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調査から読み取るDX成功の3大施策、イベントの基調講演でアビームが提唱

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DXを推進しているものの、いまだ軌道に乗せられない企業が多い中、成功へと導くヒントはどこにあるのか――。RPA BANKが2021年2月16日に開催したオンラインイベント「DIGITAL WORLD ONLINE 2021 WINTER」では、DXを加速させるにあたって直面する課題と具体的な解決策について、多数のセッションで提起されました。そこで、今回は2月17日の基調講演の内容を紹介します。

DXの取り組みに成功する企業はわずか7%

 基調講演にはアビームコンサルティング 戦略ビジネスユニット ダイレクターの小宮伸一氏が登壇。「伴走してきたABeamが伝えたい、DX推進の3つの施策」と題して、成功させるためのポイントを紹介しました。
アビームコンサルティング 戦略ビジネスユニット ダイレ...

アビームコンサルティング 戦略ビジネスユニット ダイレクター 小宮伸一氏

 小宮氏は冒頭、調査結果をもとにDXの失敗要因を分析。多くの企業がDXに取り組む中、成功に至った企業とそうでない企業では、どのような点にギャップがあるのかを洗い出しました。「当社の調査結果では、DXに成功したと認識している企業は約7%にとどまる。DXの推進テーマは、新規事業の創出や顧客設定のデジタル化といったように『社内』から『社外』にシフトする傾向が見られるが、テーマを問わず多くの企業が成功に至ってない」と言います。  例えば、「新規事業の創出」を目的に取り組む企業の74.6%、「顧客接点デジタル化」を目的にする企業の78.1%が失敗しています。  では成功/失敗企業では、具体的にどんな取り組みの達成度が乖離しているでしょうか。小宮氏は「DX組織はデジタルとビジネス/業務の知見があるか」「デジタル知見のある経営陣が意思決定しているか」「全社員にデジタル教育を実施しているか」の3点が特に乖離していると指摘します。「成功企業がこれらの達成度を高める一方で、失敗企業のこれらの達成度は総じて低い。達成度を高めて成功企業とのギャップを埋めることがDXの成功には欠かせない」と言います。
図1:成功企業と失敗企業の達成度の違い(出典:アビーム...

図1:成功企業と失敗企業の達成度の違い(出典:アビームコンサルティング)

 なお、これら3点に次いで、「十分な予算や人的リソースを割り当てているか」「DXの責任者が経営トップの役職により近いか」の達成度もギャップがあると指摘しています。  こうした調査結果から同氏は、DXを推進するために重視したい施策として次の3つを掲げています。
1.「意味」があり「共創」に繋がるDX推進テーマの策定
2.DXリーダーの獲得・横断型で学習する組織のデザイン
3.「習うより慣れろ」小さな成功・失敗体験の導入
 では具体的にどう取り組めばよいのか。3つの施策を以降で詳しく紹介します。

社会性や他社との連携を前提としたテーマを見据えよ

 DXで自社をどう変えるのか、DX推進によりどんな青写真を描くのか…。こうしたビジョンを明確化することが大切であると小宮氏は指摘します。  とりわけ、これまで重視していた価値から脱却し、企業として新たな価値を求めるべきだと言います。また、「自社の『個』の利益を追求せず、社会的価値も追及すべきだ。環境や社会的課題への配慮が企業には求められるようになった。SDGsのような課題も顕在化している。こうした前提のもとで、ステークホルダーが共感するDX推進テーマを策定することが大切である」。  自前主義からの脱却も必要です。「単一の企業が自前で規模を拡大するのには限界がある。情報活用が当たり前となった今、他社との連携も比較的容易に行えるようになった。『共創』を前提に、自社だけでは成しえなかった価値を創出することも必要である」と続けます。  具体的にどんなテーマを策定すべきか。小宮氏はヒントとなる事例も紹介しています。同氏は、流通業向けに特定の食品などを流通するためのプラットフォームを構築するというテーマを例示しました。取り組む企業にとっては、プラットフォームの利用料を新たな収益源として見込めるようになるほか、Co2削減や食の安全などのトレーサビリティを保証するといった社会的価値も創出できます。他社との連携を想定したプラットフォームになるため、業界全体の共創モデルにもなります。「経済的かつ社会的に意味のあるテーマか、自社の強みを生かしつつ他社と共創するテーマかを考えることが大切である」(小宮氏)と言います。

環境変化に追随する人材・組織戦略を

 DXによって変革する企業になるには、自社のDXをけん引するリーダーを擁立し、必要な組織を構える必要があると、小宮氏は指摘します。「変化に対応する企業を目指すなら、変革し続ける経営を担いつつ、社員のエンゲージメントを高められるリーダーを獲得すべきだ。変化を実行に変えられる組織もデザインすべきである」と言います。  新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、求められるリーダー像は変わりつつあると小宮氏は強調します。「これまでは目標達成に向けて実直に取り組むリーダー像が求められたが、収束後は非連続な成長曲線を描く中でも未来を開拓できるリーダーが求められる。世代や部署、国、ベンチャー、異業種といった『越境』を意図的に経験させ、大胆な意思決定やメンバーの才能を引き出せるリーダーを獲得することがDX推進には不可欠である」と続けます。  組織横断でDXを推進できる組織づくりも必要だと言います。「計画を遂行することを前提とした『階層型組織』を見直すべきだ。アジリティを重視したプロジェクト型の組織、実践と検証を繰り返すことで学びを得られる組織、明確な目的に向かって取り組むパーパス・ドリブン型の組織を目指し、変化に柔軟に対応できるようにしたい」と新たな組織の在り方を提起します。

小規模でも成功・失敗体験の蓄積が大事

 一言でDXといっても取り組むべき範囲は広く、情報のデジタル化からデジタル化した情報の活用、デジタル活用による変革まで様々な取り組みがあります。こうした一連の流れの中で「小さな成功体験・失敗体験を経験してほしい」と小宮氏は言います。  「人がやるべきこと、RPAやAIなどを使ってデジタル化すべきことの役割分担を、経験から体感できるようにすることが大切である。デジタルに何を期待するのか、一方で人はどんな役割を全うすべきなのかを明確に判別できるようにしたい。そのためには成功・失敗体験を繰り返し、DX推進のために必要な能力を養ってほしい。『習うより慣れろ』の精神で、失敗してもいいのでまずは取り組んでほしい」とDX推進に必要な心構えを訴求しました。  現場改善やWeb会議の導入など、小規模な取り組みで多くの経験を積み重ねることも大切です。「企業内の限定的な取り組みから始め、業務プロセス改革や組織改革など、適用領域を段階的に拡大することで、デジタルをどう活用すべきかの視点を学べるはずだ。業界の課題解決や社会に対する価値創出といったゴールを見据えるなら、まずは足元の取り組みを数多くこなしてほしい」とまとめました。

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