相手と会話を通じて良好な人間関係を築くには、会話の中に潜む興味や関心、課題を探る力を養うことが大切です。話には表れない相手の心理を読み解くことで、真の理解を得られ、人間関係を築くきっかけとなるのです。会話の中から興味や関心、課題を探るために必要な姿勢について考えます。【週刊SUZUKI #142】
「聴く」ことの真の目的は、単に相手の言葉を受け止めるだけではありません。もっとも大切なのは、相手の興味や課題を探り当てるという意識です。なぜなら、相手の話の中には、必ず本人の興味や課題が隠されているからです。
ビジネスにおいても、個人的な関係においても、相手が自ら抱えている興味や課題を理解することは、より深い共感を生み、最適な解決策や提案を提供する上で不可欠です。相手の興味を探ることは、共通の話題を見つけ、会話を弾ませるきっかけとなります。相手の課題を探ることは、あなたがその人にとっての「価値ある存在」となるための第一歩です。
では、どのようにして話の中に隠された興味や課題を探るのでしょうか。
その1つが、集中と観察です。相手の話、表情、感情に意識を集中させることはもちろんですが、特に「繰り返し出てくる言葉」や「感情がこもる部分」、「話が深掘りされるポイント」に注目してください。そこには、相手の関心事や、解決を求めている問題が潜んでいます。
深掘りする質問をするのも有効です。表面的な話に留まらず、「なぜそう感じたのですか?」「具体的にどのような状況ですか?」「それはいつからですか?」といった、相手がさらに深掘りして話せるような質問を投げかける勇気も必要です。ただし、尋問のように聞こえないよう、共感を示しながら質問することが大切です。
もちろん背景を推測することも必要です。相手の話から、その人の興味の「幅」や「深さ」を推測し、どのような業界、どのような経験、どのような価値観を持っているかを想像します。これにより、話の背景にある相手の「悩みや課題」をより正確に想定できるようになります。例えば、営業の担当者が自身の仕事の昔話をする場合、それは「今の若い営業にもっと努力してほしい」という課題意識の表れかもしれません。
相手の興味や課題を探り当てることは、あなたが相手にとって「頼りになる存在」となるための基盤です。そして、それらの情報を基に具体的な提案やサポートを行うことで、信頼関係はさらに深まります。
今日から、相手との会話の中で、話の表面だけを追うのではなく、その奥に隠された「興味」と「課題」の鉱脈を探り当ててみてください。それが、真の外交の醍醐味であり、あなたの人生を豊かにする力となるでしょう。
【外交の心得 その19】

筆者プロフィール
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。






















