日本オムニチャネル協会は、2023年4月25日、第1回IT勉強会を開催しました。
今回のテーマは、最近、世の中の興味関心が高まっているノーコード。
なぜノーコードが注目されているのか。そして、ノーコードで何をどこまでできるのか。
モデレーターとしてノーコード推進協会代表理事でアステリア株式会社CXO首席エバンジェリストの中山五輪男氏、ソリューション紹介として、サイボウズ株式会社営業本部営業戦略部Co-Creation Teamリーダーの中江麻未氏、株式会社visumo取締役ジェネラルマネージャーの千林正太朗氏が登壇し、ノーコードについて講義しました。
ノーコードとその価値とは
同氏は、ノーコードとは、コーディング、つまり、プログラミングをせずに、ウェブサイトやアプリケーションを作ったり、いろいろなシステムをデータ連携することと定義。ノーコードが中小企業のDXを救うと主張しました。
そもそも、海外では、自社の業務に合わせたパッケージソフトを活用するか、内製化することが一般的です。
一方、日本ではまだノーコード文化が浸透しているとはいえません。DXを進める中堅~中小企業の中には、少ない予算で無理をしてしまうケースや、外部のコンサル会社やIT企業に任せすぎてしまうケースもあります。
「日本ではデジタル人材がほとんどIT企業にしかいない。日本人はソフトウェアとの付き合い方を少し変えていかないとだめではないか」と指摘する中山氏。
その上で、他人に任せず、社員自らがプログラミングせずに業務アプリなどを作って業務変革する考え方を「ノーコード思考」と名付け、ノーコードを実現すれば、自分たちで必要なアプリケーションを作ることができ、業務変革を加速させることができるとしました。
キントーンのノーコードアプリ開発で、小売業の情報共有を円滑化する
キントーンはノーコードで業務アプリを開発できるクラウド型のプラットフォームで、顧客管理やタスク管理、店舗日報、FAQなどを自分たちの手で作ることが可能です。外部システムとの連携や、データの読み込み・書き出しも行うこともできます。
小売業界においてよくあるのが、本部と店舗の間で情報共有の課題です。この課題について、中江氏は、エリアマネージャーが担当する店舗の集計や報告作業に時間がかかるため、店舗の状況が把握しづらいことが問題だと指摘しています。また、店舗からは多くの連絡があり、重要な連絡が埋もれてしまうこともあるといいます。
そこで、エリアマネージャーが店舗の巡回記録をキントーンで作成・管理することで、この問題に対処できると紹介しました。具体的には、店舗巡回時に写真を撮影し、キントーン上にアップロードすることで、本部との間でデータ共有をするというものです。
この方法は、スマートフォンやタブレットでも利用可能であり、移動が多いエリアマネージャーにも使いやすいという利点があります。また、本部からのお知らせや報告日、区分などをキントーン上で管理することで、後から見返しやすくなります。店舗からの報告やアンケートなども、キントーン上で共有されることで、情報の共有を円滑にすることができます。
ノーコードでファンとともにコンテンツを作れるvisumo
「ファンと一緒に作るビジュアルアセット活用」と題した講義では、visumoがファッションやコスメから住宅建材、商業施設など、さまざまな業種業態で使われていることが紹介されました。
企業やブランドのサイトのコンテンツをノーコードでリッチにしていくことができるvisumo。これまでのサイトは、事業者からの一方通行の情報発信になりがちでしたが、visumoは、スタッフや外部のアンバサダー、製品を愛する消費者たちと一緒に作っていくことで、より良いコンテンツやサイトができるといいます。
講義では、さらに、「visumo snap」というサービスについて説明。
visumo snapの使い方は、スタッフやアンバサダーらが、スマホのWebアプリから簡単に写真や動画をvisumoに投稿。それを管理者の方で承認をすれば、サイトに公開されます。
「どの投稿がどれくらいの収益につながったか、効果測定が可能です。投稿者がフィードバックをしてあげることによって、どれくらいECやサイトに貢献できているかがわかります。インセンティブをつけてもいいわけです」と説明する千林氏。
オウンドコンテンツは、ファン(消費者・スタッフ)と一緒につくる時代、とまとめ、講義パートを締めくくりました。
手書き署名やIoTにも対応するノーコードアプリ開発ツールPlatio
Platioは、業務アプリを作成する点ではキントーンと同様ですが、スマートフォン用の業務アプリを簡単に開発できるため、おすすめだといいます。
Platioには100種類以上のテンプレートがあり、選択してカスタマイズもできます。たとえば、製造業向けテンプレートには、工場改善レポートや工場日報などが含まれます。
アプリの作成には、クラウドツールの「Platio Studio」を使用します。テンプレートからアプリを作成すると、iOSまたはAndroidのPlatioアプリ内にミニアプリが利用可能になります。プレビュー画面を見ながら、項目をドラッグアンドドロップして表示順序を入れ替えるなど、直感的にカスタマイズできます。
Platioには、手書き署名の機能があります。あるフィットネスクラブは、iPadで忘れ物管理を行うために、この機能を使って会員に署名してもらっています。
さらに、QRコード生成やIoT連携など、多数の機能が紹介されました。
また、データベースやツール間のデータ連携ができる「ASTERIA Warp」についても解説がありました。100種類以上の接続先があり、操作画面上でアイコンを配置するだけで連携が実現する様子を動画を交えてデモンストレーションしました。