東京都教育委員会は2022年5月19日、「Tokyo P-TECH」事業のキックオフセレモニーを開催しました。企業などと連携してデジタル人材育成を目指す同事業の取り組みについて、事業の試行先となる都立荒川工業高等学校の生徒向けに説明しました。
東京都が2019年2月に立ち上げた「Tokyo P-TECH」は、IT人材を育成する教育プログラムの開発・実施を目的とした事業。IT企業や専門学校などと連携し、学生の専門的な知識や技術習得を支援します。IT企業などによる学生向けの授業を実施するほか、学生向けの学習環境整備や進学支援なども進めます。
本年度(2022年度)は、都立荒川工業高等高校で事業を試行実施します。情報技術科の生徒を対象に、情報技術に興味・関心のある生徒の育成、知識・技術の習得、実社会で活躍できる素地の育成を目指します。
3年間で数理処理の理解や実作業を想定した関連技術習得を図るほか、ビジネス能力検定の「サーティファイ」3級や「情報検定(J検)」2級といった資格取得も目指します。さらに希望者には、高校卒業後に専門学校への進学も支援。業務システム構築を想定したスキルを習得する場も用意します。東京都教育委員会 教育監 藤井大輔氏は生徒に向け、「情報技術に関心を持ってほしい。デジタルが社会でどう使われているのか、何ができるのかなどの関心を持ち、いろいろと学んでほしい」と訴えました。
同校では、IT企業の担当者が講師となる授業も実施します。具体的には、ソフトバンクが情報モラルやIT業界、IT活用事例紹介を、内田人材開発センタがビジネスマナーに関する講和を、freeeが働き方のシミュレーションに関する課外授業を実施します。
授業外の学びの場も用意します。1年生と2年生を対象に「放課後コンテンツ」と呼ぶコースを実施。GC制作コースやゲーム制作コース、AIプログラミングコースなどを月3回の頻度で開催し、生徒が興味のある分野の知識や技術を深められるようにします。
なお、本事業は今年度、荒川工業高等学校のほか、都立府中工業高等学校でも同様の取り組みを試行します。東京都は今後もIT人材の輩出を目的に、同事業の取り組みを強化していく考えです。