DXマガジンセミナー

    2022.08.30

    中小企業のDX推進を支えるノーコード開発、経営者こそ使い倒して自社への定着を促せ

    DXマガジンは2022年8月24日、定例のDX実践セミナーを開催しました。今回のテーマは「ノーコード開発の時代が来た~中小企業のDX推進を成功させるためには~」。ゲストにアステリア CXO(最高変革責任者)の中山五輪男氏を招き、多くの企業が関心を寄せる「ノーコード開発」の可能性や実際の活用事例などを紹介しました。

    当日のセミナーの様子を動画で公開しています。ぜひご覧ください。

    中小企業こそノーコード開発がDX推進のカギとなる

     ソースコードを記述することなく、マウスによるドラッグ&ドロップの操作のみでアプリやWebサービスを開発する「ノーコード開発」。システムを簡単に開発できることから高い関心を集めており、DXに取り組む多くの企業が「ノーコード」をキーワードにシステムの内製化に舵を切りつつあります。とりわけ、システムに精通する人材や開発予算を十分投じられない中小企業に限ると、大企業よりノーコード開発に大きな期待を寄せています。

     今回のセミナーでは、「ノーコード開発」について詳しく解説しました。ゲストとして登壇したアステリア CXO(最高変革責任者)の中山五輪男氏は「ノーコード開発」の可能性について、「昨今は、必要なシステムを迅速に展開することが求められるようになった。情報システム部門にシステム開発を依頼し、運用開始まで数カ月間かかるようでは遅い。そこで、システムを迅速に展開する手段の1つとして『ノーコード』によるシステム開発の重要性が増している」と指摘。これまでのようにシステム開発を他人任せにせず、ノーコードを使って自分たちで何とかできるようにすべきだと訴求します。システムの複雑性や用途、目的によるが、ERPやSCMなどの基幹システムと違い、事業部門の業務を支援する目的のシステムならノーコード開発が向くと言います。
    写真:アステリア CXO(最高変革責任者) 中山五輪男氏

    写真:アステリア CXO(最高変革責任者) 中山五輪男氏

     セミナーのモデレータであるDXマガジン総編集長の鈴木康弘も、DXに取り組む上でノーコード開発を活用すべきと訴えます。「DXで大切なのは『X』、変革に他ならない。デジタルやITを意味する『D』は手段に過ぎない。DXを成功させるなら、デジタル活用のハードルを低くすることにも目を向けなければならない。このときに使えるのがノーコード開発だ」と指摘します。さらに、「ITやデジタルに精通する人材が多くない中小企業こそノーコード開発のメリットは大きい。多くの社員、さまざまな部署がノーコードでシステムを開発できるようになれば、業務も大きく変わる。DXも大きく推進させられる。その意味で中小企業は、大企業よりDXを加速できる可能性を秘める」と分析します。
    写真:中山氏は、モデレータでDXマガジン総編集長の鈴木...

    写真:中山氏は、モデレータでDXマガジン総編集長の鈴木康弘とノーコード開発の必要性について議論

    事例から自社に適した活用法を模索せよ

     セミナーでは代表的なノーコード開発ツールも紹介しました。サイボウズの業務支援サービス「kintone」やBASEのECサイト作成サービス「BASE」、ヤプリのアプリ開発プラットフォーム「Yappli」などを紹介。ノーコードというキーワードを全面に打ち出さずとも、ノーコードでアプリなどを開発できるサービスが徐々に出回るようになっている状況だと言います。

     さらに、アステリアのノーコードでモバイルアプリを開発できる「Platio(プラティオ)」の活用事例も紹介しました。例えば、会員制のスポーツクラブを運営するルネサンスでは、現場の社員が忘れ物を管理するためのアプリをPlatioで開発しました。店舗では毎日数十件の忘れ物があり、台帳に忘れ物を記録したり特徴を記したりする必要があったといいます。忘れ物管理アプリを開発してiPadで管理できるようにしたことで管理作業を削減。全店舗で月間550時間を節約したといいます。アプリでは忘れ物の登録はもとより、忘れ物を一覧で確認したり、日付や特徴で検索したりする機能を備えます。忘れ物を受け取ったことを示すサインもアプリ上に記録できると言います。モデレータの鈴木は導入事例について、「ノーコード開発ツールにどんな機能があるのかを把握することは大事だが、まずはどんな企業がどんな用途で使っているのかを、事例を通じて学んでほしい。自社でどう使えるのかをイメージすることが先決だ」と、多くの導入事例から自社導入のイメージを膨らますことが大切だと訴えます。

     そのほか、熊本県小国町が被災状況を共有するアプリ、ビルメンテナンス事業を展開する裕生が従業員の健康/安否確認用アプリをPlatioで開発した事例も紹介。具体的な開発手順や導入効果などを紹介しました。なお、Platioでは業界や業種などに応じた約100種類のテンプレートを用意。テンプレートを活用することで、必要な機能を簡単に追加したりカスタマイズしたりできるのがメリットだと中山氏は指摘します。

     中山氏はノーコード開発ツールについて、「事業部門の現場が使うのはもちろんだが、ぜひ経営者や役員こそ一度、使ってほしい。自分で作った経験を現場に伝えることでノーコード開発ツールが全社に浸透する。経営者が『デジタル人材』になれるチャンスでもある。経営者や役員のこうした姿勢、行動がDXを大きく推進させられる」と指摘します。

     モデレータの鈴木も、「DXを成功させるには、まずは経営者が意識を変えることが必要だ。DXに本気で取り組む決意を示されなければDXは成功しない」と強調します。さらに、ノーコード開発ツールなどのITを活用するなら「業務を変えなければ意味はない。未来の自社を想像し、そのために必要な業務を描くことが大切だ。このときの業務を支えるシステムの1つとしてノーコード開発ツールを検討すべきだ。さらに、現場主導でアプリなどを開発できる体制づくりにも取り組むべきだ」とまとめました。

     前回のDX実践セミナーでは、間接資材をEC経由で販売するモノタロウのDXの取り組みや、顧客にどんな価値を提供することにこだわっているのかなどを紹介。MonotaRO CXマネジメント部門部門長の米島和広氏が自社の事例を交え、紹介しています。こちらの記事も合わせてお読みください。
    11 件
    〈 1 / 1 〉

    Related

    DXマガジンセミナー