1987年以来となる大規模見直しが本格化しています。テレワークや副業が広がる現在、従来の前提では整理できない論点が顕在化しました。なぜ今、抜本改正が必要と判断されたのか。制度論だけでなく、産業構造とデジタル化の進展に根差した背景をコンパクトに整理します。
改正の背景と目的は何か
労働基準法の大幅改正は、約40年ぶりの節目に位置づけられます。2018年成立の働き方改革関連法には、施行後「概ね5年を目途」に検討と見直しを行う旨が附則に明記されていました。この経緯が、今回の再点検の制度的な起点になっています。その間、産業構造の変化と働き方の多様化、デジタル技術の急速な発展により、現行法が想定しない就労形態が増えました。コロナ禍でテレワークが一気に普及し、副業や兼業の拡大も進んだことで、企業運営と労務管理の前提に大きなズレが生じています。こうした状況を踏まえ、解釈運用では限界があるとして、2024年に「労働基準関係法制研究会」が設置され、施行状況の検証と将来を見据えた論点整理が進められました。2025年1月には、労働時間や休日制度に加え、労働者の範囲や労使コミュニケーションの在り方まで含む包括的な改正案が報告書に取りまとめられ、「40年に1度の大改正」として注目を集めています。
現代の特徴として、勤怠管理システムや給与計算システムが高度化し、タレントマネジメントやAIなどの技術で人事・労務データの質と量が飛躍的に向上した点が挙げられます。従業員単位でリッチなデータが扱えるようになり、これまで困難だった複雑な処理の自動化が現実的になりました。日本社会は労働人口の減少に直面し、多様な事情を抱える人々が能力を発揮できる仕組みづくりが急務です。人材の流動化や交流を促し、イノベーションが生まれる環境を整えることも重要です。企業側には、働き方やコンディションをきめ細かく把握し、適切に運用する体制が強く求められています。結果として、今回の改正や制度変更は負荷を伴う一方で、デジタル技術の活用を前提にした人事制度改革へとつながる側面があります。勤怠、給与、人材データを統合し、テクノロジーを戦略的に取り入れることが、これからの労務管理と人材活用の土台になると整理できます。
見解 デジタル環境の整備が進んだ今こそ、制度と運用を接続する絶好の機会です。背景を正しく捉え、データ連携を軸に持続可能な運用設計へ移行することが重要です。
詳しくは「jinjer株式会社」の公式ページまで。 レポート/DXマガジン編集部






















