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GUTPとNTTコミュなど、デジタルツイン構築技術の標準化に向けた実証実験に成功、制御APPも開発

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東京大学グリーンICTプロジェクト(GUTP)とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2021年12月8日、「デジタルツイン」技術により、ビルなどの建物空間を構築する実証実験に成功したことを発表しました。この実証実験は、現実の世界をデジタルデータで仮想的に再現する「デジタルツイン」技術によるもので、両者が2021年3月より実施していました。同実験の結果、建物空間のデジタルツイン構築技術の標準化に向けた知見を蓄積できました。また、リアル空間のロボットやビル設備システムなどを、デジタル空間からリアルタイム制御する基礎的なアプリケーションの開発に至りました。

 さまざまな都市課題の解決に向け各種データを利活用する、いわゆる「スマートシティ」(Smart City)への注目が高まっています。中でも、リアルな街や建物から得られたデータを活用して、それらをデジタル空間上に再現する「デジタルツイン」技術の活用が広がっています。  街づくり、建築など、幅広い分野でデジタルツインの活用が検討され始め、さまざまな分野から多くの企業や団体が参画しています。一方で、デジタルツイン・アプリケーション構築における標準化された手法やプロセスはまだ確立されていません。そのことから、参画企業・団体が活用できる共創環境およびアプリケーション構築技術の標準化が急務となっていました。  そのような中、東京大学グリーンICTプロジェクト(GUTP)とNTT Comは2021年3月より、デジタルツイン技術の確立およびアプリケーション構築技術標準化の取り組みの1つとして、同実証実験を進めてきました。GUTPは、東京大学をはじめとして、建物空間や街づくりに関わる企業や団体で構成するオープンなプロジェクトです。  同実証実験は、「CROSS LAB for Smart City」内で実施されました。CROSS LAB for Smart Cityは、2021年4月にNTT Comが東京都港区に開設しました。パートナー企業や団体とSmart Cityにおける知見や技術を持ち寄り、オープンかつアジャイル(迅速)な開発ができる共創の場として活用しています。  GUTPはこのCROSS LAB for Smart Cityにおいて、基礎的なデジタルツイン・アプリケーションを作成しました。そして、リアル空間のロボットやビル設備システムなどを、デジタル空間からリアルタイム制御する実験を行いました。
図1:デジタルツイン構築技術標準化に向けた実証実験のイ...

図1:デジタルツイン構築技術標準化に向けた実証実験のイメージ図

 実験では、以下のような技術の制御検証が行われました。 1. BIM(Building Information Modeling)データを活用してデジタル空間を構築
 ・レーザースキャナーで撮影した点群データを活用した既存建物のBIMデータ作成
 ・デジタルツインで活用するためのBIMデータ構築およびデータ変換 2. リアル空間のロボットを、デジタル空間からリアルタイム制御・遠隔操作
 ・ゲームエンジンからの運搬ロボット操作 3. 位置情報の連携
 ・ロボットの位置情報をゲームエンジンへ連携
 ・ゲームエンジンからの照明制御 4. 各種技術の検証
 ・LiDAR(レーザー光の照射で距離測定や性質特定を行う光センサー技術)による位置情報連携
 ・特定人物の位置情報と連動したロボットの移動/照明操作
 ・Software Defined GW(ビル設備との通信ゲートウェイ)と連携した照明制御
 ・BACnet(インテリジェントビル用ネットワークのための通信プロトコル規格)コントローラと連携した空調制御  今回の実験の参加企業・団体とその役割は、以下の表の通りです。
(1) GUTP         実証および研究計画の策定、技術検証の実施、アプリケーション開発
(2) GUTP加入企業
・NTT Com 実証実験のためのリソース(提供実証場所、センサー、ロボットなど)および同社の「Smart Data Platform for City」を活用したセンサー、ロボット、ビル設備システムのデータ収集および制御
・株式会社日建設計 今回の実験全体の推進、実証および研究計画の策定支援
・株式会社大塚商会 BIMによる建物データの作成およびデータ連携、プロパティの検討
・神田通信機株式会社 照明、空調、ロボット、ゲームエンジンとの連携ゲートウェイの構築並びに評価
・セコム株式会社 BIMデータをデジタルツインで活用するためのデータ変換技術・BIMデータ配信サーバーの提供、データ作成プロセスの検証
・株式会社竹中工務店 デジタルツインに関する技術指導、BIM連携技術およびデータ作成プロセスの検証、システムエンジニアリング
・TIS株式会社 運搬ロボットの位置情報共有および制御を実現したRX(Robotic Transformation:ロボット制御機能)の提供
 なお実証実験の期間は、2021年3月~2021年11月です。  今後、GUTPおよびNTT Comを含む加盟団体は、同実験の成果をもとに、建物から収集するデータ活用手法の標準化に向けた取り組みを進めていきます。オープンな環境で誰もがセキュアに建物空間のデータを活用したアプリケーションを構築できるようにします。それにより、建物や都市のデジタルツインを活用したSmart Cityの実現に貢献していきます。  さらにNTT Comは、2022年度に、他都市の拠点でも同様の実験を実施する予定です。複数の空間をまたいだ制御やデータ利活用の検証を行うことで、広域都市空間でのデジタルツイン活用に関する検討も進めていきます。

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