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製造業の管理職には“コンプラ重視”に加え“効率”や“自ら遂行”も求められる/ラーニングエージェンシー調べ

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人材育成サービスを提供するラーニングエージェンシーは2022年3月30日、「製造業の社員に求められることの変化に関する調査」の結果を発表しました。調査は2021年10月11日~12月13日の期間、ビジネスパーソン5,099人を対象に実施されました。「組織・チームのあり方の変化に関する意識調査」として行われましたが、今回その中から、製造業に携わる758人の回答より「製造業の社員に求められることの変化」に関する結果が公表されました。

 ラーニングエージェンシー「組織・チームのあり方の変化に関する意識調査」の概要は、以下の通りです。 ・調査対象者:同社が提供する研修(会場型・オンライン型)、オンライン講演の受講者
・調査時期:2021年10月11日~2021年12月13日
・サンプル数:<製造業>758人/<他業種(製造業以外の全業種)>4,341人  今回、製造業に携わる社員の回答から、この10年間での管理職・一般社員(非管理職)に求められる役割の変化、および現在の実態が分析されました。調査結果の概要として、以下が挙げられています。 1. 6割の製造業社員が、この10年で役割が「変化した」と回答
2. 管理職のあるべき姿は「コンプラ重視」が8割、「効率性」「自ら何をすべきか定義・遂行」が他業種を上回る
3. 管理職に求められる能力は「マネジメント」「リーダーシップ」が他業種を大きく上回る
4. 一般社員への期待「チームで協力して成果を上げる」が7割、「リーダーシップ」は期待と実態が大きく乖離
5. 6割が一般社員の「タイムマネジメント」スキルを重視、「IT・デジタルリテラシー」は他業種より低い4割
 以下に、それぞれの調査結果の詳細を紹介します。 1. 6割の製造業社員が、この10年で役割が「変化した」と回答
 最初に、製造業の管理職や一般社員に求められることが、「この10年間で変わったかどうか」についてたずねました。結果は以下のようになり、約6割が「変化した」と回答しました。 ・管理職に求められることが変わった:59.7%
・一般社員に求められることが変わった:62.7%
図1:10年前と比べて変化したと思うか/ラーニングエー...

図1:10年前と比べて変化したと思うか/ラーニングエージェンシー「製造業の社員に求められることの変化に関する調査」

 なお、以降の設問は、上記で「変わった」と回答した対象者のみにたずねました。 2. 管理職のあるべき姿は「コンプラ重視」が8割、「効率性」「自ら何をすべきか定義・遂行」が他業種を上回る
 製造業において、「10年前に求められていた管理職像」「現在求められている管理職像」「現在の管理職の傾向」について複数回答でたずねました。  「10年前に求められていた管理職像」では、以下の回答が上位となりました。 ・「トップダウンで物事を進める」:77.1%
・「部下に自分の模倣を求める」:62.5%
・「前例を踏襲する」:57.4%  これらは、製造業を除く全業種(他業種)と同様です。一方、「現在求められている管理職像」では、以下が上位となりました。 ・「コンプライアンスやモラルを重視する」:82.8%
・「時間内で効率的に終わらせる」:79.5%
・「自ら何をすべきかを定義し、遂行する」:72.9%  これらはいずれも、7~8割の製造業社員に選ばれました。製造業で特に変化したのは、コンプライアンスやモラルへの意識と意思決定のあり方です。「コンプライアンスやモラルを重視する」は10年前から73.5pt増で最も大きな変化が見られました。また、意思決定のあり方については、「トップダウンで物事を進める」が56.9pt減少したのに対し、「ボトムアップで物事を進める」は55.1pt増加しました。  ただし、「現在求められている管理職像」を他業種との比較で見ると、製造業では以下のように、従来型の管理職像も比較的多く選ばれています。 ・「企業利益を重視する(+6.3pt)」
・「トップダウンで物事を進める(+5.8pt)」
図2:10年前および現在求められる管理職像/ラーニング...

図2:10年前および現在求められる管理職像/ラーニングエージェンシー「製造業の社員に求められることの変化に関する調査」

 「現在の管理職の傾向」についても、従来型の働き方が他業種よりやや多い傾向が見られたとのことです。製造業における「現在の管理職の傾向」の回答結果は、以下のようになりました。 ・1位「トップダウンで物事を進める」:48.3%/他業種は43.7%(他業種より+4.6pt)
・同率1位「コンプライアンスやモラルを重視する」:48.3%/他業種は50.6%
・3位「前例を踏襲する」:46.6%/他業種は40.2%(他業種より+6.4pt)  また、製造業における「現在求められている管理職像」と「現在の管理職の傾向」で大きなスコアの差が見られたのは、以下の各項目でした。 ・「自ら何をすべきかを定義し、遂行する(-47.1pt)」
・「ボトムアップで物事を進める(-45.4pt)」
・「前例にないことを行う(-43.8pt)」 3. 管理職に求められる能力は「マネジメント」「リーダーシップ」が他業種を大きく上回る
 製造業の管理職像が「10年前から変化した理由」について、3つまで選んでもらったところ、以下のような回答結果になりました。 ・1位「働き方(雇用形態や勤務時間・場所など)が多様化した」:65.7%/他業種は69.0%
・2位「市場環境が変化・複雑化した」:53.7%/他業種は51.9%
・3位「求められる成果がより高くなった・難易度が増した」:41.6%/他業種は34.2%  1位、2位の回答は他業種と同様でしたが、3位の「求められる成果がより高くなった・難易度が増した」では、他業種よりも7.4pt多く選ばれています。また、「ビジネス・業務のやり方が以前と変わった(29.9%)」は他業種より4.4pt少なく、「その他」の選択肢を除くと、製造業の中で最も少ない結果となりました。  こうした変化に対応して、「管理職に求められるスキルや知識」も変化しています。製造業の管理職に対してこの10年で特に求められるようになってきたものとして、以下のような回答が選ばれました。 ・1位「マネジメント(64.5%)」のスキル(他業種より+5.0pt)
・2位「リーダーシップ(41.9%)」(他業種より+8.3pt)
・「IT・デジタルに関するリテラシー(39.6%)」(他業種より-6.7pt)
・「共感力(33.7%)」(他業種より-5.2pt)
図3:10年前に比べて特に重視される管理職のスキル/ラ...

図3:10年前に比べて特に重視される管理職のスキル/ラーニングエージェンシー「製造業の社員に求められることの変化に関する調査」

4. 一般社員への期待「チームで協力して成果を上げる」が7割、「リーダーシップ」は期待と実態が大きく乖離
 次に、製造業の一般社員について、「10年前に期待されていたこと」「現在期待されていること」「現在一般社員が担っている役割」を調査しました。「10年前に一般社員に期待されていたこと」では、以下が上位となっています。 ・「定型的な業務を確実に遂行する」:77.4%
・「上位層の方針や判断をこまめに確認し、行動する」:52.8%
・「個人として成果を上げる」:48.3%  一方、製造業の「一般社員に現在期待されている姿」のトップ3は以下の回答となりました。 ・「チームで協力して成果を上げる」:69.7%
・「自ら現場で判断し、行動する」:67.0%
・「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する」:63.7%  製造業において、特に10年前から大きく減少したのは「定型的な業務を確実に遂行する(-42.6pt)」「上位層の方針や判断をこまめに確認し、行動する(-12.0pt)」「個人として成果を上げる(-8.6pt)」の各項目です。逆に大きく増加したのは、以下の項目です。 ・「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する(+52.4pt)」
・「周囲を巻き込みリーダーシップをとる(+47.9pt)」  10年前よりもプロジェクト型など臨機応変な対応が求められる中で、チームワークをより重視しつつ、ときには自らリーダーシップを発揮することが求められていると推察されています。
図4:10年前および現在、一般社員に期待されること/ラ...

図4:10年前および現在、一般社員に期待されること/ラーニングエージェンシー「製造業の社員に求められることの変化に関する調査」

 しかし、こうした期待される姿と実態は、必ずしも一致していないといいます。他業種の場合と同様、製造業でも、以下のような項目で特に大きな乖離が見られました。 ・「周囲を巻き込みリーダーシップをとる(-41.9pt)」
・「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する(-35.3%)」
・「自ら現場で判断し、行動する(-32.0pt)」  ただし、「現在の一般社員が実際に担っている役割」のトップ3として、以下が選ばれています。 ・1位「定型的な業務を確実に遂行する」:58.7%
・2位「チームで協力して成果を上げる」:49.3%
・3位「上位層の方針や判断をこまめに確認し、行動する」:47.6%  求められる姿に一致する部分と、変化を求められる部分とが混在しています。このことから、製造業の一般社員は変革期の只中にあると分析されています。 5. 6割が一般社員の「タイムマネジメント」スキルを重視、「IT・デジタルリテラシー」は他業種より低い4割
 さらに、製造業の一般社員に求められる姿が「変化した理由」を3つまで選んでもらったところ、以下の結果となりました。 ・1位「状況の変化が早くなった」:60.4%
・2位「顧客やマーケットのニーズが多様化した」:41.6%
・3位「チームメンバーの特性やレベル感が多様化した」:41.4%  「状況の変化が早くなった」の回答は、他業種でも第1位でしたが、製造業では3.9pt多い結果となり、時代の変化を他業種よりも強く感じていると考察されました。なお、他業種との差が最も大きかったのは、以下の項目でした。リモートワークができる職種があまり多くない製造業特有の事情がうかがえるとしています。 ・「リモートワークの浸透により、単独で行動する機会が増えた」11.5%/他業種は23.5%(他業種より-12.0pt)  また製造業の「一般社員に対して求められるスキルや知識」のうち10年前と比較して特に重視されるようになってきたと感じるものは、以下が上位となりました。 ・1位「タイムマネジメント」:57.6%
・2位「言語化する力(相手に合わせた表現で伝える力)」:45.5%
・3位「IT・デジタルに関するリテラシー」:43.2%  ただし、「IT・デジタルに関するリテラシー」は、他業種では最多の56.5%を占めたのに対し、製造業では13.3pt低い43.2%となりました。デジタルツールの重要性は他業種ほど差し迫った課題にはなっていないと推察されました。
図5:10年前に比べて特に重視される一般社員のスキル/...

図5:10年前に比べて特に重視される一般社員のスキル/ラーニングエージェンシー「製造業の社員に求められることの変化に関する調査」

 今回の調査結果より、製造業における管理職と一般社員における役割認識が10年前から大きく変化していることが浮き彫りになったとラーニングエージェンシーでは分析しています。日本の製造業は、強い現場力に支えられてきた一方で、労働時間や労働環境、若年層の働き方や会社への帰属意識などは変わりつつあります。こうした外的変化に対応するには、現場の管理職が行動レベルからやり方を見直すことが必要です。それには、前提を疑う力を伸ばし、仕事の進め方を抜本的に見直しつつデジタルツールの活用も検討するなど、思考の枠組みを変える取り組みも求められると、同社では結論付けています。

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