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東大の研究室、Web基盤のデジタルツインプラットフォームをOSSとして公開

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東京大学大学院情報学環 渡邉英徳研究室は2021年7月26日、WebGIS(Geographic Information System:地理情報システム)基盤の「Re:Earth(リアース)」を公開したことを発表しました。「Re:Earth」は、同研究室が汎用的WebGISプラットフォームとして、各種データシステムの開発や運用を手掛けるユーカリヤと共同で開発したものです。オープンソース・ソフトウェア(OSS)として公開し、各分野で自由に活用できるようにします。

 Re:Earthは、現実の物理空間の情報を、バーチャル空間にそのまま環境再現する「デジタルツイン」の基盤となるWebGISプラットフォームです。今回、そのデジタルツインの基盤となるソースコードが公開されました。各分野で自由に活用できるようにするため、以下のような目的が掲げられています。 ・複雑・大規模化する地理空間(フィジカル空間)データの手軽な活用環境の提供
・地理空間データの管理・分析・可視化のための汎用WebGISの実現
・多様な分野に向けたプラグイン開発による機能拡張  Re:Earthは、最新のWeb技術を用いて開発されました。これまでWebブラウザでは実現が困難とされていた本格的なGIS環境を、インストール不要でどこからでも手軽に利用することが可能となっています。今回のOSS化により、本体・プラグインの開発者を含む各国のエンジニアと、世界的なOSSコミュニティを形成する計画が進められています。  同研究室ではこれまで「Google Earth」や「Cesium」などのデジタルアースを用いて、以下のようなさまざまな分野のデータをバーチャル空間に分析・可視化する研究を行ってきました。 ・平和活動
・企業間取引
・震災
・文化財  そして今回、これまでの研究で得た知見を多くの人たちに提供するWebプラットフォーム化を目指し、ユーカリヤと共同で「Re:Earth」を開発しました。  Re:Earthの特徴として、以下の3点が挙げられています。 1. 実用性:ノンコードによる情報のマッピング
 ・専門技術なしでも扱うことができ、独自のWebアプリケーションの公開が可能
 ・情報の作成や更新・公開設定などをエンジニアへ依頼したり、難しいプログラミングを行ったりする必要がない
 ・物語性のある「ストーリーテリング」タイプのビジュアライゼーションも、コーディングなしに実現可能
図1:「Re:Earth」の特徴:ノンコードによる情報...

図1:「Re:Earth」の特徴:ノンコードによる情報のマッピング

2. 独自性・新規性:各分野に対応できるプラグインシステム
 ・最先端のWeb技術を用いたプラグインシステムの実装により、各種の分析や可視化がプラグインで柔軟に対応可能
 ・プラグインシステムにより、クライアントがノンエンジニアであっても、管理・運用可能なシステムを実現できる  プラグインの例としては、以下の項目が挙げられています。
 ・フロントエンドプラグイン(ベータ版):「デジタルアース上のオブジェクト」「画面上のウィジェット」「インフォボックス内のブロック」を拡張
 ・バックエンドプラグイン(開発中):「インポート・エクスポート可能なデータフォーマット」「演算処理」等を拡張 3. 実用性・新規性:柔軟なウィジェット配置システム
 ・デジタルアースをベースとして、さらに統計グラフや時系列などの表現を、ウィジェット配置システムによって実現可能
 ・ドラッグ&ドロップ操作で、ウィジェットを直感的に配置可能
 ・スマートフォンでの表示にも対応
図2:「Re:Earth」の特徴:柔軟なウィジェット配...

図2:「Re:Earth」の特徴:柔軟なウィジェット配置システム

 Re:Earthは、以下のような最新のWeb技術を用いて開発されました。 ・ フロントエンド:React(UI開発用JavaScript ライブラリ)・TypeScript(Microsoft開発のOSSプログラミング言語)・Cesium(3D地図表示が可能なOSS JavaScriptライブラリ)・Resium(React上でCesiumコンポーネントを扱えるライブラリ)
・ バックエンド:Go(Google開発のOSSプログラミング言語)
・ API:GraphQL(API開発用のクエリ言語)
・ クラウド:Docker(コンテナ仮想化によるアプリケーション開発プラットフォーム)・Google Cloud Storage(オンラインストレージ)
・ DBMS:MongoDB(データベース管理システム)
・ 認証:Auth0(IDaaS)
・ フロントエンドのプラグイン実行環境:WebAssembly + QuickJS
図3:「Re:Earth」の開発環境

図3:「Re:Earth」の開発環境

 クラウドネイティブアプリケーションとして開発されたため、クラウドやサーバーレス環境で動作します。また、高品質・高速なアプリケーションをローコストで開発してすばやく提供することが可能です。  同研究室では今後、AWS(Amazon Web Services)をはじめ、対応する外部サービスを拡張していく予定です。それにより、さまざまな環境でのアプリケーションの展開が可能になります。

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