MENU

小売業向けの国際カンファレンスがアジア初開催、会期を通じて革新的に変化し続ける重要性を訴求

  • URLをコピーしました!

日本オムニチャネル協会は2024年6月19日、定例のセミナーを開催しました。今回のテーマは、「第1回NRF-APAC報告:アジアから目が離せない~第1回NRF-APACをフルに体感して感じた事~」。シンガポールで6月11日から開催した小売業向けカンファレンス「NRF Retail’s Big Show APAC 2024」に参加したゲストを招き、世界の小売業界の動向や主なトレンドについて議論しました。

当日のセミナーの様子を動画で公開しています。ぜひご覧ください

原材料費の高騰などによる物価高の影響で、国内消費は低迷し続けています。総務省が2024年5月に発表した家計調査(3月)によると、2人以上の世帯が消費に使った金額は、前年同月比でマイナス1.2%。消費支出は13ヵ月連続で前年同月比を下回っています。賃上げの機運は高まるものの、国内の個人消費は一向に改善しない状況が続きます。

こうした中、小売業は利益体質の構造をどう作り上げるべきか。強い経営をどう実現すべきか。そのヒントを探るカンファレンスがシンガポールで開催しました。それが、2024年6月11日から6月13日まで開催したカンファレンス「NRF Retail’s Big Show APAC 2024」(NRF-APAC)です。小売業に携わる事業者や団体が一堂に会する展示会で、これまで米ニューヨークで開催していましたが、今回APAC版を初開催しました。

世界の小売業はどこを目指しているのか。業界として消費者のどんなニーズに応えようとしているのか。AIや機械学習をはじめとする先端テクノロジーは小売業にどんな恩恵をもたらすのか…。

今回のセミナーでは、初開催となるNRF-APACの概要と、実際の様子などを解説しました。

ゲストとして、IBAカンパニー 代表取締役 DCM 社外取締役 射場瞬氏、一般社団法人リテールAI研究会 理事 今村商事 シニア バイス プレジデント 兼 営業本部 統括本部長 林拓人氏、ピアリビング 執行役員 販売管理部長 青木朱音氏の3人が登壇。司会である日本オムニチャネル協会 理事 逸見光次郎氏を交え、NRF-APACの印象や影響などを議論しました。

成長著しいアジアの動きに注視せよ

セミナー前半は、アジアやシンガポールの景況感、さらには「第1回NRF Retail’s Big Show APAC 2024(NRF-APAC)」の概要について、逸見氏が講演しました。

そもそも「NRF Retail’s Big Show APAC 2024(NRF-APAC)」は、アメリカのナショナルリテールフェデレーション(NRF)が主催する、アジア太平洋地域初のカンファレンスです。通常、毎年1月にニューヨークで開催されるこの大会は、小売業界の最前線に立つ多数のPC事業者や支援事業者が参加し、最新の技術や戦略が披露される場として知られています。

今回のAPAC版では、6月11日から13日までの3日間、シンガポールのマリーナベイエリアで開催されました。会場では200以上のブースが設けられ、全世界から来た代表者たちが新技術やサービスを展示しました。さらに、会期中には多彩なセミナーやパネルディスカッションが行われ、アジア市場での小売業の未来について活発な議論が交わされました。

逸見氏は、アジアで開催される背景として、アジアとシンガポールの経済状況についても解説しました。「シンガポールは、人口約560万人の小国ながら、非常に高い食料自給率の低さ(主に輸入に頼る)と強固な製造および金融セクターを持っている。特に、金融業は、多くの国際銀行や金融機関が地域拠点としてこの国を選んでいるため、アジアの金融中心地としての役割を果たしている」と説明。さらにアジア全体の経済状況に目を向けると、「特にインド、フィリピン、ベトナムなどが高い経済成長を遂げている」(逸見氏)と指摘。これらの国々は、シンガポールと共に、アジアの小売市場全体の成長を支える重要な役割を担っていると補足しました。

写真:日本オムニチャネル協会 理事 逸見光次郎氏

NRF-APACでは、特にデジタルトランスフォーメーションが大きなテーマの1つでした。シンガポールは、チャンギ空港のデジタル化推進など、公共および民間部門におけるデジタル革新の先進例を多数有しています。逸見氏はこれらの事例を通じ、デジタル技術が如何にして小売業に新たな価値をもたらしているかを強調しました。さらにeコマースの分野でも、シンガポールはアジア市場での重要なプレイヤーで、逸見氏は地域の主要なeコマースプラットフォームが消費者に新しいショッピング体験を提供する事例も紹介しました。

最新技術を最大限活用する必要性を再確認

セミナー後半はパネルディスカッションを実施。逸見氏に加え、射場瞬氏、林拓人氏、青木朱音氏の4人でNRF-APACを振り返りました。

射場瞬氏は、シンガポールのリテール業界がデジタルソリューションをどのように取り入れているかについて詳細な説明を行いました。特に、フェアプライスのアプリが提供する多様な機能、例えば店頭での支払いからデリバリーサービス、屋台での決済までを一元化できる点を強調しました。このような進歩は、シンガポールが如何にしてデジタル化を推進し、顧客体験を向上させているかを示す好例です。

写真:IBAカンパニー 代表取締役 DCM 社外取締役 射場瞬氏

一方で、林拓人氏は店舗の顧客体験と裏方のデジタル作業の間に存在するギャップに焦点を当てました。物理的な店舗が提供する顧客体験が如何に重要か、そしてその背後で進行するデジタルプロセスがどのようにそれを支えているかについて議論しました。彼は、店舗設計とデジタルインフラの整備が顧客満足度を大きく左右すると述べ、オンラインとオフラインのシームレスな統合が重要であることを強調しました。

写真:一般社団法人リテールAI研究会 理事 今村商事 シニア バイス プレジデント 兼 営業本部 統括本部長 林拓人氏

青木朱音氏は、テクノロジーがリテール業界にもたらす変化に適応する方法についてのビジョンを共有しました。デジタルツールと顧客データの活用がいかにして顧客との関係を強化し、ビジネスモデルを変革しているかについて語りました。特に、消費者行動の理解を深め、それに基づいてサービスをパーソナライズすることの重要性を指摘しました。

写真:オンラインで出演したピアリビング 執行役員 販売管理部長 青木朱音氏

ディスカッションを通じて、参加者たちは、テクノロジーの進展がリテール業界における顧客体験の向上に欠かせない要素であるとの認識を共有しました。また、これらの技術が日々の業務をどのように変え、消費者との接点をいかに改善しているかについて、多くの示唆に富んだ意見が交換されました。このような洞察は、アジア太平洋地域の小売業界が今後どのように進化していくかを理解する上で非常に価値があります。

最終的に、このパネルディスカッションは、リテール業界のリーダーたちが直面している課題と機会についての理解を深める貴重な機会を提供しました。技術がもたらす可能性を最大限に活用し、革新的な変化を推進することが、今後のリテール業界の成功に不可欠であるという共通の見解が確認されました。


関連リンク
日本オムニチャネル協会
https://omniassociation.com/

シェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
  • 週刊SUZUKI
  • SUZUKI TV
  • DXセミナー

メルマガ登録

DXマガジンでは、DX成功のヒントを毎月約100本以上発信中!!
ご登録はこちらから!

メールアドレス (必須)

お問い合わせ

取材のご依頼やサイトに関するお問い合わせはこちらから。

問い合わせる