度は財源面で160万円にとどまっていましたが、今回の合意で当初目標へ到達する形です。商議は法改正と関係当局の手続きを前提に進み、合意書には26年度税制改正法案と26年度予算案を年度内早期に成立させる方針も明記されました。玉木代表は「信頼関係はより醸成された。予算案の成立に向け協力することになる」とコメントしています。
合意は、中所得層の手取り増を強く意識した設計です。基礎控除を最大限受けられる所得層の範囲を、従来の年収200万円以下から年収665万円まで広げ、納税者の約8割を対象とします。665万円までの拡大は26年から27年までの2年間の時限措置で、約6500億円規模の減収が見込まれます。あわせて、給付と減税を組み合わせる「給付付き税額控除」の導入を念頭に、所得税の控除の在り方を3年以内に見直す方針です。政策パッケージとしては、賃上げや家計支援を通じて消費を下支えし、景気の好循環につなげる狙いが示されています。税制周辺では、自動車購入時の「環境性能割」は廃止で合意し、高校生年代の子を持つ世帯の扶養控除は当面維持します。政府与党が検討していた環境性能割の2年停止案から、国民民主の要求を受けて廃止に転じた形です。
企業の人事や経理担当者は、年収178万円の新基準を踏まえて、シフト設計や年末調整の案内文、社内FAQを早期に更新することが重要です。時限措置の基礎控除拡大に伴い、給与計算や年末調整システムのロジックを見直し、テスト環境で検証を進めると混乱を避けられます。パートやアルバイトの就労調整の抑制が和らぐことで、人手不足の緩和が期待される一方、繁忙期の配員計画をデータに基づき再設計する必要があります。家計側では、可処分所得の増加を見込んだ教育費や耐久財購入の計画が立てやすくなりますが、措置は26年から27年の限定であるため、28年以降の制度変更リスクを織り込んだ資金計画が現実的です。自治体や教育機関は、扶養控除の維持を前提に関連手当や案内資料の更新を準備してください。






















