今回の調査の概要は、以下の通りです。
・調査名称:DXに関する調査
・調査対象:「月刊総務」読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
・調査方法:Webアンケート
・調査期間:2022年3月23日〜2022年3月29日
・有効回答数:118件
調査結果の概要として、以下が挙げられています。
●半数以上が会社のDX推進の取り組みは「足りていない」と評価
●DX推進の課題は「従業員のリテラシー不足」が最多
●2021年度に会社全体のデジタル化が進んだ企業は75.5%で2020年度より12.3ポイント減
●デジタル化されている業務1位「入退社・勤怠管理」2位「給与・経費計算」3位「請求書・契約書」
●2022年度にデジタル化したい業務1位「文書管理」2位「請求書・契約書」
●約7割がデジタル化の推進はコロナ対策が関係していると回答
以下に、各調査結果の詳細を説明します。
●半数以上が会社のDX推進の取り組みは「足りていない」と評価
まず、所属する会社の事業計画にDXが組み込まれているかをたずねました。
Q「あなたの会社の事業計画にDXは組み込まれていますか。」(n=118)/「月刊総務」調べ
・「はい」:47.5%
・「いいえ」:52.5%
「はい」とした回答者に、「会社のDX推進度をどのように評価するか」をたずねた結果は、以下のようになりました。
・「取り組んでいるがやや足りていない」:35.7%
・「取り組んでいるが全く足りていない」:16.1%
上記を合わせて51.8%と、半数以上が会社のDX推進度をネガティブに評価していることが分かりました。

図1:「あなたの会社のDX推進度をどのように評価しますか。」/「月刊総務」調べ
また、「自社のDX推進でうまくいっているポイント」および「自社のDX推進で足りていないと思うポイント」に対する調査回答として、以下が紹介されています。
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「自社のDX推進でうまくいっているポイント」(一部抜粋) |
・BCPを前提としたシステムのクラウド化。経営目標に明確化され全社活動となっている
・DXではないが、デジタル化によって紙の給与明細の廃止による郵送コストと郵送に至るまでの工数が削減された。Web会議、Web採用に切り替えたため、出張費が大幅に削減された
・推進途中であるが、全従業員を対象にDX教育の実施、個人の業務問題解決や効率化を目的としてDXによる業務改善を進めている
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「自社のDX推進で足りていないと思うポイント」(一部抜粋) |
・紙帳票をエクセルで回覧できるようにしたレベルをDXとして取り扱っているなどの事例もあり、単純な業務改善の枠を超えていない部分がある
・経営からの方針としてDX対応の指示が出ているが、明確ではないので、対応計画が抽象的になり具体的に進まない
・スポットでデジタル化されているが、全体的に統合されていない。設備管理面でのデジタル化は進んでいない
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●DX推進の課題は「従業員のリテラシー不足」が最多
DXの推進についてどのような課題があるかをたずねました。以下が上位の回答となりました。
・「従業員のリテラシーが足りない」:58.5%
・「コストがかかる」:54.2%
・「対応できる人材がいない」:52.5%

図2:「DXの推進でどんな課題がありますか。」/「月刊総務」調べ
●2021年度に会社全体のデジタル化が進んだ企業は75.5%で2020年度より12.3ポイント減
2021年度を振り返り、会社全体のデジタル化は進んだと思うかたずねました。
・「とても進んだ」:11.9%(2020年度は25.2%)
・「やや進んだ」:63.6%(2020年度は62.6%)
上記を合わせて75.5%が「デジタル化が進んだ」と回答しました。この数字は、2020年度の調査から12.3ポイント減少しました。

図3:「2021年度を振り返り、会社全体のデジタル化は進んだと思いますか。」/「月刊総務」調べ
また、「どの部門のデジタル化が進んだか」をたずねた質問では、以下がトップ3の回答となりました(n=89/デジタル化が進んだと回答した企業)。
・1位「管理部門(経理・総務)」:84.3%
・2位「営業部門」:42.7%
・3位「人事部門」:31.5%
以下、「製造部門」「販売・カスタマーサポート部門」「研究・開発部門」「広報・IR部門」「物流・倉庫部門」の順で報告されています。
●デジタル化されている業務1位「入退社・勤怠管理」2位「給与・経費計算」3位「請求書・契約書」
「どんな業務がデジタル化されているか」をたずねた質問では、「入退社・勤怠管理」が60.2%で最も多くなりました(n=118)。回答結果は、以下の通りです。
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1. 入退社・勤怠管理:60.2%
2. 給与・経費計算:59.3%
3. 請求書・契約書:43.2%
4. 顧客管理:33.9%
5. 営業(オンライン商談):32.2%
6. 文書管理:30.5%
7. 受注管理:28.0%
8. 備品管理・発注:24.6%
9. 出張手配:21.2%
10. 社内問い合わせ対応:20.3%
11. 電話・受付:13.6%
12. 施設管理:13.6%
13. 採用・研修:11.0%
14. 株主総会・取締役会:11.0%
15. 健康管理:8.5%
16. デジタル化されていることはない:5.9%
17. その他:1.7%
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さらに、「コロナ禍を機にデジタル化された業務はあるか」(n=118)をたずねたところ、「コロナがきっかけになったものはない」が47.5%で最も多くなりました。以下はトップ3の回答です。
・「コロナがきっかけになったものはない」:47.5%
・「営業(オンライン商談)」:24.6%
・「請求書・契約書」:15.3%
●2022年度にデジタル化したい業務1位「文書管理」2位「請求書・契約書」
「2022年度にデジタル化したい業務」としては、以下が上位の結果となりました。
・「文書管理」:37.3%
・「請求書・契約書」:29.7%
・「社内問い合わせ対応」:20.3%

図4:「2022年度にどんなことをデジタル化したいですか。」/「月刊総務」調べ
●約7割がデジタル化の推進はコロナ対策が関係していると回答
デジタル化が進んだのはコロナ対策が関係していると思うかたずねたところ、「関係している」が70.8%という結果になりました。
Q「デジタル化が進んだのはコロナ対策が関係していると思いますか。」(n=118)/「月刊総務」調べ
・「関係している」:70.8%
・「関係していない」:15.7%
・「わからない」:13.5%
また「関係していると思う理由やエピソード」として、以下のような回答が紹介されています。
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「関係していると思う理由やエピソード」(一部抜粋) |
・経営陣がアナログな考えでITが推進されなかったがコロナがきっかけで、ツールが導入され、在宅ワークが開始された
・全社員へのモバイルPC、スマートフォン貸与などにより在宅勤務の体制が整い、それに伴った業務フローの検討が進んだ
・デジタル化が進んでいない大手取引先への対応に引っ張られて進まない場面が多かったが、取引先がリモートワークをようやく取り入れてくれたので運用が加速できた
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また、IT関連の投資などに利用できる助成制度を活用したことがあるかたずねたところ、「知っているが活用したことはない」が54.2%という結果になりました。

図5:「IT関連の投資等に利用できる助成制度を活用したことがありますか。」/「月刊総務」調べ
総評として同社では、「総務としてのDXへの視座は高いものの、理想と現実のギャップが生じている企業が多くありそうだ」としています。個々の業務をデジタルに置き換えて満足するのではなく、それによってサービスや業務そのもの、そして企業文化を変革していく「真のDX」を引き続き推進していってほしいと結んでいます。