近年、企業の環境意識は高まり続けており、多くの組織が持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めています。しかしながら、「知っている」と「実践する」には大きなギャップが存在することが、マーケティンググリーンサーベイ2024の調査結果から明らかになりました。この調査は、株式会社ケイ・エヌ・ティーが実施したもので、1,053名のマーケティング・広報・宣伝担当者からの回答をもとに、環境問題への意識と実際の行動を探ることを目的としています。調査結果によると、回答者の88%が環境問題を意識しており、実に51%が何らかの対策を講じているとされています。特にペーパーレス化や廃棄物削減といった具体的な取り組みが進んでいる一方で、49%が実際には「対応できていない」という回答を寄せています。この状況から、意識と実践との上での乖離が浮き彫りになっています。
さらに、調査に参加した企業の多くは、環境問題に関わる具体的な施策に関して情報発信が限定的であることも報告されています。全体の40%が、環境負荷軽減に関する取り組みを特別に発信していないとのことで、特に環境負荷軽減の成果や事例についてのお披露目が不充分であることが課題視されています。こうした情報の透明性不足は、企業の信頼性やブランドイメージに悪影響を及ぼしかねません。
また、フロントランナー(環境対策先進企業)では、社内・外のステークホルダーを意識した活動がなされていますが、全体としてみればその範囲はまだ狭いといえます。環境配慮の取り組みが進む中でも、マーケティング部門が主導する形でのエコ施策の実践事例は少なく、全体的なフレームワークやプロセスが整っていないことが大きな障害となっています。
このような現状を前に、今後の企業戦略においては、環境配慮を当たり前の業務として組み込む必要があります。それには、マーケティング部門の役割が極めて重要です。企業が持続可能な成長を目指すためには、環境問題への責任ある取り組みを強化し、透明性のある情報発信を行うことで、消費者や取引先からの信頼を得る必要があります。最後に、今回の調査結果は、マーケティング分野における環境意識の高まりと実行のギャップを理解し、企業が次なる一歩を踏み出すための重要な指針を提供していると言えます。環境問題への対応が企業競争力の一環としての重要性が増す中、サステナブルマーケティングの実現に向けた取り組みが今後の市場での成長につながることが期待されます。
レポート/DXマガジン編集部海道