ドリーム・アーツは2021年8月24日、DXとデジタル化の取り組みに関する調査結果を発表しました。大企業のDXに対する認識と取り組みの実態を把握するのが目的です。調査対象は、従業員数1000名以上の大企業の経営層、および役職者1000名。2021年7月30日(金)から8月2日(月)まで、インターネット調査を実施しました。
まず、「DX」に取り組んでいるかを聞いた結果が図1です。
「全体的に取り組み中」と答えた割合は34%、「部分的に取り組み中」(25%)と合わせると、DXに取り組む企業の割合は59%を占めます。一方で「わからない」と答えた経営者・役職者が23%いることも注目すべき結果です。
「DX」ではなく「業務デジタル化」に取り組んでいるかも聞いています。その結果が図2です。
「全体的に取り組み中」と答えた割合は31%、「部分的に取り組み中」(33%)と合わせると、業務デジタル化に取り組む企業の割合は64%を占めました。DXより業務デジタル化に取り組む企業の方が多いという結果でした。
「DX/デジタル化の取り組み」における最重要テーマ(上位5つ)を聞いた結果が図3です。
1位は「わからない」で29%、「デジタル技術を活用したビジネスプロセス改革」と「ペーパーレス化による生産性の向上」が26%で続きます。約3社に1社の経営者・役職者が、DX/デジタル化の取り組みの目的や狙いを具体的に把握していないという結果でした。
次に「DX」と「デジタル化」の違いを説明できるかを聞きました。その結果が図4です。
「説明できない」が53%と半数を占める結果でした。「どちらかというと説明できない」(20%)を加えると、73%もの経営者・役職者がDXとデジタル化の違いを理解できないということが分かりました。
役職別でみたときの違いはどうでしょうか。その結果が図5です。
「どちらかというと説明できない」「説明できない」と回答した人の割合は、役員クラス(取締役以上)が61%、管理職(部長クラス)は64%、中間管理職は80%でした。現場に近い人ほど違いを説明できない人の割合が高くなっていること分かります。
なお、調査では違いの説明も記述してもらいました。「デジタル化は業務の効率化を目指すものに対し、DXは変革を目指すもの」とDXとデジタル化を完全に区別して考えている回答、「DXはデジタル化によるビジネス変革をねらう」、「DXの中にデジタル化が含まれる」とデジタル化の延長線上にDXがあり、DXを実現するためにデジタル化は「土台」として必要という回答も見られました。
経営層のDXへの本気度を聞いた結果が次ページの図6です。
「そう思う」と答えた割合は20%で、「ややそう思う」(31%)を合わせると、経営者のDX本気度を感じる割合は半数超えの51%でした。
では役職別で違いは見られるのか。その結果が図7です。
中間管理職と役員クラスとの間で、「経営層のDXへの本気度」に対する認識に明確な差が見られます。役員クラスが思うほど中管理職に「経営層の本気度」は伝わっていない現状が調査結果から読み取れます。
経営層からのDX方針が明確に出ているかを聞いた結果が図8です。
「そう思う」と回答した人の割合は、中間管理職は31%、管理職は44.4%、役員クラスは51.4%でした。経営層側は方針を打ち出したつもりでも、職位が下がるほど伝わっていないという現状が推察できます。
最後に、DXに取り組んで「成果が出ている」と答えた人を対象に、自社の状況を聞いた結果が図9です。
「経営層からのDX方針が明確に出ている」(80%が同意)、「経営層がデジタルの価値をよく理解している」(69%が同意)、「経営層のなかにDXの責任者がいる」(65%が同意)という傾向が見られました。DXの成果が出ている企業は共通して、経営層がリーダーシップを発揮している特徴が明確に読み取れます。