プレスリリースで使われたキーワード1位は「DX」、注目は4カ月で32倍まで増えたあの言葉

　PR TIMESが発表したキーワードランキングは、プレスリリース配信サービス「PR TIMES」経由で配信したプレスリリースが登録するキーワード数をもとに算出します。2023年1月1日～5月31日までに配信された14万1703件のプレスリリース、登録キーワード数23万1220個（延べ111万6472個）が対象です。

　総合1位になったのは「DX」。2021年以来の1位となりました。2位は「イベント」で、新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着きつつある状況を反映した結果といえます。PR TIMESによると、これらのキーワードはここ数年、ランキングの上位を占めているといいます。プレスリリースの定番キーワードとなっています。

一方、2022年で1位だった「SDGs」は4位でした。とはいえ、関連キーワードの「サステナブル」が19位に入ったように、依然として多くの企業がSDGsやサステナブルを考慮したプレスリリースを発信し続けていることが読み取れます。

月別のランキング（上位20）が図2です。

　総合1位だった「DX」は、1月、2月、4月で1位でした。総合2位の「イベント」は、3月と5月で1位でした。

一方、総合7位だった「AI」は、1月から5月にかけて順位を上げています。1月は12位でしたが、その後、8位、7位、5位、3位と順位を上げています。背景にあるのは「ChatGPT」の躍進です。4月の順位は12位、5月の順位は10位と、この2カ月で一気に上位を占めるようになっています。なおPR TIMESによると、企業の個別サービス名が総合ランキングで上位に入ることはこれまでになく、異例のランクインとのことです。

PR TIMESは、今後さらに増加を見込める注目キーワードも発表しました。それが「ChatGPT」です。「ChatGPT」の登録件数の推移を示しているのが図3です。

　「ChatGPT」は2月に増え始めて以降、3月から5月にかけて急増しています。総合順位は3月が35位（363件）、4月が12位（545件）、5月が10位（546件）と急上昇しています。1月から5月にかけて、登録数は32倍となっています。ChatGPTを活用した新たなサービスはもちろん、既存のSaaSなどの追加機能に活用するケースが多く、関連するセミナーが増えたことも上昇に寄与しています。

「ChatGPT」の盛り上がりによって使用件数を増やしているのが「AI」です。「AI」の登録件数の推移を示しているのが図4です。

　「AI」は5月に総合3位（1019件）となっています。これまでも「AI」のキーワードを登録したプレスリリースは多く、総合ランキングでも上位を占めていました。既存の使い方以外に、画像生成AIやAI音声といった新たな動きが現れたことが増加を後押ししていると考えられます。

なお、注目キーワードには「ChatGPT」のほか、「GX」と「脱マスク」を挙げています。「GX」の登録件数の推移を示しているのが図5です。

　2022年同期（2022年1月～5月）に38件だった「GX」は、2023年1月～5月には165件と4.3倍に増えています。自治体と連携して産業用大麻の栽培を開始するなどの企業GXへの取り組みが見られたこと、企業が「GXリーグ」に参画したことなどが件数増加に寄与しています。「SDGs」や「サステナブル」同様、企業活動を表す言葉として「GX」が使われ始めることも考えられます。

「脱マスク」のキーワード登録件数を示したのが図6です。

　「脱マスク」は2022年1月～5月にわずか1件、2022年8月～12月の5カ月でもわずか8件でした。しかし、2023年1月～5月は70件まで増えています。マスク着脱に関する意識調査が散見されたほか、スキンケアやメイクといった美容商品、オンラインで歯のホワイトニングができるサービス関連のプレスリリースが増え始めたことが増加に寄与しています。

今後、増えるだろう上昇キーワードの推移を示しているのが図7です。上昇キーワードとして、「リスキリング」「インバウンド」「人的資本」を挙げています。

　上昇キーワードとして「リスキリング」「インバウンド」「人的資本」を挙げています。各キーワードの登録数と、上昇する背景は次の通りです。

「リスキリング」
2023年上半期（1月～5月）は、724件のプレスリリースで「リスキリング」が使われています。昨年同期（1月～5月）比で6.3倍超に伸びています。企業の研修制度はもちろん、個人のリスキリング需要に応えるように、セミナーやコーチングサービスに関するプレスリリースが増えたことが背景にあります。

「インバウンド」
2023年上半期（1月～5月）は、661件のプレスリリースで「インバウンド」が使われています。昨年同期（1月～5月）比で3.6倍超に伸びています。各事業者によるインバウンド対応の新サービス提供開始をはじめ、インバウンド需要に応えようとする事業社への支援サービス増加が背景にあります。

「人的資本」
2023年上半期（1月～5月）は、312件のプレスリリースで「人的資本」が使われています。昨年同期（1月～5月）比で5.2倍超に伸びています。多くのプレスリリースで「リスキリング」とともに使われています。人的資本経営を打ち出すセミナーやカンファレンスが増えたことも背景にあります。

なお総合ではなく、プレスリリースのカテゴリを「企業向けシステム・通信・機器」に限定したときの登録キーワードのランキングが図8です。

　「企業向けシステム・通信・機器」カテゴリでは、「DX」1位、「AI」が2位で、例年通りのキーワードが上位を占めています。

一方で、8位に「ChatGPT」、14位に「Web3」、16位に「ブロックチェーン」、18位に「メタバース」がランクインし、先進的な技術がプレスリリースで積極的に打ち出されていることが分かります。

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