新型コロナウイルス感染症のまん延を機に、多くの企業が従業員の働き方を見直しつつあります。ITを積極的に活用し、遠隔でもコミュニケーションを図ったり、ツールを使ってコラボレーションを進めたりする環境を整備しています。
ではコロナの前後で、企業のIT利用状況はどれだけ変わったのか。ソニーネットワークコミュニケーションズが実施した調査では、ITの利用状況やIT導入と未導入で業績や従業員の年収に違いがあるのかを調査しています。早速見てみましょう。
まず、IT化の進捗状況を5段階で聞いた結果が図1です。
「全体的に進んでいる」(11.6%)と「大半の部署で進んでいる」(14.6%)を合わせた企業と、「1、2部署で進んでいる」(14.8%)と「計画段階にある」(19.8%)を合わせた企業をまとめると6割以上の企業が何かしらのIT化策に踏み切っていることが分かります。一方で「全く進んでいない」と回答したIT化未導入企業は39.2%で、二極化の傾向が顕著に表れています。
では、IT化策を進める企業と未導入の企業で業績に変化は見られるのか。新型コロナウイルス感染症のまん延前(2019年度)とコロナ後の調査時点の業績について聞いた結果が図2と図3です。
コロナ前(2019年度)と調査時点(2022年9月)の「企業の業績」や「収入」を比較すると、推進化企業では34.7%が業績向上、26.2%が給与増加しています。これに対し、IT化が進んでいない企業は40.2%が業績低下、26.4%が給与減少でした。業績はITの導入状況以外の要因も多々関係しますが、調査結果からIT推進化企業とそうでない企業で明確な差があることが分かりました。
IT化の推進に必要な支援策を知っているか知らないかを、IT化を推進する企業とそうでない企業別に聞いた結果が図4です。
IT化推進の有無が企業の業績や社員の収入と相関する傾向があった一方、IT化が進んでいない企業のうち、約5割(48.4%)がIT化推進に必要な支援策が不明であるということが分かりました。