ラーニングエージェンシーは2022年2月8日、「組織・チームのあり方の変化に関する意識調査」の結果を発表しました。ビジネスパーソン5099人を対象に実施した調査で、主に一般社員(非管理職)に期待することを聞きました。
まず、10年前と比べて、一般社員に期待する内容は変わったかを聞きました。その結果が図1です。
10年前と比べて、一般社員への期待は変わったと答えた割合は54.7%でした。回答者を管理職に限ると、その割合は71.5%まで高まります。一般社員をマネジメントする立場だからこそ、管理職は一般社員への期待の変化を強く感じているようです。
では、「変わった」と回答した人に、10年前の期待と現在の期待で何が違うのかを聞きました。その結果が図2です。
一般社員への期待で、10年前よりもっとも増えたのは「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する」で、51.5ポイントと大きく増えています。次いで、「チームで協力して成果を上げる」(+44.1ポイント)、「周囲を巻き込みリーダーシップをとる」(+42.9ポイント)という結果でした。同社によると、一般社員の業務内容が定型的な業務からプロジェクト型業務へと変化したことが背景にあると推察します。これにより、部門・部署を超えた人が集まり、チームで遂行する業務能力が期待する傾向た高まったといいます。
一方、10年前と比べてもっとも減ったのは、「定型的な業務を確実に遂行する」で、43.1ポイントも減っています。次いで、「上位層の方針や判断をこまめに確認し、行動する」(-15.3ポイント)「個人として成果を上げる」(-12.5ポイント)という結果でした。ルーティン業務を確実に遂行できるかどうかはもはや問わない傾向が読み取れます。こうした業務能力に期待するのではなく、ゼロベースで考えられるか、自らの責任で判断・行動できるかを期待する傾向が顕著です。
現在の一般社員への期待と、実際に担っている役割にどれだけの乖離があるのか。その実態を調べた結果が図3です。
もっとも差があったのは「周囲を巻き込みリーダーシップをとる」で、37.2ポイントも差が見られます。60.5%が期待すると答えたものの、23.3%しか実際には担えていないと回答しています。同様に「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する」が34.8ポイントの差、「自ら現場で判断し、行動する」が31.3ポイントの差、「チームで協力して成果を上げる」が23.4ポイントの差でした。
なぜ一般社員への期待は変化したのでしょうか。その理由を聞いた結果が図4です。
結果は「状況の変化が速くなった」が57.2%でもっとも多く、「顧客やマーケットのニーズが多様化した」(42.6%)が続きます。顧客・マーケットの多様化に一般社員も適応する必要が生じたと考えられます。
一方、「チームメンバーの特性やレベル感が多様化した」は41.9%で、管理職の回答がやや多い傾向です。管理職は、一般社員が感じるよりもチームメンバーの特性やレベル感が多様化していると捉えているようです。
では最後に、一般社員に何を期待するか。10年前と比べてどんなスキルや知識が重視されるようになったのかを聞いた結果が図5です。
結果は、「タイムマネジメント」が55.8%で最多でした。働き方改革による残業時間削減など、短い時間で効率的に成果を上げることが求められてきたことが背景にあると考えられます。
なお、「言語化する力(相手に合わせた表現で伝える力)(47.6%)」や、「共感力」(32.3%)も高い割合を占めます。チームで成果を上げるには、多様なメンバーとのコミュニケーション力が求められることから、これらの知識・スキルも重視されると推察されます。