ラクーンコマースは2022年1月21日、コロナ下におけるEC活用・DX推進に関する調査結果を発表しました。食品や衣服、日用品など、全国の従業員規模300名以下の物販系中小メーカー(製造業)の勤務者514人に聞いた調査結果です。
自社製品の卸販売でECを利用したことがあるかを聞いた結果が図1です。
現在「利用している」と回答したのは57%で半数を超えました。商材別ではどうか。その結果が図2です。
利用割合が多い商材は「家具」で、利用していると答えた割合は89%でした。「什器・資材」(同63%)、「衣服・繊維製品」(同62%)も高い割合を占めています。
EC利用企業のうち32%が利用拡大に意欲的な回答をしています。特に「日用品・生活雑貨」を扱う44%が、「今後はもっと利用を拡大したい」と答え、他の商材より高めの傾向でした。
コロナ下で卸販売のEC活用を強化したのかを聞いた結果が図3です。
EC利用企業のうち、コロナ下で「EC活用を強化している/強化した」と回答した割合は44%でした。「強化する予定」を含めると7割を占めます。新型コロナウイルス感染症による影響がEC活用の強化にもつながっていると同社は考えます。
卸販売でECを利用した成果が図4です。
「売上が増えた」が50%と最も多く、「新規取引先が増えた」(29%)、「業務が効率化した」(21%)が続きます。一方、10%の人が「特に成果を感じていない」と回答しています。
ECを利用する上での課題を聞いた結果が図5です。
「EC・IT(デジタル)に精通した社内人材の不足」が38%で最も多くなりました。次いで「新規顧客の集客がうまくできない」(29%)「手数料や開発費など運用コストが高い」(22%)「他の販売方法も併用しており顧客管理が煩雑」(20%)です。
自社サイトを運用する人より、モール型のサイトに出品・出店する人の方がEC人材の不足を課題と感じている割合が高くなっています。人材を確保する前に気軽に始められる手段として、モール型サイトを選択している可能性があると同社は推察します。
越境ECの取り組み状況はどうか。その結果が図6です。
「商社・代理店経由で輸出している」が23%、次いで「国内の展示会に出展している」(19%)、「海外現地での展示会に出展している」(14%)という結果でした。一方、「特に取り組んでいない」が51%を占め、中小メーカーにおける海外卸販売はハードルが高いことが窺えます。
「越境ECを利用している」と回答したのは5%にとどまります。オンラインでの取り組みが浸透していない実態が読み取れます。
最後に、コロナ下に取り組み始めたデジタル施策について聞きました(図7)。
「ウェブ商談」が43%で多く、「SNS運用」(23%)と「展示会のオンライン化」(21%)が続きます。「特にない(取り組みをしていない)」が31%を占め、残り7割は何かしらデジタル施策に取り組んでいることが分かります。