調査・リサーチ

    2022.04.28

    DX時代の課長の困りごと“DXの知識がない”“どう進めればいいかわからない”/JCD ワーク・モチベーション研究所調査

    JTBコミュニケーションデザイン(JCD)のワーク・モチベーション研究所は、2022年4月21日、「DX時代の課長」について調査した報告書を発表しました。同調査は、企業組織の中核を担う課長層1,000人を対象に行われました。DX推進にどう取り組み、何に困っているのか、また課長という役職への意識などについて調査したものです。調査結果からは、DX時代を生きる課長の戸惑いや悩みが浮き彫りになりました。また、企業として対応すべき課題も明らかにされました。

     「DX時代の課長調査」は、JTBグループで各種コミュニケーションサービスを提供するJCDのワーク・モチベーション研究所が実施しました。調査の概要は、以下の通りです。

    ・調査方法:インターネットリサーチ
    ・調査地域:全国
    ・調査対象者:全国在住の男女で従業員数100人以上の企業に勤務し、「課長」または同等の職位にある人(部下のいない人は対象外)/30歳代20%、40歳代40%、50歳代40%の割合で抽出
    ・有効回答者:1,000サンプル
    ・実施期間:2022年3月3日~2022年3月4日

     調査結果のポイントとして、以下のような項目が挙げられています。

    ●全国の課長層1,000人を対象にした本調査で、4人に1人が「自分の仕事の性質上、DXは関係がない」と回答
    ●課長の困りごとは「DXの知識がない」「どう進めればいいかがわからない」
    ●課長のDXの困りごと対処法、結局「ネット検索」、次いで「社内のDX関連部門に聞く」
    ●会社の業績につながるDXは「業務の効率化」「部門間交流」「ビジネスモデルの変革」
    ●DXなど変化の激しい現代に課長職にいることに「責任を感じる」46%、2019年調査より約12%高い割合/若い課長ほど「チャンスである」と認識
    ●人生をやり直すとしたら、「家庭や趣味を大切にマイペースの人生」との回答が最も多く42%


     以下に、調査結果の詳細を説明します。

    ●課長の4人に1人が「自分の仕事の性質上、DXは関係がない」と回答
     調査では、全国の会社(従業員数100人以上)の課長1,000人に、「自分の仕事とDXとの関わり」を聞きました。その結果は以下のようになりました。

    ・「業務の中でDXを推進している」:60.7%
    ・「自分の仕事の性質上、DXは関係がない」:25.4%
    ・「DX推進のための部門やプロジェクト・委員会などに、自分が所属している」:13.9%

     「自分の仕事の性質上、DXは関係がない」という回答が25.4%と、4分の1を占めました。具体的にどのような仕事に携わっているかについては、営業、人事、総務、教育、医療などの回答があったとのことです。DXについて、組織の中核である課長職にあっても、4人に1人は自分には関係ないと認識する現実があることが判明しました。
    図1:課長の仕事とDXとの関わり/JCD ワーク・モチ...

    図1:課長の仕事とDXとの関わり/JCD ワーク・モチベーション研究所調べ

    ●課長の困りごとは「DXの知識がない」「どう進めればいいかがわからない」
     「DXに関しての困りごと」を複数回答でたずねた結果、課長全体では、以下が上位の回答となりました。

    ・「DXに関する知識やスキルを身につけていない」:38.1%
    ・「DX推進を、具体的にどう進めればいいかがわからない」:25.2%
    ・「DXの知識やスキルを持った人材が不足している」:24.6%
    ・「本来の業務で忙しく、DXまで手がまわらない」:24.1%
    ・「部門によって温度差があり、足並みがそろわない」:16.2%

     1位・2位とも「わからない」ことに困っている状況を示しています。先の質問で「自分の仕事の性質上、DXは関係がない」という回答が25.4%あったのも、こうした「わからない」ことが背景にある可能性があるとしています。
    図2:「DXに関しての困りごと」/JCD ワーク・モチ...

    図2:「DXに関しての困りごと」/JCD ワーク・モチベーション研究所調べ

     また、「DX推進に関する悩みや不安」を自由記述式で回答してもらったところ、「DXとは何?というレベルで、ついていけない」や「若手に置いて行かれそうで怖い」といった本音のコメントのほか、社内の決裁者や情報共有の課題を嘆くコメントが見られたとのことです。
    「勤め先の会社のDX推進に関する悩みや不安」/JCD ワーク・モチベーション研究所調べ
    (自由回答) 性別年齢/地域/勤務先従業員規模
    コロナ禍において資金に余剰がない中、新規分野への出資が理解を得づらい 男性30代/神奈川/100~499人
    必要性を理解している人間が少ない 男性30代/京都/100~499人
    会社からDXの話が一切なく世の中からの遅れを感じている 男性40代/東京/100~499人
    DXとは何?というレベルで、ついていけない 男性50代/新潟/100~499人
    普段の業務の合間に行うには負担が大きすぎるため、一様に及び腰になっている 男性30代/北海道/500~2,999人
    決裁者の認識が古く、結局システム化しても運用姿勢がオールドスタイルのまま変わらなく、費用対効果に乏しい 男性30代/東京/500~2,999人
    会社としての方針が明確でないため、推進が難しい 男性40代/広島/500~2,999人
    若手に置いて行かれそうで怖い 男性50代/大阪/500~2,999人
    現状維持を良しとする組織や人が少なからず存在する、また承認プロセスが多いためスピード感が出ない 男性40代/神奈川/3,000人以上
    外部コンサルタントを起用しているが、そのコンサルタントの能力に疑問を感じている 男性30代/千葉/3,000人以上
    どこの部署で何が行われていて、全社戦略としてどうなっているのか打ち出されていない 男性40代/大阪/3,000人以上
    何処と連携して、どういう取組みをしていけばいいか、いまいちわからない 男性50代/埼玉/3,000人以上
    ●課長のDXの困りごと対処法、結局「ネット検索」、次いで「社内のDX関連部門に聞く」
     DXに関する「困りごとへの対処」の手段としては、以下の回答が上位に挙げられました。

    ・「インターネットで検索して、解決策を見つける」:44.6%
    ・「社内のDXやデジタル関連の部門に聞く」:30.3%
    ・「DXやデジタルに詳しい部下や同僚に聞く」:22.6%

     社内の専門部門や同僚よりも、自分でネット検索する割合が多い現状が明らかになりました。なお、若い課長ほど「本や専門雑誌などを読む」「上司に相談する」なども多く、解決策の間口が広いことも分かりました。
    図3:「困りごとへの対処」/JCD ワーク・モチベーシ...

    図3:「困りごとへの対処」/JCD ワーク・モチベーション研究所調べ

    ●会社の業績につながるDXは「業務の効率化」「部門間交流」「ビジネスモデルの変革」
     ここで、「会社の売上や業績は全体に伸びている」という項目への回答と、DXのさまざまな施策に関する回答の相関を見てみました。その結果、以下の施策の相関が高いと分析されました。

    ・「データやデジタル技術によって業務の効率化が進んでいる」
    ・「部門間の交流がデジタル技術によって盛んに行われている」
    ・「データやデジタル技術によって、製品やサービス、ビジネスモデルの変革ができている」

     DXを象徴する「業務の効率化」と「ビジネスモデル変革」とともに、「部門間の交流」も、業績向上に結びついている可能性があると考察されています。
    図4:「DXによる業務効率化と、会社の売上や業績の関係...

    図4:「DXによる業務効率化と、会社の売上や業績の関係」/JCD ワーク・モチベーション研究所調べ

    ●DXなど変化の激しい現代に課長職にいることに「責任を感じる」46%、2019年調査より約12%高い割合/若い課長ほど「チャンスである」と認識
     DXなどの変化の激しい現代に「課長という役職にいることをどう思うか」を聞きました。課長全体では、以下が上位の回答結果です。

    ・「責任を感じる」:46.0%
    ・「チャンスである」:23.4%
    ・「もっと昇進していたかった」:16.3%
    ・「自信がない、不安である」:17.5%

     「責任を感じる」を半数近くが挙げていますが、この割合は、前回の2019年調査の回答(34.2%)と比べても10%以上増加していました。自身の役割に大きな責任を感じている様子がうかがえるとしています。なお、若い課長ほど「チャンスである」という意識が強くなっていることも判明しました。
    図5:「課長という役職への意識」/JCD ワーク・モチ...

    図5:「課長という役職への意識」/JCD ワーク・モチベーション研究所調べ

    ●人生をやり直すとしたら、「家庭や趣味を大切にマイペースの人生」との回答が最も多く42%
     課長が「新入社員として人生をやり直すとしたら」をたずねました。その結果、「家庭や趣味を大切に、マイペースの人生を送りたい」が2位以下を10%以上引き離しトップとなりました。そのほかにも、人生のやり直しに多様な希望があることが分かりました。課長全体での上位の回答結果は以下の通りです。

    ・「家庭や趣味を大切に、マイペースの人生を送りたい」:42.3%
    ・「知識や技術を身につけ、専門家として高みを目指す人生を送りたい」:31.8%
    ・「安定した組織で、安心して仕事をしたい」:26.8%
    ・「新しい事業や商品で社会を変えるような、革新的な仕事がしてみたい」:18.0%

     「知識や技術を身につけた専門家を目指す」は前回の2019年調査結果と比べ、10ポイント近く減少しました。「家庭や趣味を大切にマイペースの人生」の突出傾向が強まっているとのことです。また、若い課長ほど「様々な会社でのキャリア」「昇進」「独立や起業」などの割合も多い傾向にありました。
    図6:「課長が、新入社員として人生をやり直すとしたら」...

    図6:「課長が、新入社員として人生をやり直すとしたら」/JCD ワーク・モチベーション研究所調べ

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