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熟練工の経験値をAIで継承、トヨタ九州とトライアートが開発

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トライアートとトヨタ自動車九州は2021年6月9日、トヨタ九州宮田工場のレクサス製造ラインにおいて、「不良予兆感知システム」を開発し、試行を開始したと発表しました。プレス工程において量産されるパネルのごくわずかな形状のズレを、画像認識のAI技術をもとに自動検出します。熟練工が感覚的に発見するような超微細な不良を、人とAIとの協働で未然に検出するシステムです。

 今回の「不良予兆感知システム」は、鋼板に圧力をかけてパネルを成形する「プレス工程」において活用されます。プレス工程で、量産されるパネルのごくわずかな形状のズレや、鋼板の伸長度の差異を、プレス機内部に設置したサーモカメラの画像をもとに検出するシステムです。  そうしたズレや差異は、成型後のヒビ割れの原因になったり、将来の製品の不具合にも通じる重大な指標だといいます。ただしこれまで、その検出は、熟練工の経験値と感覚によるところが大きく、技能の汎用化が難しい分野でした。  今回のシステムでは、ITソリューション事業を手掛けるトライアートのコンポジットAI(複合AI)技術「4CAS」が用いられています。「4CAS(=for Cognition And Sensitivity)」という名前が表すように、認識と知覚のためのAI技術で、画像データをもとにした感性情報を処理するためのものです。  4CASを活用し、サーモカメラの画像から
①パネルの基準形状となるマスター画像を生成
②生産されたパネルとマスター画像との差異(膨張、縮小箇所など)を算出
それによって、5秒に1枚つくり出されるすべてのパネルの評価を可能にしました。  その結果「どのような事例が現れると次に不良が発生するか」の法則性を求めることができます。そして、より効率的に、熟練工の精度での不良予兆感知が可能になります。さらに、独自の作業フローによって、この評価の信頼性と処理力を飛躍的に向上させることができました。  その作業フローとは、上記①の、画像を生成するタスクを、AIの学習のみに依存せず、途中で作業員がおおまかな形状指定を行い、再びAIの演算に戻すというものです。
図1:パネル評価の概念図

図1:パネル評価の概念図

 このアプローチでは、「AIによる全自動化」ではなく、作業員がすでに身に付けている技能、あるいは人が判断するほうが明らかに優位な作業においては、人の力を活用します。トライアートの考えでは、AIと補完し合うフローをデザインすることは、多くの課題解決を迅速化させます。  とりわけ部品やラインが多品種にわたり、そのすべてにシステムを適用させることが困難な製造現場では有効だといいます。このアプローチは、コンポジットAI「4CAS」がAIのプロセスをブラックボックス化せず、複数の制御系AIの連なりで構成されていることによります。それにより、製造業というフィジカルな現場での人とAIの協働が可能になっています。
図2:ブラックボックス化したAIと、人と協働可能なAI

図2:ブラックボックス化したAIと、人と協働可能なAI

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