福井大学医学部附属病院(福井大学病院)は、医療データを扱う総合医療情報システムを刷新しました。中核の電子カルテシステムをハイブリッドクラウドで運用し、データの種類に応じてクラウドとオンプレミスを使い分けられるようにしました。導入を支援した日本IBMが2021年3月2日に発表しました。
福井大学病院は、医師や看護師などが患者と向き合うコア業務に注力できるようにと、業務のデジタル化を進めてきました。その一環でハイブリッドクラウド戦略を推進。医療データを扱うシステム基盤として、高度なセキュリティや高可用性を満たすインフラの整備を目指してきました。
そこで同病院が採用したのが、IBMのパブリッククラウド「IBM Cloud」です。「Keep Your Own Key」と呼ぶ、クラウド向けの暗号化方式を用いたセキュリティ機能を備えているのが特徴です。医療業界のクラウドサービス利用時のガイドラインにも対応しています。
その一方で、電子カルテシステムでは、放射線画像のような高解像度の大容量データも扱います。パブリッククラウドに大容量データを保存したり、参照時にダウンロードしたりといった運用は非効率です。そこでこうしたデータは、既存のオンプレミスで運用することにしました。
両インフラのメリットを生かすことで、最新技術の積極的な活用、必要なハードウエアリソースだけ調達することによるコスト最適化、イノベーションの促進などの効果を見込めます。
本システムは2021年4月より本番環境として利用を開始する予定です。なお日本IBMによると、国立大学病院の病院情報システムでパブリッククラウドを採用したケースは、福井大学病院が国内初とのことです。