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DXセミナー

2022.07.11

全体最適を浸透させるマネジメント理論「TOC」、優秀な人の時間を割かぬよう全員で助け合う考え方こそ必要

DXマガジンは2022年6月24日、定例のDX実践セミナーを開催しました。今回のテーマは「『ザ・ゴール』に学ぶサプライチェーンマネジメント~DXを成功させるTOC理論の実践~」です。ゲストのゴールドラット・ジャパン CEOの岸良裕司氏が、全体最適に有効なTOC理論の考え方などについて講演しました。

当日のセミナーの様子を動画で公開しています。ぜひご覧ください。

優秀な人ほどボトルネックになりやすい

 名だたる経営者が支持し、世界で1000万人が読んだとされる「ザ・ゴール」。今回のゲストである岸良裕司氏は、「ザ・ゴール」著者のエリヤフ・ゴールドラット博士に請われ、ゴールドラット・コンサルティング・ディレクターに就任した人物です。「全体最適」のマネジメント理論である「TOC(制約理論)」をあらゆる産業界で実践し、その手法はもとより、セミナーでの分かりやすい解説でも人気を集めています。

 今回のセミナーでは、岸良氏が「全体最適」や「TOC」について解説しました。時折、視聴者にクイズやテストを投げかけるなどして「全体最適」を分かりやすく説明しました。
写真:ゴールドラット・ジャパン CEO 岸良裕司氏

写真:ゴールドラット・ジャパン CEO 岸良裕司氏

 セミナー冒頭、岸良氏は視聴者に次の質問を投げかけます。

・あなたの仕事は他の人や組織と、つながって行われていますか?
・それぞれの人や組織の能力は一緒ですか? ばらついてますか?


 この質問で大切な点を岸良氏は、「つながっているのに、あたかもつながっていないと扱うこと、ばらつきがあるのにあたかもばらつきがないように扱うこと」と、これが現在のマネジメントの致命的な誤りであると指摘します。一体どういうことか。企業のマネジメントは一般的に、「営業」や「生産」「開発」などの“縦割りのマネジメント”になりがちです。組織も同様で、「他部署とつながっているのに縦割りでつながっていないように仕事をしている。人の能力も然りだ。ばらつきがあって当然なのに、能力のばらつきを想定していない。こうした考え方の誤りが、思うような結果を出せない理由だ」(岸良氏)と指摘します。

 一方、「ボトルネック」についても解説します。岸良氏はそもそもボトルネックとは、「分かってはいるものの、簡単に増やすことができないリソース」と主張します。なぜなら、簡単に増やせるリソースならばボトルネックになることはあり得ないからです。

 例えば、一般的に「営業」「設計」「生産設計」「工場」「工事」といった業務プロセスでは、「営業」などから設計変更の依頼が集中する「設計」がボトルネックになりがちです。しかし岸良氏はこの状況を例示しつつ、「ボトルネックとはつまり、一番優秀な人がなりやすい。言い換えれば『希少リソース』である。設計担当者を容易に増やすことはできない。かといってボトルネックを解消するため、希少リソースである設計担当者の仕事の進め方を見直すのは相当のリスクに他ならない」と指摘。その上で、「重要なのは、設計担当者以外の人の行動を変えることだ。営業や生産設計、工場、工事に関わる人の行動を変え、設計担当者を助けるようにする。この考え方こそTOCの基本となる」(岸良氏)と強調します。
図1:「設計」に負荷が集中し、ボトルネックになりやすい

図1:「設計」に負荷が集中し、ボトルネックになりやすい

 さらに、「周囲が助け合ってボトルネックとなる制約を取り除くには、『つながり』や『ばらつき』を受け入れるのが前提となる。これらを受け入れることで制約を解消できるようになる。業務プロセスに関わる人全員で制約に集中し、全員で助け合うべきだ。この考え方こそ『全体最適』となる」(岸良氏)と指摘します。制約となる「設計」以外の“非制約”(営業、生産設計、工場、工事)のカイゼンに取り組むのは「無駄」(岸良氏)と断言します。
図2:「つながり」と「ばらつき」を受け入れることで制約...

図2:「つながり」と「ばらつき」を受け入れることで制約を取り除く体制を構築できるようになる

 では、一般的な組織の中でボトルネック、つまり希少リソースとは何を指すのか。岸良氏は、「需要と供給から考え、組織において需要が多く、供給が圧倒的に少ないものが該当する。最たる例が優秀な人の時間だ。こうした人の多くがマネジメントに関わっている。マネジメントが“非制約”、つまりボトルネック以外に多くの時間を割かれるのは好ましくない。むしろ“非制約”に関わるべきではない。それくらい割り切って集中できる環境を構築すべきだ。優秀な人が『今はやらないこと』を決めるのも全体最適には必要だ」と強調しました。
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