私たちの働き方やビジネス環境が急速に変化する中、リスキリングの重要性が高まっています。リスキリングとは、既存の職業スキルをアップデートすることや、新しいスキルを身に付けることを指します。特に、生成AIなどにより業務自動化が進む現在、企業だけでなく国を挙げてリスキングの推進に取り組む姿勢が見られます。株式会社kubellが実施したリスキリングに関する調査によると、なんと91.6%のリスキリング経験者が「良い影響を感じている」と回答しました。本記事ではこの調査結果を元に、リスキリングがキャリアに与える影響とその認知度について考察します。
急速に変化する業務環境の中で、労働市場における人手不足が常態化しています。OECD加盟国中、労働生産性が低迷する日本において、リスキリングは労働力の価値を高める重要な施策として注目されています。経済産業省が推進する「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」もその一環です。このように国全体でリスキリングの重要性を訴える一方、リスキリングを「知らない」と答えた人が64.4%という調査結果が浮かび上がりました。これは、実施にはまだまだ課題があることを示しています。企業や政府がリスキリングの重要性を強調する中、関心を持っていない多くの人がいることに驚かされます。また、リスキリングに「興味はあるが取り組めていない」と回答した割合は40.0%でした。このことから、多くの人々がリスキリングに対して興味を持っているものの、実際に行動に移すことができない背景があることが分かります。
リスキリングを実施しようとする際の最大の障壁は何でしょうか。調査結果によると、「学習時間の確保が難しい」と感じる人が最も多く(32.2%)、その後に「習得すべきスキルがわからない」(24.6%)、さらに「金銭的な余裕がない」(19.9%)という結果が続きます。特に、仕事と生活の両立において、学習のための時間を確保することが難しいという声が多いことは、リスキリング推進の課題となるでしょう。企業としても、従業員が学習するための時間的余裕を持たせる努力が求められます。
一方で、リスキリングに取り組んだ経験者の91.6%が「良かった」と回答しているのは大きな示唆を与えます。レポートによれば、最も多い回答は「業務の幅が広がった」(38.9%)で、続いて「昇給・昇格した」(19.5%)という意見も寄せられました。リスキリングを通じて自分の専門性を向上させ、キャリアの幅を広げた経験者が多いことから、取り組む価値が高いことが見て取れます。
リスキリングは、キャリアにさまざまな好影響をもたらすことが判明しました。しかし、その認知度や実施に向けた障壁が依然として存在します。日本においては、経験者採用が主流となっているものの、今後のビジネス環境や労働市場の変化に対応するためには、リスキリングに対する理解と取り組みが急務です。企業は従業員にとっての学びの場を整え、また国を挙げてリスキリング制度の普及を図ることが求められています。リスキリングが持つポテンシャルを活かし、未来のキャリアアップを図るため、まずはリスキリングの重要性を再認識することが必要です。詳しくは「株式会社kubell」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松