日本オムニチャネル協会は2025年2月28日、年次カンファレンス「オムニチャネルDay」を開催しました。ここでは、学びエイド 代表取締役社長 廣政愁一氏と、モデレータを務めた日本オムニチャネル協会の亀卦川篤氏が登壇したセッションの様子を紹介します。「教育×ビジネスで社会変革に挑戦しろ!~リアルドラゴン桜が実践した人と企業の変革~」というテーマで、日本の学びの現状や課題を議論しました。
セッションの冒頭、日本人の学びに対する姿勢の弱さを指摘しました。国際的な統計で日本は「企業が人に投資しない国」かつ「個人も学ばない国」と言われており、他国と比較して新しい学びに対して極めて消極的で保守的な傾向にああると言います。亀卦川氏はこのような状況下では単に学習の仕組みを導入するだけでは不十分と訴えます。むしろ学ぶ側の論理を理解する必要があると述べました。

こうした状況を踏まえ、廣政氏は「教育」はどうあるべきと考えているのか。そもそも廣政氏は元々、東進ハイスクールで講師を務め、タレントとしても有名な林修氏の同期でもあったといいます。林氏と共に兵庫県南部地震後の大阪にある女子校の立て直しに従事し、数年で関関同立への合格者数を0から200名まで増やすという実績も残しました。これがビジネスの原点となり、「リアルドラゴン桜」という名称を公式に認められた人物となったといいます。
廣政氏は日本の教育について、「機会(チャンス)」は制度的に担保されているものの「意欲(モチベーション)」の格差が大きな問題だと指摘します。例えば、東京と地方(鹿児島など)での大学進学率の差は、能力の差ではなく情報や意欲の欠如に起因しています。
さらに、「学びたい人間を増やそうとするのは机上の空論であり、教えたいという熱い大人が増えれば、教わりたい子供は自然と出てくる」という考えも述べました。教育における問題の多くは「教える側」にあり、教師がその科目をどれだけ楽しんでいるかという熱意こそが、学習者に伝播し、意欲を喚起する鍵となると強調しました。
大学生や社会人の姿勢にも踏み込みます。廣政氏は近年の若い社会人は「自動化(指示待ち)」しているという厳しい見方を示しました。現在の大学では「初年次教育」として、マナーや授業中の振る舞い(筆箱を落とさない、走り回らないなど)といった、かつては家庭や義務教育で身につけるべきだったことまで教え、単位を与えている実態さえあるといいます。学生も社会人も自立して学ぶことができず、お膳立てされなければ動けないといいます。廣政氏は、「小学校から高校まで言われたことだけをやってきた結果、社会人になっても自律的に学ぶ姿勢が育っていない」と分析しました。

なお、セッションでは廣政氏が確立した「学校の中に予備校を作る」というモデルにも触れました。これは単なる講師派遣ではなく、学校の敷地内に予備校の機能を組み込み、学校の先生と連動した指導を行う形態です。これにより、以下のメリットを見込めるといいます。
学習の効率化: 学校の進行状況やイベント(体育祭など)と連動できる。
コスト削減: 広告宣伝費や場所代が不要。
質の向上: 浮いたコストを人件費に充て、通常の2倍の給与で超一流講師の「ドリームチーム」を編成できる。
廣政氏は、教育の根底にあるべきなのはDXやシステムの整理整頓ではなく、「人間が熱く語ること」であると結論づけています。たとえ遠隔教育であっても、教える側の熱量は伝わります。学びを手段で終わらせず、教える側がワクワクするような「学びたい意欲」をいかに創出するかが、人と企業の変革、ひいては社会変革を成し遂げるための本質的な鍵となると述べました。
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日本オムニチャネル協会






















