伊予銀行は2023年10月12日、次期基幹系システムの構築について日立製作所と基本合意したと発表しました。日立製作所の勘定系パッケージ「OpenStage」を次の基幹系システムとして採用します。新システムは2028年の稼働開始を予定します。
伊予銀行は預金、為替、融資などの勘定処理を司るシステムとして独自の基幹系システムを構築。30年以上にわたり運用してきました。
しかし、技術面の老朽化などの課題が顕在化。2021年度の中期経営計画では「基幹系システムの高度化推進」を掲げ、新たな基幹系システムを調査・模索してきました。
その結果、基幹系システムの刷新を決断。新たな基幹系システムは独自に開発せず、日立製作所の勘定系パッケージ「OpenStage」を採用すると決めました。独自システムを開発・保守する人材の育成が困難であること、デジタル化が加速する中、銀行のビジネスモデルが変わりつつあること、基幹系システムに求められる機能の変革期を迎えていることを理由に、パッケージを採用すると決めました。さらに、パッケージを採用することで、高付加価値サービスの提供や地域を活性化する新サービスの創出といったIT戦略を実現できることも評価しました。
「OpenStage」は、容易に「つながり」、多様に「組み合わせ」、迅速に「連携する」といったコンセプトを持つ勘定系パッケージ。機能を部品化して組み合わせる仕組みや、コンポーネント内の処理を共通化する仕組みを備え、シンプルかつ疎結合なシステムを構築できるのが最大の特徴です。これにより、必要な機能を拡張する際には迅速な対応が可能です。一方、メインフレームの信頼性や安定性を堅持する特徴も備えます。
「OpenStage」は、銀行業務を支援する「記帳決済システム」と、各種システムと接続する「バンキングハブシステム」の2つで構成します。2つのシステムの特徴は次の通りです。
記帳決済システム
勘定系システムの標準領域にあたる銀行基幹業務のアプリケーションをコンポーネント化、パラメータ化。これにより、個々の業務の特性や重要度に合わせた最適な機能配置を実現します。従来の「複雑な勘定系システム」から「シンプルな勘定系システム」へとアプリケーション構造を刷新できるのが強みです。
バンキングハブシステム
営業店システムやインターネットバンキングといったチャネルサービスと容易に接続できるゲートウェイ機能を備えます。これにより、シームレスかつ迅速なチャネル追加や、他システムとの連携を可能にします。チャネルごとの作り込みなどの開発を効率化し、経営戦略遂行の自由度や柔軟性を高められるのが利点です。「作る勘定系システム」から「使う勘定系システム」への転換を実現します。
なお日立製作所は 、「OpenStage」をパブリッククラウド上で稼働させる技術検証を進めています。さらなるデータの利活用も検証中です。これらを実現することで、銀行システム全体のIT戦略投資の最適化も図っていく考えです。
次期基幹系システムは2028年に稼働を開始する予定です。なお、十分な検証期間を確保するため、稼働時期は柔軟に見直す予定です。
日立製作所は今後も、 伊予銀行の「新たな価値を創造・提供し続ける企業グループ」の実現を支援します。未来へ飛躍する持続成長可能な取り組みに貢献していく考えです。
関連リンク
株式会社伊予銀行
株式会社日立製作所
伊予銀行プレスリリース
日立製作所プレスリリース
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