ARグラス用のディスプレイモジュールなど、AR(拡張現実)技術関連の製品を手掛けるCellidは2021年10月1日、大林組の建設現場において、独自開発のAR技術「Cellid SLAM」を用いて取得した3次元位置情報を、施工デジタルツイン環境にリアルタイム統合する実証実験に成功したと発表しました。建設現場にいる複数作業員のヘルメット装着カメラ映像から、3次元位置情報を正確に推定します。その情報が、大林組の施工デジタルツイン環境にリアルタイム反映されたことを確認できました。
今回の実証実験において用いられた同社開発のAR技術「Cellid SLAM」は、「自己位置推定と周辺環境の地図を同時に実行する」SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術によるものです。
Cellid SLAMの空間認識アルゴリズムは、既に現場に導入されている、汎用単眼カメラの映像のみを入力情報とします。同社は、2021年5月にもこの技術を用いた大規模建設現場での3次元位置情報の取得に成功したことを発表しています。非GNSS(全球測位衛星システム)環境を含む大規模な建設現場において、GNSSやビーコンといった従来の自己位置推定技術を上回る測位精度を発揮することはそのときに確認されました。
今回はさらに、複数人のヘルメット装着ARカメラからデータを取得しました。そして、その情報をゲームエンジンで構築される施工デジタルツインとリアルタイムに統合しました。それにより、人の位置把握がより確実なものになりました。
via www.cellid.com
同実証実験の目的は、以下の4項目の検証です。
①ヘルメット装着カメラを用いて、ハンズフリーで使いやすさなどを担保しながら、動線データを取得できるか
②複数人の動線データを同時に出力できるか
③Cellid SLAMのシステムと大林組の施工デジタルツインとの連携ができるか
④その際、動線データをリアルタイムに反映できるか 今回、これら4点の実証を短期間で成功させたことで、Cellid SLAMが、建設現場において実運用可能な段階にあることを確認できたとのことです。 建設業においては、「働き方改革」関連の法改正に伴い、2024年4月より労働時間の上限規制が施行されます。そのことから、2024年4月に向けて労働時間の短縮に加え、生産性向上が喫緊の課題となっています。 そのためBIM/CIM(ビムシム:設計から施工、メンテナンスまでの全工程で蓄積されたすべてのデータ活用する仕組み)や、ICT(情報通信技術)を活用したi-Constructionの取り組みを加速度的に推進させる必要があります。 2023年には公共工事における詳細設計、および工事でのBIM/CIM(施工デジタルツイン)の原則適用が国交省より通達されています。工事(施工管理)においてもBIM/CIM(施工デジタルツイン)は一般的なインフラとなります。 今回の実証実験では、BIM/CIM(施工デジタルツイン)と位置情報の統合に成功しました。それにより、工事プロセスに対し、どれだけ人数・工数がかかるのかを定量的に把握することが可能となりました。これは、生産性向上を進めるうえで、一番重要な「物差し」を手に入れることができたと考えられます。 今後、同社は、作業員の位置情報取得のみならず、その他の業務管理アプリとの連携を予定しています。画像検知AIなどとの組み合わせや、Cellid SLAMのAR機能をさらに拡張します。そして、遠隔地から現場への作業指示などができる「AR Tag」の開発も今後予定されています。
②複数人の動線データを同時に出力できるか
③Cellid SLAMのシステムと大林組の施工デジタルツインとの連携ができるか
④その際、動線データをリアルタイムに反映できるか 今回、これら4点の実証を短期間で成功させたことで、Cellid SLAMが、建設現場において実運用可能な段階にあることを確認できたとのことです。 建設業においては、「働き方改革」関連の法改正に伴い、2024年4月より労働時間の上限規制が施行されます。そのことから、2024年4月に向けて労働時間の短縮に加え、生産性向上が喫緊の課題となっています。 そのためBIM/CIM(ビムシム:設計から施工、メンテナンスまでの全工程で蓄積されたすべてのデータ活用する仕組み)や、ICT(情報通信技術)を活用したi-Constructionの取り組みを加速度的に推進させる必要があります。 2023年には公共工事における詳細設計、および工事でのBIM/CIM(施工デジタルツイン)の原則適用が国交省より通達されています。工事(施工管理)においてもBIM/CIM(施工デジタルツイン)は一般的なインフラとなります。 今回の実証実験では、BIM/CIM(施工デジタルツイン)と位置情報の統合に成功しました。それにより、工事プロセスに対し、どれだけ人数・工数がかかるのかを定量的に把握することが可能となりました。これは、生産性向上を進めるうえで、一番重要な「物差し」を手に入れることができたと考えられます。 今後、同社は、作業員の位置情報取得のみならず、その他の業務管理アプリとの連携を予定しています。画像検知AIなどとの組み合わせや、Cellid SLAMのAR機能をさらに拡張します。そして、遠隔地から現場への作業指示などができる「AR Tag」の開発も今後予定されています。