「レアアースはどこで使われているのか」。家電からクルマ、発電まで、暮らしと産業のあらゆる場面を支える重要素材です。希土類と呼ばれる17元素の総称で、強力磁石や発光体、触媒など多用途に広がっています。抽出や分離が難しいため供給が偏在しやすい点も特徴です。種類と性質、代表的な使われ方を体系立てて紹介します。
レアアースの基礎、供給の特徴、そして何に使われるのか
レアアースは、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド15元素を合わせた17元素の総称です。いずれも第Ⅲ族の性質を持ち、鉱石中では単体で産出しにくく、分離と精製に高度な技術が必要です。地殻中の存在量は金属として極端に少ないわけではありませんが、製錬の難しさが供給制約につながります。生産は中国の比重が大きく、分離精製工程の集積が背景にあります。埋蔵はブラジルやベトナム、ロシア、インドなど各地に広がり、日本近海の深海にはレアアース泥の存在も知られています。レアメタルという言葉と混同されがちですが、レアアースは希土類の17元素を指し、レアメタルはリチウムやコバルトなどを含む希少金属全般を表します。
レアアースは用途の広さが価値です。ランタンは光学レンズやニッケル水素電池の負極材として活用されています。セリウムはガラス研磨剤や自動車の排ガス触媒で重要な役割を担います。ネオジムは最強クラスの永久磁石材料として、モーターやHDD、各種アクチュエータに使われます。ジスプロシウムやテルビウムはネオジム磁石の添加材として保磁力や温度特性を高めます。サマリウムは磁石や触媒に用いられ、サマリウムコバルト磁石は高温や腐食環境に強い特性でセンサなどで重宝されています。ユウロピウムは発光材料、ガドリニウムは磁気冷凍などの研究用途で存在感を持ちます。プロメチウムのように工業用途が限られる元素もあり、元素ごとに役割が明確です。
特に注目されるのが希土類磁石です。サマリウムコバルト磁石は1969年に登場し、高温下でも性能が安定することから航空機器や計測、センサ分野で普及しました。ネオジム鉄ボロン磁石は1983年に実用化が進み、風力発電や電気自動車の駆動モーター、エアコンのコンプレッサーなどで不可欠な材料になりました。1990年に報告されたサマリウム鉄窒素磁石は、焼結による高性能化は難しい一方、樹脂と混合するボンド磁石として高い保磁力と耐熱性を発揮し、小型モーターやセンサの薄肉部品に適しています。各磁石の特性の違いが、搭載環境や温度条件に応じた材料選択の根拠になります。
住友金属鉱山株式会社は、希土類磁石材料の研究開発と工業化に長年取り組んできました。サマリウムコバルト系やネオジム鉄ボロン系の原料供給に加え、サマリウム鉄窒素磁石材料の量産化でも実績を重ねています。サマリウム鉄窒素の製品群は継続的に製造されており、ネオジムやコバルトの供給リスクを抑えながら高い磁気特性を実現する材料として紹介されています。粉末製造からボンド磁石成形までの一貫したプロセス技術と設計ノウハウを備え、用途に応じた磁気特性と形状の提案を可能にしている点が特徴です。こうした取り組みは、実装現場での設計自由度や性能の安定化に直結します。
用途の視点で整理すると、モビリティとエネルギー転換分野での重要性が際立ちます。風力発電の発電機や電気自動車の駆動モーターは高出力と高効率が求められ、ネオジム系やサマリウム系の磁石が強みを発揮します。家電ではエアコンや冷蔵庫、HDDなどで小型高効率化を実現しています。産業機器ではロボットのアクチュエータや各種センサに用いられ、温度変動や減磁に強い材料の選択が信頼性に直結します。発光や触媒の分野でも、ユウロピウムやセリウムなどが製品性能を左右します。こうした多面的な用途は、レアアースの種類ごとの特性を組み合わせることで成立しています。
資源と供給の課題も理解しておくことが重要です。分離精製の設備と技術を保有する地域に生産が集中しやすく、供給面の変動が価格や添加設計に影響します。ネオジムとジスプロシウムの添加バランスは性能とコストを左右し、代替組成や添加量最適化の工夫が進められています。サマリウム鉄窒素のようにボンド磁石で成形性と寸法精度を高める選択は、軽量化や複雑形状の実現に有効です。用途に応じて、耐熱性、保磁力、成形性、コストのバランスを設計時点で見極める姿勢が、安定調達と性能確保につながります。
用語の整理は誤解の回避に役立ちます。レアアースは希土類の17元素の総称であり、レアメタルは希少金属全般を指す広い概念です。英語圏ではレアアースという語が希土類を意味することが多く、コミュニケーションでは文脈に応じてどの集合を指すのかを確認することが大切です。種類、性質、用途、供給の四点をセットで理解することで、材料選定と調達判断の一貫性を保つことができます。
見解 レアアースの実務は、元素ごとの機能と供給の両面を同時に見ることが肝要です。磁石材料では温度条件と形状制約を起点に、ネオジム系、サマリウム系、ボンド磁石の適材適所が鍵になります。
詳しくは「住友金属鉱山株式会社」の公式ページまで。 レポート/DXマガジン編集部






















