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第3回 システム課題の整理

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前回は現状のシステムの見える化について説明しましたが、第3回ではそこで出てきた課題をどのように整理していくかについて説明します。

システムの課題を洗い出す

現状のシステム整理の際に見えてきた課題を、まずは一覧表に記入します。そのうえで再度システム担当者と現場担当者にヒアリングを実施し、システム課題を洗い出します。課題と一口に言っても色々な課題があります。機能を追加してほしい、システムが古い、システムコストが高い、運用人員が足りない、など様々です。まずはこれらの課題を洗いざらい抽出し、それらをグルーピングして、課題のレベル感を合わせていきます。その後分類分けして整理するのがいいでしょう。よくある担当者が効率化されるだけ、といった課題が出たりします。個人が効率化されるだけだと、結果他の人には使われないシステムを開発し、新たな課題を生み出すことにつながることもあります。課題を整理する際には常に全社視点を意識して整理する必要があります。
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課題の原因を追及する

課題を洗い出したら、すぐに対策を考えるのではなく、原因を追及することが大切です。私自身も課題と対策しかない課題管理表を以前は作成していましたが、抜本解決をするには、必ず原因の欄が必要です。それも表面上の原因ではなく、真の原因まで踏み込むことが大切です。例えば、「古いシステムを使い続けている」といった課題があった場合、「新しいシステムを検討したが費用対効果が見合わないため」という原因だったとします。この場合、なぜ費用対効果が見合わないのかまで踏み込む必要があります。費用が高い原因が、現状踏襲が原因になっていることはよくあります。システムに業務を合わせることができれば、コストは半分程度になり、新たな効果が見込める場合もあります。そうなると真の原因は変化対応ができない文化に原因があったり、デジタル化の遅れだったり、リーダーがいない体制上の問題、といったところが原因になります。原因を追究する際には、会社の仕組みの問題にまで踏み込めるかがポイントになります。

ベンダーのコストを疑う

現在かかっているシステムコストについても疑いを持ってみたほうがいいでしょう。すでに導入しているシステムの初期費用はもう戻ってきませんから、疑いを持つのはランニング費用と、これから導入を進めるシステムの初期費用になります。ランニング費用については、Saasのサービスであれば、ホームページなどで調べて、かかっているコストが妥当かどうかを判断できます。スクラッチで開発したシステムの運用費用の場合は、必ず工数を出して妥当かどうかを判断します。障害時の対応は開発した会社しかできないことが多いですが、システムの稼働監視や障害検知は、他の会社にアウトソースすることも検討してもいいでしょう。監視を専門でやっている会社が世の中にはたくさんありますので、そういった会社にお願いするほうがコストは安価に抑えられます。システム会社にお願いするとどうしても人月単価×監視時間がかかってくるのが普通ですが、監視を専門でやっている会社でしたら、メール1通あたりいくら、といった費用になり、人が張り付く必要はなくなりますので、大幅なコスト削減も可能になります。

本当のコストを徹底的に追及する

コストが妥当なのかどうかを徹底的に追及することも必要です。すべてのシステムについて追及するにこしたことはないのですが、やはりコストの高いものから、優先度をつけて調査するのがいいでしょう。今までの経験からこのシステムだったらこれぐらい、と判断できるものもあるでしょうし、妥当かどうかを判断できない場合は、契約しているベンダーとは違う会社から見積もりをとるのも効果的です。企業のシステム担当者はできるだけベンダーを集約したいと考えますので、時にはそれがコスト高の原因になることがあります。以前担当していたお客様で、あるセキュリティソフトを基幹システムを担当しているベンダー経由で契約していたことがありました。そのセキュリティソフトを別のベンダーから見積りをとったところ、その会社でかかっていた月額の費用が年額の費用とほぼ一緒だった、といったこともありました。契約会社を変更するだけでコストが10分の1になったのです。これは極端な例かもしれませんが、ベンダーを通しても1割程度しかコストが増えないという場合は、ベンダーを集約したほうが運用も効率化されるという判断もあるかもしれません。ベンダー側も取り扱っていない製品を担当する場合は、それなりのコストを請求するのは当然ですので、必ず他のベンダーからも見積もりを取って、適正な価格がいくらなのかを理解したうえで契約することは大切です。 ここまでがシステムの課題を整理する、というステップになります。現状のシステムを洗い出し、課題を整理することで、現状のシステムの評価はほぼできたといってもいいでしょう。ただ、このままでは評価で終わってしまいますので、次回は出てきた課題の対応について説明します。
岡村 克久(Katsuhisa Okamura)

1993年(株)オービックにてSEとしてシステム開発に従事。2000年(株)イーショッピング・ブックスに入社しECサイト開発に携わる。2008年(株)セブンアンドアンドワイ システム開発部部長就任。2015年(株)セブンアンドアイネットメディア執行役員就任。オムニチャネル戦略の開発PMを務める。2017年同社を退社。2017年デジタルシフトウェーブ入社。同社取締役に就任。
■上記の著者へのDX相談・講演等の依頼は、こちらから

株式会社デジタルシフトウェーブ

https://www.digitalshiftwave.co.jp/
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