フォトラクションは2023年10月27日、建設現場のDXに関する調査結果を発表しました。建設業の施工管理担当者209人を対象に、ツールの導入状況や導入効果などを聞いています。
まず、現在の職場で人手不足を感じるかを聞いた結果が図1です。
「非常にそう感じる」が51.2%で、2人に1人が人手不足を痛感している状況です。「ややそう感じる」(32.5%)を合わせると、8割強の建設現場が人手不足であることが分かります。
では、施工管理を効率化する目的でデジタルツールを導入しているのでしょうか。その結果が図2です。
「導入している」が37.8%でもっとも多く、「積極的に導入している」(15.3%)が続きます。導入済の割合は5割を超える一方、「導入していない」が37.3%を占め、ツールの利用状況は二極化していることが分かります。
「導入していない」と答えた人に、ツールを導入する際の課題を聞いた結果が図3です。
もっとも多かったのは「デジタルツールを使いこなすための時間と労力がかかる」で、41.0%を占めます。2位は「デジタルツールの導入を推進する人材が不足している」で29.5%、3位は「費用対効果が不明確」で28.2%という結果でした。使いこなすための知識やノウハウがない、導入を主導できないといった「人」に関わる課題に直面していることが読み取れます。
では、前々問で「積極的に導入している」「導入している」と答えた人は、ツールの導入効果を感じているのでしょうか。業務時間の削減を実感しているかを聞いた結果が図4です。
「ややそう感じる」が53.2%でもっとも多く、「あまりそう感じない」(21.6%)、「非常にそう感じる」(14.4%)が続きます。半数以上の人が、デジタルツールを利用することで業務時間を削減できたと、効果を実感しています。一方、約2割の人は業務時間の削減効果を感じられずにいる点も見逃せません。
どうすれば、さらに業務時間を削減できるのでしょうか。前問で「非常にそう感じる」「ややそう感じる」と答えた人に、何が必要かを聞いた結果が図5です。
もっとも多かったのは「組織全体での業務の標準化」(54.7%)で、「デジタル化できない作業のアウトソース」(37.3%)、「デジタルツールを使うための準備作業を削減する」(37.3%)が続きます。ツールを活用する以前に、業務内容を整理することが大切だと考える人が多いようです。
ツール導入による業務時間の削減効果を「あまりそう感じない」「全くそう感じない」と答えた人に、その理由を聞いた結果が図6です。
理由でもっとも多かったのは、「デジタル化できない作業が多いから」で62.5%を占めます。「デジタルツールを使うための準備作業が負担だから」も56.2%で半数を超えています。ツールを活用する以前の準備や業務内容の見直しを進めることが、導入するためには必要のようです。
デジタルツールを導入しても業務効率化が進んでいない施工管理の業務を聞いた結果が図7です。図2の質問で、施工管理の生産性向上のためにデジタルツール(ソフトウェア)を「導入している」「積極的に導入している」と答えた人に聞いています。
業務を効率化できずにいるのは「施工計画書の作成」で57.7%を占めます。2位は「写真管理」と「図面管理」でともに38.7%でした。
一方で、業務効率化が進んだと思う施工管理業務を聞いた結果が図8です。
もっとも多かったのは「写真管理」で40.5%でした。2位は「図面管理」で22.5%、3位は「帳票作成」で20.7%でした。前問(図7)では、写真管理と図面管理を業務効率化できずにいると答えた人が多い半面、今回の質問では効率化できた業務として写真管理や図面管理を挙げた人もいます。どこまでの作業を「管理」に含めるのかによるものの、業務効率を改善する上でこれらの管理業務に目を向けることが重要であることが推察されます。
最後に、生産性向上を図るため、工事現場の作業やノンコア業務を外部に依頼してみたいかも聞いています(図9)。
「ややそう感じる」が35.9%で、もっとも高い割合を占めます。一方、「あまりそう感じない」も24.9%と必ずしも低くありません。外部に依頼するメリットを感じられない背景には、外部に依頼することによる管理負荷の増加や作業品質の低下などを危惧していることが推察されます。外部リソースを活用できるようにするため、準備やルールの設定、何を管理するのかの洗い出しなどを事前に実施することが必要なのかもしれません。
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株式会社フォトラクション
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