株式会社ベネッセコーポレーションは、ミドル・シニア層(ミドル層:45~59歳、シニア層:60~69歳)の学びやキャリアに関する意識を把握するため、「ミドル・シニア層の学びに関するインサイト調査」を実施しました。2025年は、団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、労働力人口の減少など、様々な分野に大きな影響を及ぼす「2025年問題」が懸念されています。また、2013年に改正された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」により、2025年4月からは70歳までの雇用確保の努力義務や雇用保険法に基づく高年齢雇用継続給付の縮小も予定されています。現在、15歳以上の就業者の約7人に1人が65歳以上である中、日本の労働力人口の確保には、ミドル・シニア層がリスキリングを行い、積極的に活躍できる環境づくりが重要です。
2023年に実施されたリスキリングに関する調査によれば、20~30代の若い世代に比べ、40~50代のミドル層はリスキリングへの関心が低く、不満を抱えている傾向があります。この背景を踏まえ、ベネッセはミドル・シニア層の学びやキャリアに対する意識の深堀を試みました。
調査結果によれば、ミドル・シニア層の8割以上が働き方やキャリア、人生やライフプランの見直しを行っていないという結果が示されました。「このままでいいや層」に属する人々や、検討しているが実行に移していない「モヤモヤ層」が存在します。特に目を引くのは、ミドル層が「老後の不安に備えつつ、自分らしい人生の基盤を固めたい」と考えるのに対し、シニア層は「余生ではなく、自分が主役の人生を開花させたい」との意識が強い点です。
ミドル・シニア層が求める学びに関しては、職業や環境への適応スキルよりも、「自分らしく社会とつながるための学び」が重視されています。特に「ソーシャル・シニア」志向が強く、社会や人との関係性の中で新しい可能性を求めています。調査では、男女による学びへの意欲の差も明らかになりました。女性は男性に比べて学びに対する意欲が高く、年代ごとにアプローチの違いが見られます。
役職が高いほど、学びに対する魅力を感じる傾向がありますが、現場に近いポジションでは、この魅力が薄れる傾向もあります。定年後については、働くことに積極的な「再雇用層」や「独立層」に対しては、実際のビジネスで役立つスキルの習得が効果的で、個人の裁量や趣味を重視する「セミリタイヤ層」「完全リタイヤ層」には、「自分軸」にあった学びが推奨されます。
近年、「人生100年時代」と呼ばれるように、現代のミドル・シニア層は人生の節目が多様化しています。学びのスタイルは一様ではなく、机に向かっての勉強や資格取得だけでなく、かつての趣味や興味に挑戦することも重要な学びとして捉えられています。このような多様な学びの機会を提供することで、ミドル・シニア層が社会とよりよい関係を築き、人生を豊かにしていくことが求められています。ベネッセは、オンライン講座のプラットフォーム「Udemy」などを通じて、多様な学びの機会を充実させ、より多くの大人が可能性を見出す社会を目指しています。詳しくは「株式会社ベネッセホールディングス」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部海道