調査・リサーチ

    2022.05.09

    DE&Iへの取り組み、日本でも広がりつつあるが世界とはまだ隔たり/コーン・フェリー調べ

    コンサルティング事業をグローバル展開するコーン・フェリー・ジャパンは2022年4月25日、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)に関する調査の実施結果を発表しました。ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)を含めて表す「DE&I」は、世界中の企業において重要な戦略課題となっています。DE&Iの実態を把握するためコーン・フェリーでは、2021年7月~8月にかけてオンラインでのグローバル調査を実施しました。そしてコーン・フェリー・ジャパンは、その分析から得られた日本企業への7つの示唆を発表しました。

     調査は、オンラインの自己回答形式で実施され、97カ国、4,496人の人事担当者、DE&Iの実務担当者から回答を得ました。なお、日本からの回答数は146でした。調査結果のハイライトとして、以下7つの示唆が挙げられています。

    1. 取り組みは加速しているものの、世界とは大きなギャップが
    2. 女性だけではない、過小評価されがちな人材
    3. 「DE&Iの施策」言うはやすく行うは難し
    4. DE&I「先進」と「後進」企業の二極分化
    5. 日本では「外圧」>「トップのコミットメント」
    6. ダイバーシティ戦略はあるけれど―日本に不足しがちなトップのコミットメント
    7. 現状分析から始めよ


     調査の概要は、以下の通りです。

    ・実施時期:2021年7月~8月
    ・実施方式:オンラインでの自己回答
    ・グローバル全体の回答状況:97カ国、4,496人
    ・日本の回答状況:146(日本に本社のある組織に所属している回答者の数)
    ・58%が、従業員規模1万5千人以上の組織に所属
    ・42%が、Industrial(工業、産業)業界に従事
    ・71%が、管理職以上(マネジャー職、役員、CXOなど)

     以下に、「7つの示唆」の概要と調査結果を説明します。

    1. 取り組みは加速しているものの、世界とは大きなギャップが
     「DE&Iの取り組みは加速したか?」という設問に対し、日本に本社を置く組織に所属している回答者の回答は、以下の結果になりました。

    ・77%が、過去12か月において自組織のDE&Iの取り組みは「加速した」と回答
    ・一方、「大幅に加速した」と回答したのは20%にとどまり、グローバル全体の43%と比較して低い割合

     コーン・フェリー・ジャパンでは、「DE&Iに関する取り組みは日本企業に広がりつつあるものの、グローバル全体のスピード感とは大きな隔たりがある」と分析しています。
    図1:「DE&Iの取り組みは加速したか?(左:グローバ...

    図1:「DE&Iの取り組みは加速したか?(左:グローバル 右:日本)」/コーン・フェリー調べ

    2. 女性だけではない、過小評価されがちな人材
     DE&Iに関しては世界的に、「過小評価されがちなグループ」が組織においての優先事項となっています。それを設問としてたずねたところ、以下の回答結果となりました。

    ・グローバル全体と日本の結果は共通して「女性」がトップとなった
    ・また、日本の回答上位5項目に「若手人材」と「シニア人材」が入った

     同社では、「超高齢化社会を迎える日本において双方のバランスをとる難しさが伺える」としています。さらに、その他に過小評価されているグループとして、日本の回答者が「中途社員」「学歴」を挙げたとのことです。これは、日本独特の傾向とされました。
    図2:「過小評価されがちなグループは?」/コーン・フェ...

    図2:「過小評価されがちなグループは?」/コーン・フェリー調べ

    3. 「DE&Iの施策」言うはやすく行うは難し
     「DE&Iの施策」について、実施状況や実施上の課題をたずねた結果は、以下のようになりました。

    ・「導入済み、または導入予定のDE&I施策」について、日本もグローバルもトップになったのは「差別、いじめ、ハラスメントなどの禁止方針の策定」
    ・その他、「ダイバーシティ戦略を設定、公表し、職場ルールを設け、雰囲気を醸成する」といった土台となる基本的取り組みについては、6~7割が導入済み、または導入予定と回答
    図3:「DE&Iの施策の実施状況​は?」/コーン・フェ...

    図3:「DE&Iの施策の実施状況​は?」/コーン・フェリー調べ

     一方で、「戦略を実行可能な単位に落とし込み、社員の行動を実際に変えていくこと」の難しさは、日本もグローバル全体も共通した課題となっています。

    4. DE&I「先進」と「後進」企業の二極分化
     調査ではまた、「自組織のDE&Iの取り組み効果の度合い」を5段階で評価してもらいました。その結果は以下の通りです。

    ・「効果があった(4, 5)」、「効果的ではない(1, 2)」と回答した割合が、日本の回答とグローバルの回答ともにそれぞれ約30%程度

     国内外ともに、DE&Iの取り組みにおいて「効果を上げている企業と、そうではない企業の二極分化」が進んでいると推察しています。
    図4:「自組織のDE&Iの取り組みは効果的か?」/コー...

    図4:「自組織のDE&Iの取り組みは効果的か?」/コーン・フェリー調べ

    5. 日本では「外圧」>「トップのコミットメント」
     「DE&Iの取り組みが加速した」と回答した回答者に、加速した「きっかけ」について聞いた結果は、以下のようになりました。

    ・日本企業から7割近くの回答を集めたきっかけのトップは「ESG」、次いで「CEO」
    ・一方、グローバル全体、および地域別、日本以外国別のきっかけ第1位は「CEO」、ついで「従業員」

     日本企業はESGが一種の「外圧」となっていることが分かりました。
    図5:「DE&Iが加速したきっかけは?」/コーン・フェ...

    図5:「DE&Iが加速したきっかけは?」/コーン・フェリー調べ

    6. ダイバーシティ戦略はあるけれど―日本に不足しがちなトップのコミットメント
     「自組織におけるDE&Iの取り組みにおける課題」として、日本企業で働く人は以下のような項目を挙げています。

    ・設定されたDE&I戦略が組織の優先事項になっていない
    ・コミットメントが欠如している

     同社では、これらは人事部だけでは解決することが難しい課題ばかりだとしています。そして、DE&Iを推進するための重要なカギは、トップリーダーが握っていると推察しています。

    ▼「DE&I施策実施上の課題は?」/コーン・フェリー調べ
    ・1位:「差別、いじめ、ハラスメントなどの禁止方針の策定」(77%)
    ・2位:「ダイバーシティに関する取り組みの表彰/イベント実施」(62%)
    ・3位:「ダイバーシティのビジョンステートメント」(61%)
    ・4位:「ダイバーシティ戦略」(61%)
    ・5位:「声を上げる文化醸成と心理的安全性の確保」(60%)

    7. 現状分析から始めよ
     「実施または実施予定のDE&I施策」をたずねた結果を、DE&I先進グループと日本の回答グループで比較した結果は、以下のように分析されました。

    ・DE&I先進グループの6~7割は、「アセスメントや診断ツールを活用したデータによる現状把握や分析を実施または実施予定」である点、そして「DE&Iを組織の構造的プロセスにまで統合していく」点などが、日本企業の取り組みの現状と大きく異なっている。
    図6:「実施または実施予定のDE&I施策は?」/コーン...

    図6:「実施または実施予定のDE&I施策は?」/コーン・フェリー調べ

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